総監キーワード集2023 択一・語句説明とまとめ:社会環境管理

語句説明&まとめ:総合技術監理
語句説明&まとめ:経済性管理
語句説明&まとめ:人的資源管理
語句説明&まとめ:情報管理
語句説明&まとめ:安全管理

PCで見ていただくと目次が追いかけてきてくれます。
技術士会の総合技術監理キーワード集 (mext.go.jp)を見ながら、検索していただくことも可能です。


技術士の総合技術監理部門は、広範な知識とスキルを必要とする分野です。

しかし、そのカバー範囲についての公式書籍である通称・青本の配布が終了したので、
情報の更新も無くなってしまいました。。

今は、技術士会の総合技術監理キーワード集 (mext.go.jp)だけが毎年配られていますが、キーワードの解説については情報がありません。
自分で調べましょうということになっており、その量は膨大です。

そこで、日本技術士会から提供されたキーワードを使って、内容について調べてみました。
ここでは、私が調べた内容を、皆さんと共有したいと思います。

これを使うことで、技術士の総合技術監理部門についての理解を深め、自分自身のスキルアップに役立てることができます。
情報が不足しているところもありますが、調べるきっかけになればと思います。

情報は随時更新していきますので、よろしくお願いいたします!

目次

6.1 地球的規模の環境問題

(総監キーワード2023より抜粋)
人間活動の発展に伴い,地球を構成する大気,水,土壌,生態系に重大な変化が生じ,人間の生存基盤に対する脅威となっている。
中でも,地球的規模の環境問題については,国連などの国際組織が中心となってその対応に取り組んでいるが,我が国もその一員として先導的な役割を果たすことが期待されている。
環境面において,組織活動の社会システムとの関わり方の重要性はますます増大しており,組織としては環境問題の実態を理解し,その対応策に取り組むことが社会的責任として重要であるだけでなく,組織としての今後の継続,発展,組織価値の増大のために必要不可欠な要素となっている。
地球的規模の環境問題としては,気候変動,エネルギー問題,生物多様性,その他オゾン層破壊などが対象となる。

持続可能な開発

持続可能な開発(Sustainable Development)は、人間が生存し続けるために必要な経済発展、社会発展、そして環境保全をバランスよく実現することを目指した開発のことを指します。
つまり、現代の経済的発展は地球環境や人々の暮らしに悪影響を及ぼすことなく、長期的に持続可能な発展を追求することを目的としています。

国連人間環境会議

国連人間環境会議(United Nations Conference on the Human Environment)は、1972年にスウェーデンのストックホルムで開催された国際会議です。
環境問題が世界的に注目される契機となり、環境保護に関する国際的な合意や枠組みの策定につながりました。

ローマクラブ

ローマクラブ(The Club of Rome)は、世界各国の学者・政治家などが参加する国際的な団体で、持続可能な発展に関する研究を行っています。1972年に発表された「成長の限界」(The Limits to Growth)という報告書で、世界の有限な資源と無限の経済成長の関係性に警鐘を鳴らし、持続可能な発展を提唱しました。

環境と開発に関する世界委員会(WCED)

環境と開発に関する世界委員会(World Commission on Environment and Development, WCE)は、1983年に国際連合総会によって設立された委員会です。
持続可能な開発に関する提言をまとめ、1987年に「われわれの共通未来(Our Common Future)」という報告書を発表しました。
この報告書では、持続可能な開発に向けた基本的な枠組みとして「三つの柱」(経済的な発展、社会的な発展、環境保全)が提唱されました。

国連環境開発会議(地球サミット:UNCED)

国連環境開発会議(United Nations Conference on Environment and Development, UNCED)は、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された国際会議です。
地球サミットとも呼ばれ、持続可能な開発に関する国際的な合意「アジェンダ21」と「リオ宣言」が採択されました。

環境と開発に関するリオ宣言

環境と開発に関するリオ宣言(Rio Declaration on Environment and Development)は、1992年に開催された国連環境開発会議で採択された、環境保護と持続可能な開発を推進するための原則をまとめた宣言です。
この宣言には、環境保護と持続可能な開発の重要性を認識すること、貧困削減や社会的正義、人権保護との関連性を考慮すること、責任ある行動と共同行動が必要であること、先進国と開発途上国の協力が必要であることなどが明記されています。

