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語句説明&まとめ:総合技術監理
語句説明&まとめ:経済性管理
語句説明&まとめ:情報管理
語句説明&まとめ:安全管理
語句説明&まとめ:社会環境管理
PCで見ていただくと目次が追いかけてきてくれます。
技術士会の総合技術監理キーワード集 (mext.go.jp)を見ながら、検索していただくことも可能です。
技術士の総合技術監理部門は、広範な知識とスキルを必要とする分野です。
しかし、そのカバー範囲についての公式書籍である通称・青本の配布が終了したので、
情報の更新も無くなってしまいました。。
今は、技術士会の総合技術監理キーワード集 (mext.go.jp)だけが毎年配られていますが、キーワードの解説については情報がありません。
自分で調べましょうということになっており、その量は膨大です。
そこで、日本技術士会から提供されたキーワードを使って、内容について調べてみました。
ここでは、私が調べた内容を、皆さんと共有したいと思います。
これを使うことで、技術士の総合技術監理部門についての理解を深め、自分自身のスキルアップに役立てることができます。
情報が不足しているところもありますが、調べるきっかけになればと思います。
情報は随時更新していきますので、よろしくお願いいたします!
3.1 人の行動と組織
(総監キーワード2023より抜粋)
人的資源を有効に活用し最大限の能力を発揮させるためには,人の管理やそのための組織について考える必要がある。
人の特徴を単純化して捉える行動モデル,職能別組織・事業部制組織といった組織構造,価値観・信念・行動規範などによって作られる組織文化やリーダーシップ論などを対象とする。
組織開発
診断型組織開発
組織の問題点を診断し、改善するための手法です。組織内の問題点を洗い出し、問題解決のための改善策を導き出します。
対話型組織開発
組織内の人々とのコミュニケーションを重視し、問題解決のためのプロセスに従って進める手法です。従来の上下関係や権威主義的な組織風土を改善し、組織内の人々が自ら考え、自ら行動することを促します。
コンテント/プロセス
組織開発において、問題解決のための内容と問題解決のためのプロセスの両方に注目する手法です。
コンテントは、目標や方針、組織構造、仕事の内容やスキルなどの内容を指し、プロセスは、人々のコミュニケーションの方法、意思決定の方法、情報共有の方法などのプロセスを指します。
この手法は、組織全体をトータルで改善することを目指します。
動機付け
動機付け(Motivation)は、人々が行動する原動力となる要因のことであり、組織や個人の成果や目標達成に大きな影響を与えます。
インセンティブ
インセンティブ(Incentive)は、人々の動機付けを高めるために与えられる報酬や補償のことを指します。
報酬や補償は、金銭的なものだけでなく、昇進、表彰、感謝の言葉、業務やプロジェクトへの参加機会なども含まれます。
外発的動機付け
外発的動機付け(Extrinsic Motivation)は、外部からの報酬や評価、承認などの要因によって、人々が行動することを促す動機付けのことです。
外発的動機付けは、組織の方針や目標、報酬制度などの外的な要因に依存するため、その要因がなくなると行動も止まってしまうことがあります。
内発的動機付け
内発的動機付け(Intrinsic Motivation)は、人々が自発的に行動するための内部的な要因による動機付けのことです。例えば、自己実現や成長、楽しさ、興味などが挙げられます。
内発的動機付けは、人々が自分自身から来る動機付けであるため、持続的な行動が期待されます。
組織コミットメント
組織コミットメント(Organizational Commitment)は、従業員が組織に対して抱く忠誠心や帰属意識のことを指します。
組織コミットメントが高い従業員は、組織の目標達成に向けて行動し、自発的に仕事に取り組むことが多いため、組織にとって非常に価値のある資産となります。
組織文化
組織内で共有される価値観や信念、慣習や行動パターンなど、組織全体の特徴を表すものです。
組織文化は、組織内の人々の行動に影響を与えるだけでなく、組織全体のパフォーマンスや成功にも影響を与えます。
心理的安全性
組織文化の一つの側面であり、組織内のメンバーが自由にアイデアを出し合い、失敗や失敗から学ぶことができるような環境を指します。
心理的安全性が高い組織では、メンバーはリスクをとって新しいアイデアを試みたり、ミスを報告したりすることができます。
逆に、心理的安全性が低い組織では、メンバーは自己防衛的な態度をとり、アイデアを出し合わなかったり、ミスを隠したりする傾向があります。
ウェルビーイング
ウェルビーイング(Well-being)は、組織メンバーの身体的、心理的、社会的な健康を促進することを目的とした概念です。
ウェルビーイングを重視する組織は、メンバーのストレスや疲れを軽減するための施策を導入することで、メンバーの生産性やモチベーションを向上させることができます。
例えば、運動や休憩を促進する施策や、カウンセリングサービスの提供などが挙げられます。
組織構造
組織内の人々の役割や責任、報告ラインなど、組織内の構成や機能の形式的な配置のことを指します。
以下に組織構造の種類を説明します。
職能別組織
職能ごとにグループ化された組織構造で、例えば営業部門、人事部門、研究開発部門などがあります。
職能別に分かれるため、同じ職能を持った人々が集まり、専門性の向上が期待できます。
事業部制組織
事業ごとにグループ化された組織構造で、各事業部門が自律的に経営を行うことができます。
例えば、自動車事業部門、電子機器事業部門、不動産事業部門などがあります。
事業ごとに分かれるため、迅速かつ柔軟な経営判断ができます。
マトリクス組織
職能別と事業部制の両方の特徴を持った組織構造で、プロジェクトごとにチームを組織し、異なる職能の人々が参加します。
例えば、開発プロジェクトにはエンジニア、デザイナー、マーケティングスタッフなどが参加する場合があります。
プロジェクトごとにチームを組織するため、情報共有が容易になります。
フラット組織
役職の階層が少なく、意思決定が分散化された組織構造で、チームワークが重視されます。
例えば、スタートアップ企業などが採用することがあります。
ネットワーク組織
外部の企業や個人との連携を強調した組織構造で、自社で全ての業務を行うのではなく、外部の専門家や企業と協力し、生産性や柔軟性を高めます。
ピラミッド組織
トップダウンの指示命令型組織で、上位の管理職から下位の職員に指示が下るという形式をとっています。
ティール組織
自己管理的な小さなチームが自律的に活動し、全体を緩やかにつなげていく組織です。
各チームは自己決定的に業務を遂行し、チーム自体が発展することで組織全体が進化していくことが特徴です。
達成型組織
目標達成に徹底的にこだわる組織で、目的達成のために必要なプロセスや文化を持つことが重要とされます。
目標を設定し、その目標に向けて徹底的に取り組むことが求められます。
それぞれのタイプについて、適応性には組織規模や業種・業態、市場環境など、様々な要因が関係しています。
例えば、大企業では事業部制組織やマトリクス組織などが採用されることが多く、中小企業ではフラット組織が採用されることが多い傾向があります。
また、グローバルな市場に参入する企業では、ネットワーク組織が適した場合もあります。
そのため、組織構造は状況に応じて柔軟に変化させることが必要です。
各組織タイプのメリットとデメリットを示します。
組織タイプ | メリット | デメリット |
---|---|---|
職能別組織 | ・専門性を高められる ・効率的な業務遂行が可能 | ・部門間の連携が必要 ・情報共有が不足する可能性 |
事業部制組織 | ・事業ごとに組織を分けることで、事業毎の特性を反映した経営が可能 ・独立性を高められる | ・組織間の情報共有が必要 ・横断的な組織管理が必要 |
マトリクス組織 | ・専門性を活かしながら、柔軟な業務遂行が可能 ・業務改善がしやすい | ・二重上司が生じる可能性 ・意思決定に時間を要することがある |
フラット組織 | ・情報共有がしやすい ・意思決定が迅速に行える | ・管理職の枠組みが不明確 ・昇格や評価基準が曖昧である場合がある |
ネットワーク組織 | ・柔軟な業務遂行が可能 ・外部の専門知識を取り入れやすい | ・組織の一体性が不足する可能性がある ・コミュニケーションの調整が必要 |
ピラミッド組織 | ・組織の方向性や目標が明確である ・効率的な情報共有が可能 | ・意思決定に時間がかかる可能性がある ・縦割りの組織が生じやすい |
ティール組織 | ・自己組織化が促進され、意欲的な行動が期待できる ・自己決定権を持つ社員が増える | ・管理職の枠組みが不明確 ・組織方針の調整が必要 |
