事例で理解するSWOT分析

2023年3月30日2023年4月20日

SWOT分析とは

SWOT分析とは、
自社の強み・弱み（Strengths・Weaknesses）と、外部環境の機会・脅威（Opportunities・Threats）を分析する戦略ツールのことです。
自社の状況を客観的に把握し、戦略を立てる際に活用されます。
また、SWOT分析は、ビジネスだけでなく、プロジェクトや個人のキャリアにも適用できます。

SWOT分析の定義

SWOT分析とは、Strengths、Weaknesses、Opportunities、Threatsの4つの要素を分析することで、自社の強みや弱み、外部環境の機会や脅威を洗い出し、戦略を立てるためのツールのことです。
SWOT分析は、組織のマーケティング戦略や事業計画の策定、プロジェクトの進捗管理、自己分析などに活用されます。

SWOT分析のメリットとデメリット

【メリット】

自社の強みや弱み、外部環境の機会や脅威を客観的に把握できるため、戦略の立案がしやすくなる。
SWOT分析を通じて、組織内で意見を共有することで、メンバーの意識統一やコミュニケーションの促進につながる。
時期や状況によってSWOT分析を繰り返すことで、自社の変化に対応した戦略を立てることができる。

【デメリット】

SWOT分析はあくまでも分析ツールであり、分析結果を直接的に戦略に反映することができない。
自社の強みや弱み、外部環境の機会や脅威を見つけることができても、それらに対する具体的な対策が見つからない場合がある。
分析を行う際に、偏見や主観が入り込む可能性があるため、客観性を保つことが重要です。

SWOT分析の手順

SWOT分析の手順は以下の通りです。

ステップ1：自社の強み（Strengths）の洗い出し

自社の強みとなる部分を洗い出します。
強みとは、自社の優れた点、良い点のことです。
例えば、優秀な人材、高品質な製品、良好なブランドイメージなどが該当します。

ステップ2：自社の弱み（Weaknesses）の洗い出し

自社の弱みとなる部分を洗い出します。弱みとは、自社に不足している点、改善が必要な点のことです。
例えば、人材不足、製品の品質不良、ブランドイメージの低さなどが該当します。

ステップ3：外部環境の機会（Opportunities）の洗い出し

自社にとっての機会となる要因を洗い出します。
機会とは、市場や業界の状況、競合他社の弱み、新しい技術やビジネスモデルなどのことです。
例えば、新しい市場の開拓、新製品の開発、競合他社の撤退などが該当します。

ステップ4：外部環境の脅威（Threats）の洗い出し

自社にとっての脅威となる要因を洗い出します。
脅威とは、市場や業界の状況、競合他社の強み、法規制の厳格化などのことです。
例えば、競合他社の進出、価格競争の激化、環境規制の強化などが該当します。

ステップ5：SWOTマトリックスの作成

自社の強み、弱み、外部環境の機会、脅威を整理したら、これらの要素を組み合わせたSWOTマトリックスを作成します。
SWOTマトリックスは、自社の現状を俯瞰的に把握し、戦略立案に必要な情報を整理するために有用なツールです。

SWOTマトリックスの作成手順は以下の通りです。

自社の強み、弱み、外部環境の機会、脅威をそれぞれリストアップします。
強みと機会を組み合わせ、戦略的行動について考えます。例えば、「優秀な技術力と新しい市場の開拓」といった具合です。
強みと脅威を組み合わせ、リスクマネジメントの対策を考えます。例えば、「高品質な製品と価格競争の激化」といった具合です。
弱みと機会を組み合わせ、弱みの改善策を考えます。例えば、「競合他社と比べてブランド力が弱いが、新製品の開発を進める」といった具合です。
弱みと脅威を組み合わせ、危機管理の対策を考えます。例えば、「販売チャネルが限定的で競合他社の強化が脅威となるため、販売チャネルを拡大する」といった具合です。

SWOTマトリックスを作成することで、自社の強みや弱みと外部環境の機会や脅威を相互に組み合わせて考えることができ、戦略立案につながるアイデアを発見することができます。

SWOT分析の事例紹介

飲料メーカー「コバルトコーラ社」のSWOT分析

【コバルトコーラ社の紹介】

コバルトコーラ社は、世界的に有名な炭酸飲料メーカーです。
同社の代表的な商品には、青いラベルが特徴のコーラがあります。
コーラ市場でのシェアは高く、若い世代を中心に人気があります。

【コバルトコーラ社の問題点】

しかし、最近では、健康志向の高まりにより、炭酸飲料の需要が低下していることが課題となっています。
また、競合他社との競争が激しく、販売促進活動の強化が必要とされています。