アジェンダ21

アジェンダ21(Agenda 21)は、1992年に開催された国連環境開発会議で採択された、持続可能な開発に向けた行動計画です。
2030年までの世界の持続可能な開発に向けた計画を提唱し、環境保護、経済発展、社会的発展、地方自治体や民間社会の役割などについて具体的なアクションプランが盛り込まれています。

エコロジカル・フットプリント

エコロジカル・フットプリント(Ecological Footprint)は、人間活動による環境負荷を表す指標の一つです。
人間が生活するために必要な資源や環境面積の合計を計算し、その値を地球上の総面積で割ったものが、1人あたりのエコロジカル・フットプリントとなります。
この指標を使って、人間活動の環境への影響を評価することができます。

人間開発指数(HDI)

人間開発指数(Human Development Index, HDI)は、国連開発計画(UNDP)が発表する、国々の人間の豊かさや発展度合いを測るための指標の一つです。
所得、健康、教育などの要素を総合的に評価し、国々の発展度合いを人間中心の視点で評価することを目的としています。

持続可能な開発目標(SDGsの17の目標)

持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals, SDGs)は、国連が定めた、2030年までに持続可能な開発を達成するための17の目標です。
貧困撲滅、飢餓の根絶、教育の普及、エネルギーの普及、温暖化対策など、持続可能な開発に必要な幅広い分野をカバーしています。

オゾン層保護

オゾン層保護は、地球上のオゾン層を維持し、破壊を防止するための取り組みです。
オゾン層は、地球上の生物を守るために重要な働きをしており、オゾン層破壊物質(CFCs)などによって破壊されることが懸念されました。

ウィーン条約・モントリオール議定書
ウィーン条約(Vienna Convention)は、1985年に採択され、オゾン層破壊の問題に対処するために国際的な枠組みを定めました。
モントリオール議定書(Montreal Protocol)は、1987年に採択され、CFCsの生産と使用を段階的に減少させることを目的としています。

CFCsは、”Chlorofluorocarbons” の略で、日本語では「塩素フッ素化合物」と訳されます。
CFCsは、かつて冷蔵庫やエアコンなどの冷媒やスプレー缶の噴射剤として広く使われていた化学物質でした。しかし、CFCsは大気中のオゾン層を破壊することが判明し、1987年にモントリオール議定書で国際的に規制されました。

酸性雨

酸性雨は、大気中の二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化物(NOx)などの排出物質が、雨水と反応して酸性度が高い雨が降る現象です。
酸性雨は、植物や水生生物の生育に影響を及ぼすだけでなく、建造物や文化財の腐食、地下水汚染など、人間活動に深刻な影響を与えることが懸念されています。
酸性雨の原因としては、工場や車両などからの大気汚染物質の排出が挙げられます。

気候変動・エネルギー問題

温室効果ガス(GHG)

温室効果ガス(Greenhouse Gas, GHG)は、大気中に放出される二酸化炭素、メタン、フロン、窒素酸化物、二酸化硫黄などの気体を指します。
これらの気体が大気中で温室効果をもたらし、地球の平均気温を上昇させることが懸念されています。

エルニーニョ現象/ラニーニャ現象

エルニーニョ現象/ラニーニャ現象は、太平洋中部で発生する海洋現象で、大気・海洋の循環が変化することで、世界中の気候に影響を与えることがあります。
エルニーニョ現象では、海水温が上昇して大量の雨が降り、ラニーニャ現象では、海水温が低下して乾燥した気候が続くことがあります。

エルニーニョ現象とラニーニャ現象は、南米ペルー沖の海水温が異常に高くなる現象(エルニーニョ)と低くなる現象(ラニーニャ)を指します。
これらの名前は、南米ペルー沖の漁業従事者がこの現象を観察し、それぞれ「イエスの子供(El Niño)」と「乙女(La Niña)」になぞらえて名付けたことからきています。
エルニーニョは、通常の気象パターンを変え、地球規模の気象や気候に大きな影響を与えることが知られています。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)は、気候変動に関する政府間パネルで、国際連合環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)が共同で設立しました。
世界中の科学者や政策立案者などが参加し、気候変動の科学的知見をまとめ、政策提言を行っています。