なお、上記のメリットやデメリットは一般論であり、企業の特性や状況によって異なる場合があります。
人の行動モデル
マクレガーのX理論とY理論
ダグラス・マクレガーは、人の行動に対する2つの異なる見方を提唱しました。それが、X理論とY理論です。
X理論は、人は本質的に怠惰であり、仕事を避けることを好み、指示や命令に従わなければならないと考えるものです。
X理論に基づく組織は、管理者による強い指導が必要であり、コントロール機能が重視されます。
一方、Y理論は、人は自己実現の欲求を持っており、仕事を楽しみ、自発的かつ創造的な行動を取ることができると考えます。
Y理論に基づく組織は、従業員の意見や意欲を尊重し、自己決定的な行動を奨励することが求められます。
マクレガーは、これら2つの理論は単なる極端な見方に過ぎず、現実には人の行動はX理論やY理論のどちらかのみではなく、その中間に位置するものであると考えていました。
そして、組織は従業員の意見や意欲を尊重し、彼らが自己決定的に行動できる環境を整えることで、より高いパフォーマンスを発揮できると主張しました。
マズローの欲求5段階説
マズローの欲求5段階説は、人間の欲求についての理論で、人間の欲求は上位の欲求が満たされると、下位の欲求に移行していくと考えられています。
以下が欲求5段階の詳細です。
- 生理的欲求 食事や水分摂取、睡眠、排泄など、生命を維持するために必要な欲求です。
- 安全性の欲求 物理的な安全性や経済的安定、病気や怪我からの安全性を求める欲求です。
- 社会的欲求 愛情や友情、所属や認められたいという欲求です。
- 尊敬の欲求 承認や評価、地位や名声などを求める欲求です。
- 自己実現の欲求 個人的な目標達成や、創造性や知的好奇心の実現を求める欲求です。
これらの欲求は、下位の欲求が満たされることで上位の欲求に移行し、上位の欲求が満たされることで、自己実現に至るとされています。
ただし、個人差や状況によって、欲求の順序や優先順位は異なる場合があります。
ハーズバーグの二要因理論
ハーズバーグの二要因理論は、仕事に対する満足度を高める要因を「モチベーション要因」と「衛生要因」の2つに分類する理論です。
モチベーション要因は、仕事自体が持つ魅力的な側面や、自己実現や成長に関わる要素などが含まれます。
これらの要因が存在することで、従業員は仕事に対する意欲を高め、自発的な取り組みを行い、成果を上げることができます。
一方、衛生要因は、仕事の環境や条件に関わる要素であり、これらが欠けることで不満やストレスが生じます。
例えば、給与、労働条件、人間関係、組織の方針や手続きなどが含まれます。
これらの要因が十分に満たされないと、従業員は不満やストレスを抱え、モチベーションを低下させることがあります。
この理論は、モチベーションを高めるためには、衛生要因を満たすだけでは不十分であることを示唆しています。
衛生要因はあくまでも不満やストレスを低減するための要因であり、モチベーションを高めるにはモチベーション要因が必要であるとされています。
アッシュ研究
アッシュ研究とは、1950年代に社会心理学者のソロモン・アッシュによって行われた社会実験のことを指します。
この研究は、人々が周囲の人たちに合わせて自分自身の判断を曲げてしまう現象(集団圧力)を調査することを目的としています。
アッシュ研究では、実験参加者に対して「正しい線」を選ぶよう指示された後、周囲の人たちが選んだ線を見せられます。
しかし、実際には周囲の人たちが選んだ線が正しいとは限らない場合があります。
このとき、多くの実験参加者が周囲の人たちに合わせて間違った線を選ぶという結果が得られました。
この実験結果から、人々が周囲の人たちに合わせて自分自身の判断を曲げてしまう現象が存在することが示され、社会心理学や教育学、組織論などの分野で大きな影響を与えました。
リーダーシップ
リーダーシップ(Leadership)は、組織の方向性を示し、メンバーを引っ張って目標達成に向かわせる役割を担うことを指します。
具体的には、ビジョンの設定、戦略の策定、目標の明確化、人材育成などの役割があります。
PM理論
PM理論(Path-Goal Theory of Leadership)は、リーダーがメンバーにとって適切な目標を設定し、それを達成するための道筋を示すことで、メンバーのモチベーションを高め、成果を上げることができるとする理論です。
PMは、Personality and Motivationの略で、人格と動機を研究する理論のことを指します。
SL理論
SL理論(Situational Leadership Theory)は、リーダーシップのスタイルを、フォロワーの能力と状況に応じて柔軟に変化させることが必要であるとする理論です。
具体的には、フォロワーの能力と意欲を考慮し、指示するだけでなく、フォロワーの成長を促すことで、より高い成果を生み出すことを目指します。
サーバントリーダーシップ
サーバントリーダーシップ(Servant Leadership)は、リーダーがメンバーのニーズや目標を理解し、それに対してサポートや援助を提供することで、メンバーの成長や発展を促進することを目指すリーダーシップスタイルです。
フォロワーシップ
フォロワーシップ(Followership)は、リーダーに従うことを目的とした概念ではなく、リーダーシップと同様に重要な役割を持つことを指します。
具体的には、リーダーの指示に従うだけでなく、自己判断力や主体性を発揮し、リーダーを支援することが求められます。
メイヨ-のホーソン実験
1920年代から1930年代にかけて、ハーバード大学によって実施された労働生産性に関する一連の実験です。
この実験によって、生産性の向上には経済的な報酬だけでなく、社会的要因や人間関係の影響も大きいことが示され、人間性向上運動やヒューマンリレーションズの発展に大きな影響を与えました。
テイラーの科学的管理法
1880年代にアメリカのフレデリック・W・テイラーによって提唱された、労働者の動作を細かく観察し、その動作を改善することで生産性を向上させる方法論です。
具体的には、作業を標準化し、最適な作業手順を決定し、作業員にそれを徹底させることで生産性の向上を図ります。
この手法は、工業生産性の向上に大きな貢献をした一方で、作業員の人間性を無視し、単純作業の過剰労働やモチベーション低下などの問題が発生したため、批判を浴びました。
3.2 労働関係法と労務管理
(総監キーワード2023より抜粋)
従業員の安全と健康を守るためには労働関係法と労務管理に関連する様々な制度を理解する必要がある。
労働者及び労働者と使用者との関係に関して定めた法律,フレックスタイム制度やみなし労働時間制度といった労働時間管理,賃金コストを適正に維持しつつ必要な従業員を確保するための賃金管理,労働条件を決めるためのルールを扱う労使関係管理,従業員に対するメンタルヘルスケアなどを対象とする。
労働関連については、もう少し調べてしっかり記載したいと思います。
間違っている内容がありましたらすみません。
労働関係法
労働関係法とは、労働者と雇用者間の関係を調整し、労働者の権利を保護するために制定された法律の総称です。
具体的には、労働基準法、労働安全衛生法、労働者派遣法、労働組合法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、労働契約法、等があります。
労働基準法は、最低賃金や労働時間、休暇、労働条件の改善など、労働者に対する最低限度の保護を定めた法律です。労働安全衛生法は、職場における安全や健康の確保、労働災害の予防、職場環境の改善に関する法律です。
労働者派遣法は、派遣労働者の待遇や保護に関する法律です。
労働組合法は、労働組合の設立や活動に関する法律です。
労働者災害補償保険法は、労働災害や職業病による被害者に対する補償に関する法律です。
雇用保険法は、失業者や求職者に対する給付や雇用対策に関する法律です。
労働契約法は、労働契約の締結や内容に関する法律です。
労働基準法
労働法の中でも中心的な法律であり、労働者と雇用者の権利と義務を規定しています。
この法律により、労働時間、休日、賃金、労働災害、解雇、退職金、育児・介護休業などの労働条件が定められています。
労働基準法は、労働者を守るための最低限度の規定を設けており、厚生労働省が指導監督することで、労働条件の改善や違反事業者の取り締まりを行っています。
労働基準法は、労働者の権利を保護するだけでなく、雇用者に対しても義務を課すことで、適正な雇用環境の整備や、社会全体の労働環境の改善を促しています。
法定労働時間
使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
労使協定
労使協定は使用者と労働者の間で取り交わす書面契約のことです。