【コバルトコーラ社のSWOT分析】

【Strengths（強み）】
・有名なブランド力
・コバルトラベルのコーラは若い世代に人気がある
・世界的に広がった販売網

【Weaknesses（弱み）】
・健康志向の高まりによる需要の低下
・競合他社との競争が激しく、販売促進活動の強化が必要
・新商品の開発が遅れ気味

【Opportunities（機会）】
・健康志向の高まりに合わせた新商品の開発
・海外市場の開拓
・オンライン販売の拡大

【Threats（脅威）】
・健康志向の高まりによる需要の低下
・競合他社の商品開発
・環境問題に対する規制強化

以上のSWOT分析から、コバルトコーラ社は、健康志向の高まりに対応した商品開発やオンライン販売の拡大など、新しい市場の開拓が必要とされています。
また、競合他社との競争が激しくなっていることから、販売促進活動の強化や、環境問題に対する規制強化にも対応できる戦略を立てる必要があります。

SWOT分析をもとに、クロス分析を行います。

【SO戦略：Strengths（強み）を活かしてOpportunities（機会）に対応する戦略】
・健康志向の高まりに合わせた新商品の開発：
コバルトコーラ社が有する有名なブランド力を生かし、健康志向の高まりに合わせた新商品の開発を行うことで、健康志向の高まりに対応できる。
・海外市場の開拓：
世界的に広がった販売網を生かし、海外市場の開拓を行うことで、新たな市場を開拓することができる。
・オンライン販売の拡大：
コバルトコーラ社が持つ広範な販売網と、世界中の若者を中心に人気がある商品力を生かし、オンライン販売の拡大を行うことで、より多くの顧客にアクセスすることができる。

【WO戦略：Weaknesses（弱み）を克服してOpportunities（機会）に対応する戦略】
・販売促進活動の強化：
競合他社との競争が激しくなっていることから、販売促進活動を強化し、商品力をアピールすることで、新たな市場を開拓することができる。
・新商品の開発が遅れ気味：
健康志向の高まりに合わせた新商品の開発を行うことで、弱みである新商品の開発が遅れ気味を克服することができる。

【ST戦略：Strengths（強み）を活かしてThreats（脅威）に対応する戦略】
・競合他社の商品開発：
コバルトコーラ社が有する有名なブランド力や世界的な販売網を生かし、商品力を強化することで、競合他社との競争に対応することができる。

【WT戦略：Weaknesses（弱み）を克服してThreats（脅威）に対応する戦略】
環境問題に対する規制強化に対応するために、以下の戦略が考えられます。
・健康志向の高まりに合わせた新商品の開発：
健康志向の高まりに対応した新商品を開発し、炭酸飲料以外の商品にも力を入れることで、環境問題に対する規制強化にも対応できる。
・環境問題に貢献する取り組みの強化：
炭酸飲料メーカーとして、環境問題に貢献する取り組みを強化することで、規制強化にも対応できる。
・競合他社との差別化：
競合他社との差別化を図り、商品力や環境問題に対する取り組みをアピールすることで、消費者の支持を得ることができる。

ただし、分析の中で重複している点（健康志向の高まりによる需要の低下がWeaknessesとThreatsの両方にあげられている）があるため、それらの整理が必要です。

重複している点について整理するために、以下のような方法が考えられます。

健康志向の高まりによる需要の低下を、WeaknessesとThreatsのどちらか一方にだけ記載する。
この場合、健康志向の高まりによる需要の低下は、コバルトコーラ社自体の弱み（Weaknesses）として捉えることが適切です。
市場環境の変化によって生じる脅威（Threats）には、競合他社の商品開発や環境問題に対する規制強化など、外部環境に起因する要素を記載することが適切です。
健康志向の高まりによる需要の低下を、それぞれ異なる視点で捉え直す。
例えば、Weaknessesには、「炭酸飲料への依存度が高い」や「健康志向商品のラインナップが乏しい」といった、企業自体の弱みを記載することが適切です。
一方で、Threatsには、「競合他社による健康志向商品の開発」や「健康志向の消費者に対する市場シェアの喪失」など、外部環境に起因する脅威を記載することが適切です。

このように、重複している点を整理し、それぞれの要素を明確に区別することで、SWOT分析がさらに洗練されたものになり、より適切な戦略立案に役立つでしょう。

以上のように、コバルトコーラ社のSWOT分析から、さまざまな戦略が考えられます。SWOT分析をもとに、戦略を立て、問題点に対処することが重要です。

スポーツクラブ「ベストバルク社」のSWOT分析

【ベストバルク社の紹介】

ベストバルク社は、フィットネスジムやスポーツクラブを運営する会社です。健康や美容に興味がある人たちを対象に、様々なプログラムやトレーニングを提供しています。

【ベストバルク社の問題点】

しかし、最近では、競合他社との競争が激しくなっており、新規顧客の獲得や既存顧客の定着に課題を抱えています。また、健康志向の高まりにより、顧客のニーズが多様化していることから、新しいサービスやプログラムの開発が必要とされています。