気候変動枠組条約

気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change, UNFCCC)は、1992年に採択された国際的な枠組みで、世界中の国々が地球温暖化対策を進めるために協力することを目的としています。

京都議定書

京都議定書(Kyoto Protocol)は、1997年に採択され、温室効果ガスの排出削減を義務付ける世界初の国際的な枠組みです。
2005年から2012年までの期間において、先進国が排出削減目標を設定し、削減を進めることが求められました。

パリ協定

パリ協定(Paris Agreement)は、2015年に採択され、2030年までに世界の気温上昇を2℃未満に抑え、可能な限り1.5℃以下に抑えることを目指した国際協定です。
国々が自主的に排出削減目標を設定し、その進捗状況を報告することが求められています。

脱炭素社会

脱炭素社会とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を極力削減し、石油や石炭などの化石燃料に依存しない社会を目指すことです。
この取り組みは、地球温暖化や気候変動の影響を軽減することが目的となっています。

2050年長期戦略

2050年長期戦略とは、日本が持続可能な社会を実現するために、2050年までに達成するべきビジョンや方針を示す戦略のことです。
日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指す方針を打ち出しています。

グリーントランスフォーメーション(GX)

グリーントランスフォーメーション(Green Transformation)またはグリーントランジション(Green Transition)は、持続可能な社会への転換を促すための取り組みを指します。
経済や社会システム、技術の転換を通じて、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減や、再生可能エネルギーの普及などを進めることで、地球環境を保全し、持続可能な発展を実現することを目指しています。

地球温暖化対策推進法

地球温暖化対策推進法は、2008年に施行された法律で、温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化対策を進めることを目的としています。
具体的には、国や地方公共団体、事業者、個人などが協力して、温室効果ガスの排出量の削減や省エネルギー、再生可能エネルギーの利用などを推進することが求められています。

地球温暖化対策計画
地球温暖化対策計画は、地球温暖化対策推進法に基づいて、国や地方公共団体が策定する計画のことです。
温室効果ガスの排出量削減目標や、具体的な政策や施策などが盛り込まれ、全国的な枠組みとして地球温暖化対策を進めることが求められています。
また、地方公共団体は、それぞれが独自の地球温暖化対策計画を策定し、地域特性に応じた対策を進めることができます。

気候変動適応法及び緩和策・適応策

気候変動適応法とは、日本政府が2018年に制定した法律で、地球温暖化による影響に対処し、社会・経済システムを脆弱性から守るための政策を進めることを目的としています。
具体的には、気象災害や高温多湿による健康被害への対策、農業・林業・漁業などの分野における生産性の向上、土地利用計画の見直し、社会資本の耐震性や防災性の強化などが求められています。

気候変動緩和策は、温室効果ガスの排出量を削減するための政策で、省エネルギーや再生可能エネルギーの利用促進、産業構造の転換、エコドライブ普及などが挙げられます。
気候変動適応策は、気候変動による影響を受けやすい地域や産業に対する対策で、農業用排水路の整備、海岸線の保全、都市の浸水対策などが挙げられます。

排出量取引制度

排出量取引制度は、企業や団体などが温室効果ガスの排出量を許容範囲内に抑えることができなかった場合に、他の企業や団体が削減した余剰の排出権を購入し、排出量を補うことができる仕組みです。
これによって、排出権市場を通じて排出量の削減コストを低減することができ、効率的な排出量削減が促進されることを目的としています。

カーボンニュートラル

カーボンニュートラル(Carbon Neutral)は、炭素排出量を削減し、残りの炭素排出量を削減された量と同量だけ、二酸化炭素を吸収することで、最終的に排出ゼロとなる状態を指します。
この取り組みは、持続可能な社会への転換に向けた地球温暖化対策として、世界中で進められています。

カーボンフットプリント
カーボンフットプリント(Carbon Footprint)は、ある製品やサービスの生産や利用によって排出される温室効果ガスの総量を指します。
具体的には、製品の原材料の採取、製造・加工、運搬、消費などの段階で発生する温室効果ガスを計測し、総量を算出することが行われます。