契約内容は仕事に関する約束事で、主に労働状況や労働環境に関する取り決めを交わします。
ただし、労働状況の改善を求める目的よりは、労働基準法の枠では不都合な職業の働き方を、労働者と使用者の双方同意の上で変えることを目的としています。
年次有給休暇
年次有給休暇とは、労働者に対して一定期間の勤続を経た後に付与される、賃金が減額されずに休むことができる休暇です。
パートタイム労働者にも付与されますが、所定労働日数が少ない労働者は比例的に少ない日数が付与されます。
付与の要件は、雇用開始から6か月経過し、その期間の全労働日の8割以上出勤していることです。
最初に10日間の年次有給休暇が付与され、その後勤続年数に応じて日数が増加します。
労働者は請求に基づいて年次有給休暇を取得でき、使用者は正当な理由がない限り拒否できません。
表 付与される休暇日数
雇入れの日から起算した勤続期間 | 付与される休暇の日数 |
6か月 | 10労働日 |
1年6か月 | 11労働日 |
2年6か月 | 12労働日 |
3年6か月 | 14労働日 |
4年6か月 | 16労働日 |
5年6か月 | 18労働日 |
6年6か月以上 | 20労働日 |
表 付与される休暇日数
週所定 労働日数 | 1年間の所定 労働日数 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 |
4日 | 169日~216日 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
3日 | 121日~168日 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 |
2日 | 73日~120日 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 |
1日 | 48日~72日 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 |
労働契約
労働者と雇用主が、労働条件や労働期間などを取り決める契約。
労働契約には、労働者の仕事の内容や職場、労働時間、賃金、休暇などが明記されます。
就業規則
雇用主が労働者に対して、労働条件や労働環境に関する規定を定めた文書。
就業規則は、労働者に対する指導・管理のために作成され、労働基準法や労使協定と並んで労働者の権利と義務を規定します。
災害補償
労働者が業務上の事故や職業病によって受けた損害を補償する制度。
労働者災害補償保険法に基づき、雇用主は労働者を労働者災害補償保険に加入させる必要があります。
この保険は、労働者が働く過程で負った傷害や病気、障害、死亡などの損害を補償するための制度です。
補償内容には、医療費、休業補償、障害補償、遺族補償などが含まれます。
三六協定
労働基準法に基づく労使協定の一種で、法定労働時間を超える労働(残業)や休日労働について取り決める協定です。
労働基準法は、通常の労働時間を1日8時間、1週間40時間と定めていますが、事業所ごとの状況に応じて労働時間を延長する場合があります。
その際、労使間で合意し、36協定を締結することが求められます。
36協定は、以下のような点を取り決めることが一般的です。
- 残業労働:1日あたり、1週間あたり、または1ヶ月あたりの残業時間の上限を設定します。
- 休日労働:労働者が休日に働く場合の条件や手当を定めます。
36協定は、労働者の過労を防ぐために重要な役割を果たします。
また、協定を締結することで、労働者が働く時間外労働に対して適切な手当を受け取ることが保証されます。
企業は、労働基準監督署への届け出が必要です。
違反した場合、罰則が適用されることがあります。
労働組合法
労働組合法は、労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権を保護し、労働組合の組織と活動を規定する法律です。
労働組合法は、労働者が自由に労働組合を組織し、適切な労働条件を獲得するためのプロセスをサポートしています。
労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)
団結権:労働者が自由に労働組合に加入し、その活動に参加する権利です。
団体交渉権:労働組合が使用者と労働条件に関する交渉を行う権利です。
団体行動権:労働組合が労働条件改善を求めるために、ストライキなどの集団行動を行う権利です。
労働組合
労働組合は、労働者が団結し、労働条件や労働環境の改善を目指す組織です。
労働組合は、労働者の権利を守り、使用者との交渉を行うことができます。
不当労働行為
不当労働行為とは、労働者の権利を侵害する行為や、労働組合の活動を妨害・制限する行為を指します。
例えば、労働組合への加入や活動を理由に解雇や不利益な取り扱いをすることなどが該当します。
労働協約
労働協約は、労働組合と使用者が、労働条件や労働環境に関する合意事項を文書にしたものです。
労働協約は、労働者の待遇や労働時間、休暇など、さまざまな労働条件を定めることができます。
労働委員会
労働委員会は、労働組合と使用者間の労働紛争を調停・審議するための中立的な機関です。
労働委員会は、労働者と使用者の双方の代表者から構成され、労働紛争に関する調停や審議を行います。
労働委員会は、労働紛争の解決に向けて公正かつ効率的な手続きを提供し、双方の利益を考慮した解決策を提案します。
労働委員会は、以下のような役割を果たします。
- 調停:労働紛争が発生した際に、労働組合と使用者の間で話し合いを行い、双方が納得できる解決策を見つけることをサポートします。
- 審議:労働紛争に関する事実を調査し、適切な解決策を提案するために、双方の主張を詳細に審議します。
- 裁定:調停や審議によって解決が困難な場合、労働委員会は裁定を行い、強制的に紛争を解決することができます。
労働委員会の決定は、通常、労働者と使用者双方にとって拘束力があります。
しかし、いずれかの当事者が不服を申し立てる場合、労働審判や裁判所による審理が行われることもあります。
労働委員会は、労働者と使用者の間で公正な解決を目指すための重要な機関です。
労働関係調整法
労働関係調整法は、労働組合と使用者間の労働紛争の解決を図るための法律です。
この法律は、労働紛争の解決手続きを規定し、あっせん、調停、仲裁といった手段を提供しています。
労働関係調整法は、労働紛争の平和的解決を促進し、労働市場の安定を目指しています。
争議行動
争議行動とは、労働組合が労働条件や労働環境の改善を求めるために、ストライキやデモなどの集団行動を行うことを指します。
争議行動は、労働組合の団体行動権に基づいて行われ、労働者の権利と利益を守る手段とされています。
あっせん・調停・仲裁
- あっせん:
あっせんは、労働紛争に関与する双方の当事者に対し、中立的な立場から解決策を提案する手続きです。あっせんは、当事者が自主的に合意に達することを目指して行われます。 - 調停:
調停は、あっせんが不成立だった場合に行われる、よりフォーマルな手続きです。
調停委員会が設置され、労働組合と使用者がそれぞれの主張を述べ、調停委員会が解決策を提案します。
調停は、双方が合意に達することを目指して行われますが、調停委員会の提案は拘束力がなく、当事者が拒否することができます。 - 仲裁:
仲裁は、労働紛争の解決が調停によっても困難である場合に行われる手続きです。
仲裁委員会が設置され、労働組合と使用者がそれぞれの主張を述べ、仲裁委員会が判断を下します。
仲裁の結果は、通常、双方に拘束力があります。
これらの手続きは、労働紛争の解決を円滑に進めるために設けられており、労働市場の安定と労働者の権利保護を目的としています。
あっせん、調停、仲裁は、労働紛争に関する対立を平和的に解決し、双方が納得できる結果を導くことを目指しています。
労働関係調整法に基づくこれらの手続きは、労働者と使用者が対等な立場で交渉し、紛争解決に向けて協力できる環境を提供します。
これにより、労働者の権利が尊重され、使用者にも労働環境の改善や労働条件の維持が求められます。
また、あっせん、調停、仲裁の手続きを通じて、労働者と使用者は、互いの立場や要求を理解し、相互の信頼を築くことができます。
これにより、労働市場全体の安定が図られ、経済発展や社会福祉の向上に寄与することが期待されます。
労働関係調整法は、労働者と使用者が労働紛争を適切に解決することを支援するための重要な法律です。
労働者の権利を守り、労働市場の安定を維持することにより、社会全体の発展に貢献することが期待されます。
個別労働紛争解決促進法
個別労働紛争解決促進法は、労働者と使用者の間で起こる個別の労働紛争の解決を支援するための法律です。