【ベストバルク社のSWOT分析】

【Strengths（強み）】
・幅広いプログラムの提供
・豊富な施設設備
・独自の会員制度

【Weaknesses（弱み）】
・競合他社との競争が激しく、新規顧客の獲得や既存顧客の定着に課題を抱えている
・健康志向の高まりにより、顧客のニーズが多様化していることから、新しいサービスやプログラムの開発が必要

【Opportunities（機会）】
・健康志向の高まりに合わせた新しいサービスやプログラムの開発
・顧客のニーズに合わせた独自の会員制度の改善
・SNSやネットワークを活用した新たなマーケティング手法の開発

【Threats（脅威）】
・競合他社との競争が激しくなっている
・新しいスポーツトレーニング法や健康管理アプリの登場による影響

以上のSWOT分析から、ベストバルク社は、競合他社との差別化を図るため、健康志向の高まりに合わせた新しいサービスやプログラムの開発や、顧客のニーズに合わせた独自の会員制度の改善が必要とされています。
また、新たなマーケティング手法の開発も重要となってきます。
一方で、競合他社との競争が激しくなっていることや、新しいスポーツトレーニング法や健康管理アプリの登場による影響にも対応する必要があります。

そのため、以下のような戦略が考えられます。

【SO戦略：Strengths（強み）を活かしてOpportunities（機会）に対応する戦略】
・健康志向の高まりに合わせた新しいサービスやプログラムの開発：
ベストバルク社が有する豊富な施設設備を生かし、新しいトレーニング方法やワークアウトプログラムを開発することで、健康志向の高まりに対応できる。
・独自の会員制度の改善：
ベストバルク社が持つ独自の会員制度を改善することで、顧客のニーズに合わせたサービス提供を実現し、定着率を高めることができる。
・SNSやネットワークを活用した新たなマーケティング手法の開発：
SNSやネットワークを活用し、若年層を中心に新しい顧客層を獲得することができる。

【WO戦略：Weaknesses（弱み）を克服してOpportunities（機会）に対応する戦略】
・競合他社との差別化：
競合他社との差別化を図り、健康志向の高まりに合わせた新しいサービスやプログラムの開発、独自の会員制度の改善を行うことで、新規顧客の獲得や既存顧客の定着に対応することができる。

【ST戦略：Strengths（強み）を活かしてThreats（脅威）に対応する戦略】
・新しいスポーツトレーニング法や健康管理アプリの導入：
ベストバルク社が有する豊富な施設設備と、専門的なトレーニング知識を生かし、新しいスポーツトレーニング法や健康管理アプリを導入することで、競合他社との競争に対応できる。

【WT戦略：Weaknesses（弱み）を克服してThreats（脅威）に対応する戦略】
・新しいスポーツトレーニング法や健康管理アプリの導入：
競合他社との競争が激しくなっていることに対して、新しいスポーツトレーニング法や健康管理アプリの導入により、顧客のニーズに合わせたサービスを提供することができる。
・競合他社との差別化：
競合他社との差別化を図り、新しいサービスやプログラムの開発、独自の会員制度の改善を行うことで、競合他社との差別化を図ることができる。

以下の点については、さらに検討が必要と考えられます。

競合他社との差別化について、具体的な取り組みやアイデアが提示されていない。
差別化戦略をより具体的に提示することで、分析の質が向上するでしょう。
新しいスポーツトレーニング法や健康管理アプリの導入に関して、ST戦略とWT戦略で重複がある。
重複を避けるため、ST戦略とWT戦略で異なる取り組みや視点を提示することが望ましいです。