カーボン・オフセット
カーボン・オフセット(Carbon Offset)は、炭素排出量を削減することができない場合に、炭素削減に対応する金銭的貢献をすることで、炭素排出量を相殺する仕組みです。具体的には、森林保護や再生可能エネルギーの普及などに対する支援を行い、排出ゼロに近づくことを目指します。

ギガトンギャップ
ギガトンギャップ(Gigaton Gap)とは、二酸化炭素の排出量削減目標と実際の排出量の差を指します。
つまり、世界が設定している目標に対して、実際にはどれだけ達成できているかを示す指標です。

カーボンバジェット(炭素予算)
カーボンバジェット(Carbon Budget)は、地球温暖化を2℃以下に抑えるために、人類が排出できる二酸化炭素の総量を指します。
つまり、地球規模で考えた場合、炭素排出量を抑える必要がある量のことを指します。

CCS・BECCS
炭素捕捉・貯留技術(Carbon Capture and Storage, CCS)のほか、バイオマスなどの再生可能エネルギー資源を利用して発電する場合に、その過程で排出される二酸化炭素を捕捉し、貯留する技術がBECCS(Bioenergy with Carbon Capture and Storage, BECCS)です。
BECCSは、再生可能エネルギーを利用しながら、二酸化炭素の排出削減に貢献することができます。

CCS・炭素捕捉・貯留技術は、二酸化炭素を貯留することで、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを削減することができるため、世界中で注目されています。
ただし、貯留された二酸化炭素が地下に漏れ出す可能性があるため、技術的な課題や環境への影響が懸念されています。

BECCSは、再生可能エネルギーを利用することで、炭素排出量の削減に寄与する一方、食糧やバイオマス素材の確保、環境への影響などの問題が指摘されています。
また、バイオマス素材の取り扱いに関しても、環境や社会への影響が懸念される場合があります。

CCS・炭素捕捉・貯留技術やBECCSは、温暖化対策の一環として注目されている技術ですが、技術的な課題や環境・社会問題があるため、実用化に向けた検討が進められています。

エネルギー政策基本法

エネルギー政策基本法は、2002年に制定された法律で、国や地方公共団体、事業者、個人などが協力して、安全・安定的かつ持続可能なエネルギー政策を推進することを目的としています。
具体的には、エネルギー需要・供給の調和、省エネルギーや再生可能エネルギーの利用促進、環境保全などが求められています。

エネルギー基本計画
エネルギー基本計画は、エネルギー政策基本法に基づいて、国が策定する計画のことです。
エネルギー需給の将来予測や省エネルギー、再生可能エネルギー、原子力発電などのエネルギー源の利用計画、国内外のエネルギー情勢や環境保全などを総合的に考慮し、エネルギー政策の基本的な方針を定めます。

S+3E
S+3Eは、省エネルギー(Energy Conservation)、再生可能エネルギー(New Energy)、クリーンエネルギー(Clean Energy)の3つのEを組み合わせた言葉で、持続可能なエネルギー社会を目指すための重要な概念として、日本のエネルギー政策において用いられています。
省エネルギーや再生可能エネルギーの利用促進により、クリーンエネルギーの普及を進めることが求められています。

再生可能エネルギー

再生可能エネルギーは、地球上で自然に再生されるエネルギー源であり、太陽光、風力、水力、地熱などが挙げられます。
再生可能エネルギーは、温室効果ガスの削減に貢献することができるため、地球温暖化対策の重要な要素となっています。

再生可能エネルギー特別措置法
再生可能エネルギー特別措置法は、再生可能エネルギーの利用促進を目的とした法律です。
具体的には、再生可能エネルギーの普及促進、エネルギー使用の効率化、炭素排出量の削減などが求められています。
この法律に基づいて、固定価格買取制度や再生可能エネルギー賦課金制度などが導入されています。

固定価格買取制度
FIT(Feed-in Tariff)
固定価格買取制度は、再生可能エネルギー発電事業者が発電した電力を、一定期間にわたって固定価格で買い取る制度です。
この制度により、再生可能エネルギー発電事業者が安定した収益を得ることができ、再生可能エネルギーの導入を促進することができます。
日本では、2012年から導入され、再生可能エネルギー発電事業者が太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電などの電力を買い取ることができます。