この法律は、労働者が労働条件や待遇に関する問題を円滑に解決できるよう、労働行政や民間の機関が相談や支援を提供する仕組みを定めています。
労働審判法
労働審判法は、労働紛争の解決を迅速かつ効率的に行うための法律です。
この法律に基づく労働審判制度は、裁判所において、労働紛争に関する専門的な知識を持つ審判官が審理を行い、迅速な解決を目指します。
労働審判の手続きは、一般的な民事訴訟よりも短期間で終了し、労働者にとって負担が少ないことが特徴です。
労働契約法
労働契約法は、労働者と使用者が結ぶ労働契約に関する基本的なルールを定めた法律です。
この法律は、労働契約の締結、変更、解除などに関する手続きや、労働条件の最低基準を規定しています。
労働契約法は、労働者の権利と利益を保護し、労働市場の健全な発展を促すことを目的としています。
最低賃金法
最低賃金法は、労働者に対して支払われる賃金の最低水準を定める法律です。
この法律は、労働者が一定の生活水準を確保できるように、地域ごとや業種ごとに最低賃金額を設定しています。
最低賃金法は、賃金格差の縮小や貧困の解消を目指し、労働者の生活の安定に寄与することを目的としています。
労働安全衛生法
労働者の安全と健康を確保し、労働災害の防止を図ることを目的とした法律です。
この法律では、使用者に対して、労働環境の整備や労働者への健康診断の実施、労働災害発生時の対応など、労働安全衛生に関するさまざまな責任が課せられています。
また、労働者に対しても、安全衛生に関する法令や使用者の指示に従うことが求められています。
パートタイム・有期雇用労働法
パートタイム労働者や有期雇用労働者の待遇改善や雇用の安定を図ることを目的とした法律が制定されています。
これらの法律では、パートタイム労働者や有期雇用労働者に対する待遇差別の禁止や、雇用条件の明示、有期雇用契約の更新や正社員への転換など、労働者の権利保護が規定されています。
高齢者雇用安定法
日本の高齢者雇用安定法は、高齢者の雇用機会の確保や労働条件の整備を目的とした法律です。
この法律では、使用者に対して、高齢者の雇用継続や再雇用、職業訓練などの取り組みが求められています。
また、法律に基づき、企業は定年制度の見直しや雇用継続のための制度整備を行うことが求められており、高齢者が働き続ける機会が確保されるようになっています。
障害者雇用促進法
日本の障害者雇用促進法は、障害者の雇用機会の拡大や働く環境の整備を目的とした法律です。
この法律では、障害者の能力に応じた職業訓練や職業相談、就職支援などの取り組みが定められています。
また、使用者に対して障害者雇用の法定雇用率が課せられており、障害者の雇用機会が確保されるようになっています。
障害者雇用率
日本では、一定規模以上の企業や事業所に対して、障害者の雇用を促進するために法定雇用率が定められています。
この法定雇用率は、使用者が雇用する労働者数に対する障害者の割合であり、企業規模や業種によって異なる割合が設定されています。
障害者雇用率は、障害者の社会参加を促進し、雇用の機会を拡大するために重要な役割を果たしています。
障害者雇用納付金制度
障害者雇用納付金制度は、障害者雇用率に達していない事業主に対し、障害者雇用の促進を図るために納付金を課す制度です。
法定雇用率を満たしていない事業主は、その不足分に応じて納付金を支払わなければならず、この納付金は、障害者の雇用促進や職業能力開発のために活用されます。
この制度により、障害者の雇用機会が確保され、障害者の社会参加が促進されることが期待されています。
労働者派遣法
派遣労働者の保護や派遣事業の適正化を目的とした法律です。
この法律では、派遣労働者の権利保護や派遣先と派遣元の責任が明確に定められており、派遣労働者が不当な扱いを受けないようになっています。
また、派遣事業者には登録制度があり、労働者派遣事業の適正化が図られています。
男女雇用機会均等法
男女の雇用機会の確保や労働条件の均等化を目的とした法律です。
この法律では、雇用、昇進、待遇、退職などの労働条件において、性別による差別が禁止されています。
また、企業や事業所に対して、男女の雇用機会均等を確保するための取り組みが求められています。
男女共同参画社会基本法
男女が共に参画し、人権を尊重し合う社会の実現を目指す法律です。
この法律では、国や地方公共団体が男女共同参画社会の形成に向けての基本的な方針を策定し、それに基づいた施策を実施することが求められています。
また、企業や団体に対しても、男女共同参画の推進が促されています。
この法律は、男女の社会参加や活躍の機会が平等に確保されることを目指しています。
女性活躍推進法(えるぼし認定)
女性のリーダーシップを拡大し、女性が活躍できる職場環境を整備することを目的とした法律です。
この法律では、一定規模以上の事業主に対して、女性活躍推進のための行動計画の策定・公表が求められています。
また、「えるぼし認定」とは、女性の活躍を推進する企業や事業所に対して、厚生労働大臣が認定する制度です。
認定を受けることで、女性の活躍が推進される職場であることがアピールでき、優れた人材の確保や企業イメージの向上につながることが期待されています。
次世代育成支援対策推進法(くるみん認定)
次世代を担う子どもたちの健やかな成長を支援することを目的とした法律です。
この法律では、一定規模以上の事業主に対して、働く世代の育児や家庭生活の支援策を策定・公表することが求められています。
「くるみん認定」は、子育て支援に積極的な企業や事業所に対して、厚生労働大臣が認定する制度です。
この認定を受けることで、働く親に対する支援が手厚い職場であることがアピールできます。
育児・介護休業法
労働者が子育てや家族の介護を行うために、一定期間休業することができる制度を定めた法律です。
この法律では、労働者が育児休業や介護休業を取得できる条件や期間が定められており、労働者が家庭と仕事を両立できるよう支援されています。
また、休業中の労働者の雇用保険や健康保険などの社会保険が継続され、休業後の復職も保障されています。
出入国管理及び難民認定法
外国人の出入国管理を適正に行い、国際間の人の移動を円滑に進めることを目的とした法律です。
この法律では、外国人の入国手続きや在留資格、在留期間の変更などが定められています。
また、難民認定制度も設けられており、国際的な保護を必要とする難民に対して、適切な保護や支援が提供されることが規定されています。
労働施策総合推進法
労働者の雇用の安定や生活の向上を図るための労働施策を総合的に推進することを目的とした法律です。
この法律では、雇用の創出や労働者の能力開発、労働市場の情報提供などの施策が定められており、国や地方公共団体がこれらの施策を実施することが求められています。
青少年雇用促進法
若者(15歳から24歳までの者)の雇用の安定や職業生活の向上を目指す法律です。
この法律では、若者の雇用の創出や職業能力開発、職業指導などの施策が定められており、国や地方公共団体、事業主がこれらの施策を実施することが求められています。
また、若者に対する適切な労働条件や働く機会の提供が促されています。
賃金管理
賃金管理とは、労働者に対する賃金の支払いや決定方法、昇給の仕組みなどを計画的かつ適切に運用することです。
賃金管理の目的は、労働者の能力や成果を正当に評価し、労働者の働きがいや企業の競争力を高めることです。
総額賃金管理
総額賃金管理とは、企業が支払う賃金の総額を一定の範囲内に抑えることを目的とした賃金管理手法です。
これにより、企業は賃金コストのコントロールを行い、経営の安定化や労働コストの最適化を図ることができます。
個別賃金管理
個別賃金管理とは、労働者の能力や業績に基づいて賃金を決定する賃金管理手法です。
これにより、労働者の働きに応じた適切な賃金が支払われることで、労働者のモチベーション向上や働きがいの向上を図ることができます。
職務給
職務給とは、労働者が担当する職務の難易度や責任の大きさに応じて賃金を決定する制度です。
職務に応じた賃金が支払われることで、労働者はより高度な職務に取り組む意欲を持つことが期待されます。
職能給
職能給とは、労働者のスキルや経験、知識などの職能に基づいて賃金を決定する制度です。
職能に応じた賃金が支払われることで、労働者は自己のスキル向上に努めることが期待されます。
年俸制
年俸制とは、労働者の年間の業績や職務遂行に基づいて一定の年俸を支払う制度です。
年俸制では、労働者の働きに応じて年俸が調整されるため、業績に対する報酬が明確化されます。
年功賃金
年功賃金とは、労働者の年齢や勤続年数に応じて賃金が決定される制度です。
年功賃金では、労働者が企業に長く勤務するほど賃金が上昇することが一般的です。
この制度は、従来の日本の労働市場で広く採用されていましたが、近年では、労働者のパフォーマンスやスキルを重視する賃金制度への移行が求められています。