具体的な差別化戦略の提示とは、競合他社との違いを明確にするアイデアや取り組みを具体的に提案することです。以下にいくつかの例を挙げます。

特色あるプログラムの開発：競合他社にない独自のトレーニングプログラムやクラスを開発し、顧客に独自の価値を提供する。例えば、瞑想やヨガと組み合わせたリラクセーショントレーニングなど。
パーソナルトレーニングの強化：質の高いパーソナルトレーニングを提供し、顧客一人ひとりに合ったサポートで結果を出すことを強みにする。トレーナーの育成や継続的なスキルアップに投資する。
コラボレーションやイベントの開催：地元の有名人や専門家とコラボレーションし、ワークショップやイベントを開催することで、顧客に新鮮な体験を提供する。
サステナビリティやエコフレンドリーな取り組み：環境に配慮した施設やエコフレンドリーなプロダクトを導入することで、顧客に環境に優しいブランドイメージを提供する。
テクノロジーの活用：最新のテクノロジーを活用し、顧客の運動データを分析・可視化し、効果的なトレーニングプランを作成することで、競合他社との差別化を図る。
地域密着型のサービス：地域のニーズに応じたサービスを展開し、地域住民とのつながりを強化する。例えば、シニア向けのプログラムや子育て中の親向けのサービスなど。

これらの具体的な差別化戦略を検討し、ベストバルク社が独自の価値を提供できる方法を見つけることで、分析の質が向上します。

それぞれの戦略で異なる取り組みや視点を提示する例を挙げます。

【ST戦略：Strengths（強み）を活かしてThreats（脅威）に対応する戦略】

パートナーシップの強化：
ベストバルク社の豊富な施設設備と独自の会員制度を活かし、他のスポーツ関連企業や健康管理アプリとのパートナーシップを強化することで、競合他社との差別化を図る。
これにより、顧客に更なる価値を提供し、競合他社との競争に対応できる。

【WT戦略：Weaknesses（弱み）を克服してThreats（脅威）に対応する戦略】

ニッチ市場へのターゲティング：競合他社との競争が激しくなっていることに対して、特定のニッチ市場にフォーカスし、顧客のニーズに合わせたサービスを提供することで差別化を図る。
例えば、高齢者向けの運動プログラムや、特定の競技をサポートするようなサービスなど。

以上のように、ベストバルク社のSWOT分析から、多角的な戦略が考えられます。企業はSWOT分析をもとに、問題点を把握し、適切な戦略を立てることで、事業の成長につなげることができます。

IT会社「レッドワンバイト社」のSWOT分析

【レッドワンバイト社の紹介】

レッドワンバイト社は、個性的な携帯端末を開発し販売する会社です。同社の製品は、他社とは一線を画する個性的なデザインと機能性が特徴で、若者を中心に支持を集めています。

【レッドワンバイト社の問題点】

一方で、スマートフォン市場が成熟期に入り、新規顧客の獲得や既存顧客の定着に課題を抱えています。また、競合他社との競争が激化しており、市場シェアを拡大するための戦略が求められています。

【レッドワンバイト社のSWOT分析】

【Strengths（強み）】
・個性的なデザインや機能性の高さ
・若者を中心に支持を集めている

【Weaknesses（弱み）】
・スマートフォン市場の成熟化に伴い、新規顧客の獲得や既存顧客の定着に課題を抱えている
・競合他社との競争が激化している

【Opportunities（機会）】
・新しい技術や機能の開発
・海外展開による市場の拡大

【Threats（脅威）】
・競合他社との競争が激化している
・スマートフォン市場の成熟化による影響

以上のSWOT分析から、レッドワンバイト社は、市場シェアを拡大するために以下のような戦略が考えられます。

【SO戦略：Strengths（強み）を活かしてOpportunities（機会）に対応する戦略】
・新しい技術や機能の開発：
個性的なデザインや機能性の高さを維持しつつ、新しい技術や機能を開発することで、市場の拡大を図る。
・海外展開による市場の拡大：
海外市場に進出し、レッドワンバイト社の独自性をアピールすることで、市場の拡大を図る。

【ST戦略：Strengths（強み）を活かしてThreats（脅威）に対応する戦略】
・競合他社との差別化：
競合他社とは一線を画す個性的なデザインや機能性を生かし、製品の差別化を図ることで、市場での競争力を維持する。

【WO戦略：Weaknesses（弱み）を克服してOpportunities（機会）に対応する戦略】
・新規顧客獲得に向けたマーケティング戦略の改善：
若者を中心に支持を集めるレッドワンバイト社が持つ独自のブランドイメージを生かし、新しいマーケティング戦略を検討することで、新規顧客獲得に向けた施策を行う。

【WT戦略：Weaknesses（弱み）を克服してThreats（脅威）に対応する戦略】
・競合他社との競争力の向上：
競合他社との競争が激化していることに対して、製品の差別化や新規技術の開発により、競争力を向上させることが必要である。

以上のように、レッドワンバイト社のSWOT分析から、市場シェアを拡大するためには、個性的なデザインや機能性を維持しつつ、新しい技術や機能の開発を行い、競合他社との差別化を図ることが重要であることがわかります。
また、海外市場に進出することで、市場拡大につなげることも必要であると考えられます。