再生可能エネルギー賦課金
FIP(Feed-in Premium)
再生可能エネルギー賦課金は、化石燃料の消費による温室効果ガスの排出量削減目標の達成を目指し、再生可能エネルギーの普及に必要な費用を、電気の利用者に課金する制度です。
この制度により、再生可能エネルギー発電事業者に対する補助金が賄われ、再生可能エネルギーの導入を促進することができます。
日本では、2012年から導入され、全国の電気の利用者が再生可能エネルギー賦課金を支払うことにより、再生可能エネルギー発電事業者に補助金が支払われます。

省エネ法

省エネ法は、省エネルギーの推進に関する規定が定められています。
具体的には、エネルギーの使用の効率化、エネルギーの多角的な供給・利用の促進、環境に配慮したエネルギー政策の推進などが求められています。
また、省エネルギーに関する施策や技術の研究開発、普及促進なども行われています。

トップランナー制度
トップランナー制度は、省エネルギーの取り組みにおいて、最もエネルギー効率の高い製品や設備を「トップランナー」と定め、その基準をベンチマークとして、それ以下の製品や設備については、トップランナーに準じた性能を求める制度です。
具体的には、電化製品や自動車、建築物などが対象となっています。
トップランナー制度により、エネルギー効率の高い製品や設備の開発や普及が促進され、省エネルギーの取り組みが進んでいます。

建築物省エネ法
建築物省エネ法は、日本の建築物における省エネルギーの推進に関する法律です。
具体的には、建築物の省エネルギー性能の向上、省エネルギーの促進、省エネルギーに関する情報の提供などが求められています。
建築物省エネ法に基づいて、建築物の省エネルギー性能の測定や表示、省エネルギーに関する設備の整備や改修、省エネルギーに関する情報の提供などが行われています。
また、2020年には、建築物省エネ法に基づく義務付けが強化され、建築物の省エネルギー性能の向上が更に求められるようになりました。

エコまち法

エコまち法は、2009年に施行された日本の法律で、環境に配慮したまちづくりを推進することを目的としています。
具体的には、エネルギーの使用効率化、温室効果ガスの削減、資源の有効利用、自然環境の保全などが求められています。
また、エコまちの推進にあたり、地域住民や企業、自治体などが協力してまちづくりに取り組むことが求められています。

コンパクトシティ

コンパクトシティは、都市の空間構造を効率的かつ有効活用することで、交通量の削減、省エネルギー、都市機能の改善などを図るまちづくりの手法の一つです。
コンパクトシティは、住宅や商業施設などの建物を中心に、公共交通機関の整備、自転車や徒歩による移動の促進、公共スペースの有効活用などが含まれます。

コージェネレーション

コージェネレーションは、一つの設備で同時に電力と熱エネルギーを生産するシステムのことです。
一般的には、発電所や工場などで使用されています。
コージェネレーションにより、二酸化炭素の排出量の削減や、エネルギーの効率的な利用が可能となります。

ESCO事業

ESCO事業は、エネルギーサービス会社が、企業や公共施設などに対して、省エネルギー策の提供やエネルギー効率の改善を行い、その効果に応じた報酬を得るビジネスモデルのことです。
ESCO事業により、省エネルギー策の導入やエネルギー効率の改善が容易になり、企業や公共施設のエネルギーコストの削減や温室効果ガスの削減が可能となります。

ESCOは、英語の Energy Service Company の略で、日本語では「エネルギーサービス会社」と訳されます。

スマートグリッド

スマートグリッドは、エネルギーの供給・需要を効率的に調整するための電力網のことです。
一般的には、再生可能エネルギーの普及や、電気自動車などの普及に伴い需要が増えるエネルギー需要と供給を調整することで、電力システム全体の効率化や、蓄電池などのエネルギー貯蔵技術の活用が可能となります。
スマートグリッドにより、エネルギーの効率的な利用が促進され、省エネルギーや温室効果ガスの削減につながります。
また、スマートグリッドは、災害時などにおける電力供給の確保や、エネルギーのセキュリティ強化にも寄与することが期待されています。