年功賃金の長所として、企業の組織内での安定感や労働者の雇用安定が挙げられますが、短所としては、若手労働者の能力が十分に評価されないことや、高齢労働者の賃金負担が重くなることが考えられます。
成果主義賃金
成果主義賃金とは、労働者の業績や成果に応じて賃金が決定される制度です。
この制度では、労働者の働きが直接報酬に反映されるため、労働者のモチベーション向上や働きがいの向上が期待されます。
業績連動型賞与制度
業績連動型賞与制度とは、企業の業績や労働者の個人業績に応じて賞与を支給する制度です。
企業の利益と労働者の報酬が連動することで、労働者は企業の成長により自身の報酬も向上することを期待できます。
同一労働同一賃金
同一労働同一賃金とは、同じ仕事を行っている労働者に対して、雇用形態に関係なく同じ賃金を支払うべきだとする原則です。
これにより、正社員と非正規雇用者(パートタイム労働者、派遣労働者など)との賃金格差の是正が図られます。
退職給付
退職給付とは、労働者が退職する際に企業から支給される金銭的な手当のことです。
退職金や年金などが含まれます。
退職給付は、労働者が勤続年数に応じて一定の金額が支払われることで、雇用安定や労働者の生活安定が図られます。
労働生産性
労働生産性とは、労働者1人あたりの生産量や付加価値を示す指標です。
労働生産性が高いということは、労働者1人がより多くの商品やサービスを生み出していることを意味し、企業の競争力向上につながります。
労働分配率
労働分配率とは、国民所得のうち労働者への賃金報酬が占める割合を示す指標です。
労働分配率が高いということは、国民所得のうち労働者への報酬が大きく、労働者の所得向上や生活水準向上が期待できることを意味します。
一方で、労働分配率が低い場合は、企業の利益が増加していることを示すことがあり、その分、再投資や研究開発に資金を充てることができます。
労働分配率は、労働者の賃金や生活水準、企業の経済活動など、経済全体の状況を把握するための重要な指標です。
労働市場や労働環境が変化する中で、賃金制度や労働政策も進化しています。
企業は労働者の働きがいや生産性向上を目指し、さまざまな制度を導入することで競争力を維持・向上させようとしています。
また、政府も雇用環境の改善や労働者の権利保護を目的とした法律・政策を整備しています。
これらの取り組みが日本の労働市場や経済全体の発展に寄与することが期待されています。
働き方改革
働き方改革は、長時間労働の是正や労働者の働きがいの向上、労働生産性の向上を目的とした取り組みです。
政府や企業が連携して、労働者の健康やワーク・ライフ・バランスの向上を促す制度や施策が実施されています。
ワーク・ライフ・バランス
ワーク・ライフ・バランスとは、労働(Work)と生活(Life)の調和を意味し、労働者が働きながらプライベートな時間も充実させることができる状態を目指す考え方です。
フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、労働者が自分の裁量で始業・終業時間を選べる労働時間制度です。
コアタイム(出勤が必須な時間帯)を設定し、その他の時間帯は労働者が自由に設定できます。
これにより、労働者の働き方の柔軟性が向上します。
変形労働時間制度
変形労働時間制度とは、一定の期間(1週間、4週間、1か月、3か月等)の平均労働時間を所定労働時間に収めることを目的とした制度です。
この制度を導入することで、仕事の繁忙期や閑散期に応じて労働時間を調整できるため、労働者の負担を軽減できます。
裁量労働制
裁量労働制とは、労働者が自らの裁量で仕事を行い、働いた時間ではなく、働いた成果に応じて賃金が支払われる制度です。
専門性や創造性が求められる職種で導入されることが多く、労働者の自主性や柔軟な働き方が可能になります。
テレワーク
テレワークは、情報通信技術を活用して、自宅やカフェ、コワーキングスペースなどオフィス以外の場所で業務を行う働き方です。
テレワークには、ICTツールを使用して自宅から働く在宅勤務や、企業が提供するサテライトオフィスで働く形態などがあります。
テレワークは、労働者のワーク・ライフ・バランスを改善し、労働生産性向上や働きやすい環境の実現を目指すものです。
職場復帰支援
職場復帰支援は、育児や介護、病気などで一時的に職場を離れた労働者が、再び職場に戻る際に、企業や政府が提供する支援制度です。
復職者がスムーズに職場に復帰できるよう、職場環境の整備や、復職者のスキルや能力に応じた働き方の提案などが行われます。
副業・兼業
副業・兼業は、主たる職業以外に、他の職業で働くことを指します。
これには、フリーランスや起業、アルバイトなどが含まれます。
副業・兼業が認められることで、労働者はスキルの多様化や収入の増加を図ることができ、企業は労働力の活用や柔軟な働き方を促進できます。
ただし、副業・兼業を認めるかどうかは、企業の就業規則や労働契約によって異なります。
健康経営
健康経営とは、企業が従業員の健康を重視し、積極的に働きやすい環境を整備することで、労働者の健康を維持・向上させ、結果として企業の生産性や競争力の向上を図る経営手法です。
健康経営に取り組む企業は、従業員の健康管理やメンタルヘルスケア、適切な労働時間の確保、ストレスチェックなどを実施します。
健康経営の実践により、次のような効果が期待されています。
- 労働者の健康の向上:従業員の健康が保たれることで、働く意欲や生産性が高まります。
- 労働生産性の向上:健康な従業員は、労働力の維持や向上が可能となり、企業全体の生産性が向上します。
- 企業イメージの向上:従業員の健康に配慮する企業は、社会的評価が高まり、採用や顧客満足度にもプラスの効果があります。
日本では、健康経営優良企業として「健康経営優良法人」(通称:ホワイト500)などの認定制度があり、積極的に健康経営に取り組む企業が評価されています。
これらの認定を受けることで、企業のブランド力や社会的信用が向上し、経営上のメリットが得られることが期待されています。
職業性ストレス
職業性ストレスとは、仕事や職場環境に起因するストレスのことです。
過重な労働、人間関係の問題、業務の不確実性、不適切な労働条件などが原因となり、心身の健康に悪影響を与えることがあります。
職業性ストレスは、パフォーマンスの低下や労働生産性の低下、従業員の離職率の増加など、組織全体に悪影響を及ぼすことがあります。
ストレスチェック制度
ストレスチェック制度は、2015年12月の労働安全衛生法改正により導入された制度です。
この制度では、50人以上の従業員を有する事業場で、定期的に従業員のストレスを把握し、労働者本人や企業にフィードバックすることが求められています。
この制度の目的は、従業員のメンタルヘルスの維持・向上を図ることと、労働者のストレスに対する理解と対策を促進することです。
メンタルヘルスケア
メンタルヘルスケアとは、心の健康を維持・向上させるための取り組みや支援のことを指します。
企業では、従業員のメンタルヘルスを維持・向上させるために、ストレスチェック制度の実施、カウンセリングや相談窓口の提供、メンタルヘルス研修の実施、職場環境の改善などの対策が行われています。
メンタルヘルスケアの取り組みにより、従業員の心身の健康が向上し、企業全体の生産性や働きがいが高まることが期待されています。
雇用制度
雇用制度とは、企業が従業員を雇用する際のさまざまな制度や規定のことです。
雇用制度は、労働契約の種類(有期雇用、無期雇用、パートタイム雇用など)、試用期間、昇給・昇進、退職・解雇、再雇用制度など、雇用に関わるあらゆる面をカバーしています。
雇用制度は、労働市場の柔軟性や企業の競争力、労働者の安定した雇用を確保するために重要です。
高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門性やスキルを持つ専門職の労働者を対象とした、労働時間管理の柔軟な働き方の制度です。
日本では、労働基準法の一部改正により、2018年に導入されました。
この制度では、対象者は労働時間の管理から一定程度緩和されることがあり、労働者の自主性や裁量を尊重した働き方が可能になります。
ただし、労働者の権利を保護するため、制度適用には一定の基準が設けられています。
再雇用制度
再雇用制度とは、定年を迎えた労働者が、その後も引き続き同じ企業で働くことができる制度です。
日本では、高齢者雇用安定法に基づいて、企業は定年後も雇用希望者全員を雇用する義務があります。
再雇用制度は、高齢者の働き手が増える中で、労働者のスキルや経験を活かし、企業の労働力を維持するために重要な制度となっています。
無期転換ルール
無期転換ルールとは、労働契約法に基づく、有期雇用労働者が一定期間(5年)働いた後に無期雇用への転換を求める権利が与えられる制度です。
2013年に施行された労働契約法の改正により導入されました。