生物多様性

生物多様性とは、地球上に存在する生物の多様性、種類や遺伝的なバリエーション、生態系の多様性などを指します。
生物多様性が保たれることにより、自然の保全や持続可能な開発に貢献することができます。

生物多様性基本法

生物多様性基本法は、日本の法律で、生物多様性の保全と持続的な利用の推進を目的としています。
生物多様性の保全に向けた具体的な施策や計画の策定が求められており、生物多様性の持続的な利用についても、持続可能な利用のための仕組みの整備や、関係者の協力体制の構築などが求められています。

生物多様性条約

生物多様性条約は、生物多様性の保全や持続可能な利用を目的として、1992年に締結された国際条約です。
生物多様性条約には、生物多様性の保全や持続的な利用のための具体的な施策が定められており、各国が生物多様性の保全に向けた取り組みを進めるための枠組みが整備されています。

生物多様性国家戦略

生物多様性国家戦略は、日本が策定した、生物多様性の保全と持続的な利用に関する国の基本的な方針や計画です。
生物多様性の保全や持続的な利用に向けた施策や取り組みが盛り込まれており、生物多様性の保全や持続的な利用に関する国の取り組みを指針として示しています。

ミレニアム生態系評価

ミレニアム生態系評価は、国連が主導して行った、世界の生態系の状況を評価する取り組みです。
2001年から2005年にかけて実施され、世界の生態系の状況や生物多様性の状況、生態系に影響を与える要因などが評価されました。
ミレニアム生態系評価により、生物多様性の保全や生態系の持続可能な利用に向けた取り組みの必要性が示され、世界的な注目を集めました。

生態系サービス

生態系サービスは、生物多様性の維持や生態系の健全性がもたらす人間の生活や経済に対する利益、例えば食料生産や水資源の確保、気候変動への対応などを指します。
自然が提供する様々なサービスが、私たちの日常生活や社会の発展にとって重要であることが、近年世界的に注目されています。

SATOYAMAイニシアティブ

SATOYAMAイニシアティブは、日本が提唱した、農村や山村などの人々が共生する文化的景観を保全し、生態系サービスを持続的に利用するための取り組みです。
農林水産業や地域住民、研究者などが協力して、生物多様性の保全や地域の活性化を進めることが目的となっています。

名古屋議定書

名古屋議定書は、2010年に採択された、生物多様性に関する国際的な枠組みです。
生物多様性の保全と持続的な利用のための目標や施策が定められており、各国が生物多様性の保全に向けた取り組みを進めるための枠組みが整備されています。

レッドリスト

レッドリストは、国際自然保護連合(IUCN)が作成する、絶滅の危機に瀕している野生生物の種や亜種のリストです。
IUCNが定めた基準に基づき、種や亜種の保全状況が評価され、絶滅危惧種に分類されます。
レッドリストは、世界の生物多様性の状況を把握する上で重要な指標となっています。

ラムサール条約

ラムサール条約は、湿地の保全と持続的な利用を目的として、1971年に締結された国際条約です。
湿地の重要性を認識し、湿地の生態系に生じる利益やサービスを守ることを目的としています。
現在、約170か国が加盟しており、世界各地の重要湿地が保護されています。

ワシントン条約

ワシントン条約は、絶滅の危機に瀕している野生動植物の国際取引を規制するために、1975年に締結された国際条約です。
正式名称は「野生動植物の種の国際取引に関する条約」で、略称として「CITES」とも呼ばれます。CITESにより、野生動植物が絶滅の危機に瀕している場合、国際的な取引が規制されます。
また、CITESの下で、野生動植物の種が国際的に取引可能か否かを判断するための科学的な調査や審議が行われています。
CITESは、世界的な野生動植物の保全に貢献することが期待されています。

CITESは、英語の “Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora” の略で、日本語では「野生動植物の種の国際取引に関する条約」と訳されます。

バイオセーフティ

バイオセーフティは、生物学的危険物質や遺伝子組み換え生物などの取り扱いに関する安全性を保つための対策を指します。
人間の健康や環境に対する影響を考慮した、生物の安全な取り扱いや運搬、利用が求められています。

カルタヘナ議定書
カルタヘナ議定書は、生物多様性に関する国際的な枠組みである生物多様性条約において、遺伝子組み換え生物に関する国際的な規制を定めた条約です。
遺伝子組み換え生物の取り扱いに関する安全性を保護し、人間の健康や環境に対する影響を考慮した安全管理が求められています。

カルタヘナはコロンビアにある地名です。カルタヘナは、2000年に開催された生物多様性条約締約国会議(COP6)において、遺伝子組み換え生物に関する国際的な規制を定めた「カルタヘナ議定書」が採択された場所としても知られています。

COP6は、生物多様性条約の締約国会議の6回目(Sixth Conference of the Parties)を指します。
COPは、英語の “Conference of the Parties” の略で、日本語では「締約国会議」と訳されます。
生物多様性条約の締約国会議は、締約国が条約の運用に関して議論し、合意を形成するために定期的に開催されています。

自然環境保全法

自然環境保全法は、自然環境の保全や修復を目的としています。
自然環境の保全に向けた具体的な施策や計画の策定が求められており、自然環境保全に関する国の基本的な方針を定めています。

自然公園法

自然公園法は、自然公園の指定や管理に関する法律です。
自然公園の保全に向けた具体的な施策や計画の策定が求められており、自然公園の管理・保護に関する国の基本的な方針を示しています。

自然再生推進法

自然再生推進法は、自然環境の修復や再生を推進するための法律です。
自然再生に向けた具体的な施策や計画の策定が求められており、自然再生に関する国の基本的な方針を示しています。

鳥獣保護管理法

鳥獣保護管理法は、鳥獣の保護や管理に関する法律です。
鳥獣の保護に向けた具体的な施策や計画の策定が求められており、鳥獣保護に関する国の基本的な方針を示しています。

自然共生圏

自然共生圏とは、自然界において、生物や環境が互いに関わり合い、バランスのとれた生態系を形成している地域を指します。
自然共生圏の維持や再生が重要であると考えられ、日本や学会などが自然共生圏に関する研究や活動を行っています。

特定外来生物

特定外来生物とは、外来種のうち、生態系に悪影響を及ぼし、特別な防止対策が必要な種を指します。
日本では、特定外来生物法に基づき、特定外来生物の持ち込みや移動、飼育などが禁止されています。
また、既に定着してしまった特定外来生物に対しては、駆除や管理が行われています。

森里川海プロジェクト

森里川海プロジェクトは、日本の環境保全活動の一つで、森林、里山、川、海など、地域の自然環境を総合的に保全するための取り組みです。
地域住民や企業、行政などが協力して、自然環境の保全や地域の活性化を進めることが目的となっています。

6.2 地域環境問題

(総監キーワード2023より抜粋)
有限な地球上において地球の恩恵を享受して発展し続けていくためには,持続可能な開発の理念に基づき,資源の大量消費・大量廃棄型社会から循環型社会に転換していくことが必要である。
環境問題には地球的規模の問題だけでなく,足元の地域的環境問題まで様々な問題がある。
組織としては,これら地域的環境問題についても積極的な対応を取ることが求められている。
地域的環境問題としては,廃棄物管理や大気汚染,水質汚濁,土壌汚染等の典型七公害のほか,ヒートアイランド問題や放射性物質による環境問題などが対象となる。

循環型社会の形成と廃棄物処理

循環型社会とは、資源の有効利用を促進し、廃棄物を最小化する社会のことを指します。
廃棄物処理は、廃棄物を処理し、再生可能な資源として再利用することを指します。
具体的には、リサイクルや再生利用、焼却や埋立処分、バイオマス利用などの方法があります。
循環型社会の形成と廃棄物処理には、政府や企業、個人などが積極的に取り組むことが必要です。

循環型社会形成推進基本法

循環型社会形成推進基本法は、2000年に制定された法律であり、循環型社会の形成を促進することを目的としています。
この法律に基づいて、廃棄物の減量化やリサイクルの推進、再生可能エネルギーの利用拡大などが進められています。

循環型社会形成推進基本計画
循環型社会形成推進基本計画は、循環型社会形成推進基本法に基づき、国が策定する計画であり、循環型社会の形成に向けた具体的な施策を定めるものです。
この計画には、廃棄物処理の改善やリサイクルの拡大、環境負荷の低減などが含まれます。