このルールは、有期雇用労働者の雇用の安定を維持するために導入されたものであり、有期雇用労働者が不安定な雇用形態から、より安定した無期雇用への転換を望むことができるようになります。
ただし、このルールにはいくつかの例外があります。例えば、雇用期間が3か月未満の場合や、特別な業務に従事する場合、派遣労働者や嘱託社員、アルバイト・パートタイマーなど、雇用形態によっては無期転換の対象外となる場合があります。
無期転換ルールは、労働者の雇用の安定化に加えて、雇用主にとっても利点があります。
例えば、有期雇用契約の更新や新たな有期雇用契約の締結に伴う手続きや費用を削減できること、有能な労働者を長期的に確保できることなどが挙げられます。
福利厚生
福利厚生は、企業や団体が従業員に対して提供する、生活や健康、教育などの様々な面での支援や保障のことを指します。
雇用保険制度
雇用保険制度は、雇用主と従業員が加入し、雇用に関する保険制度です。
失業や解雇による収入の減少に対して、一定期間収入を補償することで、雇用の安定化を図ることが目的です。
労災保険制度
労災保険制度は、労働者が業務上の事故や疾病によって障害を受けた場合に、一定の補償をする制度です。
雇用主が加入し、労働災害の発生に対するリスクに備えることが目的です。
年金制度
年金制度は、一定の年齢に達した労働者が、年金を受け取ることができる制度です。
日本では、国民年金や厚生年金などがあり、加入者が一定期間保険料を納付することで、将来の老後に備えることができます。
また、企業年金など企業が独自に設定する年金制度もあります。
年金制度は、社会保障制度の一つであり、高齢者の生活保障を確保することが目的です。
ハラスメント
ハラスメントとは、ある人や集団が、相手に対して精神的、肉体的な苦痛を与えるような不適切な行為や言動のことを指します。
パワーハラスメント
パワーハラスメントは、地位や権限のある人が、その地位や権限を悪用して、部下や同僚などの弱者に対して、仕事や人間関係において不当な圧力や嫌がらせを行うことを指します。
セクシャルハラスメントは、性的な言動や行為によって、相手に不快感や不安を与える行為を指します。
例えば、下ネタや性的なジョーク、性的な誘いや暴力などが含まれます。
どのようなハラスメントも、被害者に対して苦痛や不安を与えることになります。
これらの問題を解決するためには、企業や組織においては、適切なルールや規則の設定、啓発活動や研修の実施、ハラスメントの報告窓口の設置などが必要です。
また、個人としても、自分自身の行動や言動に注意を払い、相手を尊重することが大切です。
人材流動化
人材流動化は、企業や業界内において、従業員の人材を有効活用するために、職種や部署、地域などの枠を越えて人材を流動的に配置・活用することを指します。
これにより、従業員のスキルアップやキャリアアップの機会が増え、企業の生産性や競争力が向上することが期待されます。
就労状況・労働統計
就労状況・労働統計は、ある時点や期間における、労働者の雇用状況や賃金、就業時間、産業別・地域別の労働市場の状況などについて集計・分析したものを指します。
国や地域ごとに統計が公表されており、経済政策や労働政策の立案・評価に役立てられます。
ポジティブアクション
ポジティブアクションは、特定の社会的地位や属性(性別、人種、年齢、障害など)を持つ人々が、差別や偏見などの社会的不利益を受けている場合に、その不利益を解消するために、積極的に支援する行為や政策のことを指します。
例えば、就職や昇進において、特定の属性を持つ人々に対して優遇措置を取ることなどが挙げられます。
ポジティブアクションは、社会的正義を実現するための手段として、様々な分野で取り入れられています。
3.3 人材活用計画
(総監キーワード2023より抜粋)
組織において人は重要な経営資源であり,それをいかに計画的に活用していくかは組織を維持していくうえで重要課題である。
組織が必要とする職務を決定する職務分析,それにもとづいて行われる雇用管理,作業能率に大きく関わる人間関係管理などを対象とする。
人間関係管理
人間関係管理は、組織内での人間関係を円滑にし、職場環境を整えることを目的とした管理のことです。
具体的には、コミュニケーションの改善やトラブルの予防・解決、ストレスや不安の軽減、モチベーションの向上などが含まれます。
人間関係が悪化すると、従業員の離職やパフォーマンスの低下につながるため、組織にとっても重要な課題となっています。
公式組織・非公式組織
公式組織とは、明確に定義された役割や責任を持った、正式な組織のことを指します。
例えば、企業における部署や役職、政府における省庁や官庁などが該当します。
一方、非公式組織とは、公式な組織には属さないが、ある目的や目標を共有するグループのことを指します。
例えば、同じ趣味や興味を持つ人たちの集まりや、同じ職場でのランチ仲間などが挙げられます。
非公式組織は、公式な組織とは異なる人間関係やルールが存在するため、組織内でのコミュニケーションに影響を与えることがあります。
また、非公式組織は、公式な組織に対して影響力を持つこともあるため、組織内での人間関係や意思決定に影響を与えることがあります。
人事管理
人事管理は、組織における人材の採用・配置・教育・評価・報酬など、人材に関するあらゆる事項を管理することを指します。
人事管理は、企業や組織にとって重要な機能であり、優秀な人材の確保や育成、従業員のモチベーションの向上、労働法や就業規則に基づいた適切な人事処理などが求められます。
具体的には、人事戦略の策定、求人広告の出稿や面接の実施、入社手続きや労働契約の締結、業務評価や昇進・降格の判断、給与や福利厚生の設計・管理などが含まれます。
また、最近では、従業員の多様性を尊重した人事管理や、働き方改革を促進する人事管理なども注目されています。
人事管理の目的は、組織の目標達成に必要な人材を適切に配置し、人材の能力を最大限に発揮させることにあります。
そのために、組織内での人材の動向や要望を把握し、必要な改善点を見つけ出すことが求められます。
雇用管理
雇用管理は、企業や組織において、従業員の雇用に関するあらゆる事項を管理することを指します。
具体的には、採用や雇用契約の締結、業務委託や派遣労働者の雇用、給与や労働時間の管理、労働条件や福利厚生の整備などが含まれます。
雇用管理は、従業員の雇用形態や雇用条件が多様化する現代において、企業や組織にとって重要な課題となっています。
職能資格制度
職能資格制度は、職務に必要な知識や技能、能力を評価し、認定する制度です。
企業や業界によって様々な制度があり、従業員のスキルアップやキャリアアップの機会を提供することが目的です。
職務等級制度
職務等級制度は、従業員の職務内容や責任を評価し、その評価に応じて給与や昇進などの待遇を決定する制度です。
企業や組織の規模や業種によって、細かい区分が設けられることがあります。
役割等級制度
役割等級制度は、従業員の役割や責任、成果に応じて評価する制度です。
職務等級制度とは異なり、職種にとらわれずに従業員の実績や成果を評価することが特徴です。
複線型人事制度
複線型人事制度は、従業員のキャリアアップやスキルアップを促進する制度で、専門職や管理職など、異なるキャリアパスを設け、従業員が自由に選択することができます。
勤務地限定社員制度
勤務地限定社員制度は、企業が特定の地域での勤務に限定して雇用する制度です。
地域密着型の人材確保や、地方の経済振興を目的として、地方自治体や企業などで採用されています。
専門職制度
専門職制度は、企業や組織内において、専門的な知識や技術を持った人材を育成し、活用する制度です。企業の技術開発やイノベーションに重要な役割を果たすことが期待されます。
専門職には、エンジニアやデザイナーなど、特定の分野において高度な専門知識を持った従業員が該当します。
社内公募制
社内公募制は、企業内での昇進や異動などの人事決定を、社内の従業員から応募者を募集して行う制度です。従業員のキャリアアップを促すと同時に、内部の人材育成にもつながります。
ただし、選考プロセスや応募条件などが適切に設計されている必要があります。
再雇用制度
再雇用制度は、退職した従業員が一定期間経過した後に、再び同じ企業で雇用されることを可能にする制度です。
高齢化が進む中、従業員の退職後も企業にとって有用な人材を確保するために導入されることがあります。
継続雇用制度
継続雇用制度は、企業に一定期間勤務した従業員に対して、一定の待遇や労働条件を保証する制度です。
一般的に、雇用期間が長くなるにつれて待遇が向上する仕組みが取られます。
自己申告制度
自己申告制度は、従業員が自分の能力や適性に応じて、希望する業務や職種を自己申告する制度です。
能力に基づいた適切な業務配分を実現し、従業員のモチベーション向上につなげることが目的です。
ジョブ型(職務主義)
ジョブ型(職務主義)とは、従業員の役割や職務内容に基づいて、報酬や昇進などの待遇を決定する制度です。
組織全体で役割分担が明確化され、能力に応じた職務配分が行われます。
メンバーシップ型(属人主義)
メンバーシップ型(属人主義)とは、従業員個人の適性や能力に基づいて、報酬や昇進などの待遇を決定する制度です。
従業員の個人的な成果や貢献度が評価され、組織における個人の役割や責任が重視されます。
総合職・一般職
総合職・一般職とは、企業内における役割分担の形態を表す言葉です。
総合職は、複数の職種や業務を担当することができる柔軟性が求められる役割を担います。
一方、一般職は、特定の職種や業務に特化した役割を担うことが求められます。
職務分析
職務分析は、企業内において、どのような業務内容や責任があるかを明確化し、職務に必要な知識やスキルを特定するための分析方法です。
職務分析により、職務内容を明確にすることで、適切な人材配置や能力開発、評価・報酬制度の設計などが可能になります。
職務設計
職務設計は、職務分析を基に、効率的で生産性の高い業務フローを設計することです。
業務の分業化や効率化、職務の再編成や自動化など、職場の生産性向上につながることが期待されます。
また、従業員のやりがいやモチベーションの向上、ストレスや負荷の軽減にもつながります。
採用管理
採用管理は、企業や組織において、適切な人材を採用するための管理方法です。
求人広告の出稿や選考プロセスの設計、内定後の入社手続きなどが含まれます。
採用管理においては、採用した従業員が組織に適合するかどうかを判断することが求められます。
セカンドキャリア
セカンドキャリアとは、一つの職業を持ちながら、異なる分野や職種に転職することを指します。
例えば、医師から起業家に転身する場合などが挙げられます。
現代社会において、多様なキャリアパスが求められる中、セカンドキャリアは注目されています。
役職定年制
役職定年制とは、一定の年齢に達した従業員に対して、役職や職務から退くことを求める制度です。
企業によって異なる定年年齢が設けられています。
この制度により、組織の若返りや、上級職への昇進の機会を提供することができます。
ただし、近年は高齢者の労働力需要が高まる中で、役職定年制の見直しが求められています。
ダイバーシティ・マネジメント
ダイバーシティ・マネジメントとは、企業や組織において、異なる人種・国籍・性別・年齢などの多様性を尊重し、活用するマネジメント手法です。
多様なバックグラウンドを持った従業員の個性や能力を活かし、組織の生産性向上やイノベーションの促進につなげることが期待されます。
障害者雇用
障害者雇用は、身体的・知的な障害を持つ人々に対して、企業が雇用の機会を提供することを指します。
障害者差別解消法に基づき、企業には一定の雇用率の達成が求められています。
障がい者雇用により、企業の社会的責任の実現や多様な人材の活用が促進されます。
ジェンダーギャップ
ジェンダーギャップとは、男女間の社会的地位や経済的な格差を指します。
例えば、同じ職種や職務にある男女で、男性の方が高い給与や昇進の機会を得やすいといった状況が挙げられます。
ジェンダーギャップの解消に向けては、企業における男女平等な待遇や制度の整備が求められます。
LGBTQ
LGBTQとは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)、クエスチョニング(Q)の頭文字を表します。
LGBTQに対して差別や偏見を持たず、自由かつ多様な社会を目指す動きが広がっています。
企業においても、LGBTQに対する理解と支援が求められ、働きやすい職場の整備や多様性の尊重が進められています。
タレントマネジメントは、企業において、有能な従業員を発掘・育成し、その能力を最大限に引き出すことを目的としたマネジメント手法です。
才能や能力を持つ従業員に対しては、適切な評価や報酬を提供することで、組織の生産性向上や競争力の強化を図ります。
インターンシップ
インターンシップは、学生や若年層が、企業で短期間の職場体験をする制度です。
企業側にとっては、若手人材の採用や育成の機会を提供することができます。
一方、インターンシップを通じて、学生や若年層は、職場での実践的なスキルや知識を身に付けることができます。
また、企業と学生や若年層とのネットワーク構築にもつながります。
3.4 人材開発
(総監キーワード2023より抜粋)
将来において必要とされる知識や技能を保有するために,計画された学習を通して組織構成員や組織内部の集団等を変革するプロセスが人的資源開発である。
教育・訓練・学習によって組織変革を促進するプロセス,教育訓練計画・教育訓練体系・教育訓練手法といった教育訓練管理,従業員を評価する人事考課管理,品質向上を目的としたQCサークル活動などを対象とする。
人事考課管理
人事考課管理は、従業員の業績や能力、行動などを定量的・定性的に評価し、給与や昇進、配置などの判断に役立てる人事制度です。
評価の方法や基準、頻度などは企業によって異なりますが、定期的なフィードバックや面談を通じて、従業員の成長や能力開発を支援することが求められます。
情意考課
情意考課は、従業員の人間性やコミュニケーション能力、協調性、責任感、倫理観などを評価する方法です。
単に業績だけでなく、従業員の全体的なパフォーマンスを考慮することが特徴です。
業績考課(成績考課)
業績考課(成績考課)は、従業員の業績や成果を定量的に評価する方法です。
数字による目標達成度の評価が中心であり、組織や個人の成果評価に活用されます。
能力考課
能力考課は、従業員のスキルや知識、経験、資格などを評価する方法です。
仕事に必要な能力を定義し、そのレベルに合わせて評価を行います。
多面評価(360度評価)
多面評価(360度評価)は、従業員の評価を、上司だけでなく同僚や部下、顧客や取引先など、複数の視点から行う方法です。
評価者の立場や立場の違いによる偏りをなくし、より客観的な評価を行うことができます。
目標管理制度(MBO)
目標管理制度(MBO)は、従業員や部門の目標を明確にし、それに基づいた評価や報酬を行う制度です。
目標設定により、従業員のモチベーション向上や業績の改善につなげることができます。
また、目標達成度に応じた報酬や評価を行うことで、従業員のやりがいやモチベーション向上にもつながります。
加点主義・減点主義
加点主義・減点主義は、人事考課において評価する項目に対して、ポジティブな側面やネガティブな側面を強調する傾向がある評価方法です。
加点主義は、従業員の長所を重視する評価方法であり、減点主義は、従業員の短所を重視する評価方法であります。
人事考課の三原則
人事考課の三原則としては、公平性、客観性、透明性が挙げられます。
つまり、評価基準が公平であること、評価が客観的であること、評価プロセスが透明であることが重要とされます。
相対評価・絶対評価
相対評価・絶対評価は、人事考課における評価方法の一つです。
相対評価は、評価対象のグループ内での順位付けを行う方法であり、絶対評価は、事前に設定した評価基準に基づいて、評価対象の成果や能力を評価する方法です。
バイアス
バイアスは、人事考課において、主観的な評価が影響することを指します。
例えば、性別や人種、年齢、外見などによって、評価が歪められることがあります。
評価誤差(ハロー効果等)
評価誤差は、人事考課において、評価者が知らず知らずのうちに、評価対象に偏りを持たせることを指します。
例えば、ハロー効果は、一部の優れた業績や行動に引きずられて、全体的に高い評価がついてしまうことを指します。
反対に、ホーン効果は、一部の低い評価に引きずられて、全体的に低い評価がついてしまうことを指します。
人的資源開発(HRD)
人的資源開発(HRD)は、企業における従業員のスキルアップや能力開発、職業能力の向上などを促進するための取り組みを指します。
人材育成に力を入れることで、企業の競争力の強化や人材の定着、離職率の低減などにつながります。
階層別研修
階層別研修は、企業において、役職や職種に応じた研修を行う方法です。
例えば、管理職向けのリーダーシップ研修や、新入社員向けの基礎研修などが挙げられます。
専門別研修
専門別研修は、企業において、専門的な知識やスキルを身に付けるための研修です。
例えば、営業技術研修や、情報処理技術研修などが挙げられます。
課題別研修
課題別研修は、企業において、特定の課題や問題解決のための研修です。
例えば、コミュニケーション能力向上研修や、ストレスマネジメント研修などが挙げられます。
自己啓発
自己啓発は、従業員が自己の能力開発やスキルアップに積極的に取り組むことを指します。
企業においては、従業員が自己啓発に積極的に取り組むことを支援するための取り組みが必要となります。
eラーニング
eラーニングは、インターネットやコンピュータを活用して、遠隔地でも受講できる学習形態を指します。
従業員の時間的制約を解消することができるため、多忙な従業員でも学習に取り組むことが可能です。
OJT/OFF-JT
OJT/OFF-JTは、従業員の職場での実践的な仕事を通じて、スキルアップや能力開発を促進する方法です。
OJTは、職場での実践的なトレーニングを指し、OFF-JTは、職場外での研修を指します。
従業員が自分自身の仕事に取り組む中で、必要なスキルや知識を身に付けることができます。
課題設定能力
課題設定能力は、自らの仕事に関する問題や課題を発見し、解決する能力のことです。
企業にとって、課題設定能力を持った従業員は、改善提案や業務効率の向上などにつながります。
職務遂行能力
職務遂行能力は、自らの職務を適切に実行し、業務成果を達成するための能力のことです。
具体的には、スキルや技能、知識や経験、判断力や応用力などが含まれます。
対人能力
対人能力は、人とのコミュニケーションや協調性、リーダーシップ、人を巻き込む能力など、人との関わりに関する能力のことです。
企業にとって、対人能力を持った従業員は、チームワークや顧客対応など、多様な場面で活躍することができます。
問題解決能力
問題解決能力は、問題や課題を明確にし、分析・解決する能力のことです。
問題解決能力を持った従業員は、トラブルや不具合の発生時に迅速かつ正確な対応ができ、企業の業績向上につながります。
コンピテンシー
コンピテンシーとは、従業員が持つべき能力や知識、スキル、態度などの総称で、その企業で求められる特定の能力を指します。
企業によって、コンピテンシーモデルを設定し、従業員の育成や採用、評価などに活用されます。
グローバル人材開発
グローバル人材開発は、グローバルなビジネス環境に対応できる人材を育成することを指します。
外国語や文化的理解、国際ビジネスの知識やスキルなどを習得することで、海外進出や国際競争力の強化につながります。
リスキリング
スキリングは、現在の職務に必要なスキルや知識をアップデートすることで、新しい職務に適応するための能力を身に付けることを指します。
テクノロジーの進化や業務の変化に対応するため、従業員のスキルアップが求められます。
メンター
メンターは、経験豊富な上司や先輩社員などが、新入社員や若手社員などの成長を支援する役割を担うことを指します。
メンターは、アドバイスや指導を通じて、後輩のスキルアップや自己啓発を支援します。
以上が、人材開発における重要なキーワードです。
企業にとって、従業員の育成や能力開発は、ビジネスの成長や競争力を高めるために欠かせない要素となります。
教育訓練技法
マンツーマントレーニング(OJT,メンター等)
マンツーマントレーニング(OJTやメンター制度)は、現場での仕事を通じて、上司や先輩社員から実践的なスキルや知識を学ぶ方法です。
新入社員や未経験者に対して、仕事のやり方や技術、業務の進め方などを具体的に指導することで、短期間での能力向上が期待できます。
講義(講演,報告会等)
講義は、講師が集団に対して知識や情報を伝える方法です。
専門的な知識や業務に必要な情報をまとめ、効率的に伝えることができます。
また、講義を受けることで、参加者は共通の知識や理解を深めることができます。
討議(ブレインストーミング,ディベート等)
討議は、参加者同士が自由に意見を出し合う方法です。
アイデアの共有や、解決すべき問題を共有することで、グループワークの効果を発揮することができます。
ブレインストーミングでは、自由な発想を促進し、多くのアイデアを出すことを目的とします。
ディベートでは、意見を主張し、説得力のある論理的思考力を養います。
事例研究(ケーススタディ,インバスケット等)
事例研究は、実際に起こった事例を用いて、問題解決や判断力の向上を目的とします。
参加者は、架空のシチュエーションに対して、どのような判断や行動をとるべきかを討議し、自己の判断力を養うことができます。
インバスケット法では、役割を演じ、実際にその状況に直面することで、実践的な能力を身に付けます。
ロールプレイング
ロールプレイングは、実際の業務や状況をシミュレーションする方法です。
参加者が役割を演じ、その場に合わせた対応をすることで、コミュニケーションスキルや問題解決力の向上を目的とします。
例えば、カスタマーサポート担当者として、クレーム対応の訓練を行う場合などが挙げられます。
教育ゲーム(ビジネスゲーム,シミュレーションゲーム等)
教育ゲームは、ビジネスシーンで必要なスキルや知識を、ゲーム形式で学ぶことができる方法です。
シミュレーションゲームやビジネスゲームなどがあり、実際のビジネスシーンを再現し、参加者が実際に経験することができます。
例えば、リーダーシップやマネジメント能力を身に付けるための、組織運営のシミュレーションゲームが挙げられます。
自己診断(適性診断,EQ診断等)
自己診断は、自分自身を客観的に評価する方法です。
適性診断やEQ診断などがあり、参加者が自分自身の能力や性格を把握することで、自己理解を深めることができます。
適性診断では、自分に合った職業や業務、能力について知ることができます。
EQ診断では、感情や人間関係のスキルを把握し、それを向上させるための対策を考えることができます。
「EQ」は「Emotional Quotient」の略で、感情指数(感情知能指数)を表します。
感情知能とは、自己と他者の感情を理解し、適切に対処する能力のことであり、EQ診断はこの能力を評価するために行われる評価方法の1つです。
これらの教育訓練技法を用いることで、従業員は実践的なスキルや知識を身に付けることができます。
また、教育訓練の効果を向上させることができ、組織の成長につながることが期待されます。
人材アセスメント
人材アセスメントは、従業員の能力や適性を測定し、その結果をもとに適切な人材配置や人材育成を行うことを指します。
アセスメントセンターやインタビュー、適性検査、職場内での実績などを用いて行われます。
人材アセスメントにより、従業員の能力を正確に把握し、適切なポジションに配置することができます。
スキル標準
スキル標準は、業務に必要なスキルや知識、行動規範などを定め、従業員のスキルアップや育成に活用するための基準を定めたものです。
例えば、プロジェクトマネジメントやコミュニケーションスキルなどのスキルが挙げられます。
スキル標準を定めることで、従業員のスキルアップや育成に対する目標設定がしやすくなります。
CPD
CPD(Continuing Professional Development)は、職業上のスキルや知識、経験を継続的に磨き、アップデートすることを指します。
職業上の変化や技術革新に対応し、自己啓発を続けることで、自己のスキルアップやキャリアアップを図ることができます。
CPDは、自己啓発プログラムや研修制度を利用することで実践することができます。
ジョブローテーション
ジョブローテーションは、従業員が自分の専門分野に限定されることなく、異なる業務や部署に移りながら、多様なスキルや経験を積むことを目的とした制度です。
ジョブローテーションを行うことで、従業員は幅広い業務に携わり、多様な視点を持つことができます。
また、組織全体を俯瞰することで、部署間の連携やコミュニケーションを促進することも期待されます。
QCサークル
QCサークルは、従業員自身が主体となり、改善提案や問題解決に取り組む小規模なグループを指します。
QCサークルに参加することで、従業員は業務プロセスの改善や効率化、品質向上などに取り組むことができます。
また、自己実現やモチベーション向上、チームビルディングなどの効果も期待されます。
外国人研修・技能実習制度
外国人研修・技能実習制度は、外国人を日本の企業に雇用し、日本の技術や知識を習得するための制度です。
外国人労働者を受け入れることで、グローバルな人材を確保することができます。
また、外国人労働者の多様な文化背景を理解することで、国際的なビジネスに対応することができます。
キャリアパス
キャリアパスは、従業員が自己啓発やスキルアップを続けながら、自己のキャリアを描くことができる仕組みです。
従業員が希望するキャリアパスを明確化し、必要なスキルや経験を習得することで、自己の成長とともに組織の成長にも貢献することができます。
キャリアオーナーシップ
キャリアオーナーシップは、従業員自身が自己のキャリアを主体的に管理することを指します。
キャリアオーナーシップを導入することで、従業員が自己のキャリアについて意識し、自己成長や自己実現を追求することができます。
また、組織にとっても、従業員が自己のキャリアを自己管理することで、人材育成や採用戦略の改善が可能となるとされています。
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