3R
3Rとは、Reduce(減量)、Reuse(再利用)、Recycle(リサイクル)のことで、廃棄物を最小限に抑え、再利用・リサイクルすることによって資源の有効利用を促進することを目的とした考え方です。

都市鉱山
都市鉱山とは、都市圏の建設廃棄物やリサイクル可能な廃棄物を回収・分別・再生利用することで、新たな資源を確保する取り組みを指します。
都市圏の廃棄物を鉱山のように扱い、再利用することで、地球環境の保護に貢献することが期待されています。

資源有効利用促進法
資源有効利用促進法は、2001年に施行された法律であり、廃棄物の減量化やリサイクルの促進、再生可能エネルギーの利用拡大などを通じて、資源の有効利用を促進することを目的としています。

容器包装リサイクル法
容器包装リサイクル法は、1995年に施行された法律であり、容器包装を対象に、再利用・リサイクルを促進することを目的としています。
この法律に基づき、自治体がリサイクルを促進するための施策を取り、企業がリサイクルに参加することが義務付けられています。

家電リサイクル法
家電リサイクル法は、2001年に施行された法律であり、家電製品を対象に、リサイクルを促進することを目的としています。
この法律に基づき、自治体がリサイクルを促進するための施策を取り、メーカーがリサイクルに参加することが義務付けられています。

小型家電リサイクル法
小型家電リサイクル法は、2013年に施行された法律であり、小型家電製品を対象に、リサイクルを促進することを目的としています。
この法律に基づき、自治体がリサイクルを促進するための施策を取り、メーカーがリサイクルに参加することが義務付けられています。

自動車リサイクル法
自動車リサイクル法は、2005年に施行された法律であり、自動車のリサイクルを促進することを目的としています。
この法律に基づき、自動車を廃棄する際には、リサイクル料金を支払うことが義務付けられています。

建設リサイクル法
建設リサイクル法は、2000年に施行された法律であり、建設工事における廃棄物のリサイクルを促進することを目的としています。
この法律に基づき、建設業者は、廃棄物の分別・再利用を行うことが義務付けられています。
また、自治体や国も建設廃棄物の処理に関する指導や支援を行うことが規定されています。

食品リサイクル法
食品リサイクル法は、2015年に施行された法律であり、食品ロスの削減とリサイクルを促進することを目的としています。
この法律に基づき、自治体や企業が食品ロスの削減に取り組むための支援や啓発活動を行うことが求められています。

グリーン購入法
グリーン購入法は、2000年に施行された法律であり、政府や自治体などの公的機関が、環境に配慮した製品・サービスを優先的に購入することを促進することを目的としています。
この法律に基づき、公的機関は、環境に配慮した製品・サービスの購入比率を増やすことが求められています。

廃棄物処理法

廃棄物処理法は、1970年に制定された法律であり、廃棄物の処理方法を規定する法律です。
廃棄物の減量化、再利用・リサイクル、埋立処分、焼却処分などの方法が定められています。

マニフェスト制度
マニフェスト制度とは、廃棄物の発生・収集・運搬・処理に関する情報を記録した書類である「マニフェスト」を作成し、廃棄物の移動を追跡・管理する制度のことです。
日本では、1991年に廃棄物の適正処理のために導入されました。

特別管理廃棄物
特別管理廃棄物とは、危険性が高い廃棄物のことを指します。
特に、医療廃棄物や有害物質を含む廃棄物などが該当します。
日本では、特別管理廃棄物に関する処理方法が法律で定められています。

災害廃棄物
災害廃棄物とは、自然災害や人災などによって発生した廃棄物のことを指します。
災害廃棄物は、一般廃棄物や特別管理廃棄物などの種類に分類され、処理方法も異なります。

PCB特別措置法
PCB特別措置法は、1973年に制定された法律であり、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含む廃棄物について、特別な処理方法を定めた法律です。
PCBは、人体や環境に有害な物質とされており、この法律に基づき、特定の施設でのみ処理が行われています。

PCBは、ポリ塩化ビフェニル(PolyChlorinated Biphenyls)の略称です。

バーゼル条約

バーゼル条約は、廃棄物の移動に関する国際的な取り決めであり、1989年に採択されました。
この条約により、危険な廃棄物の移動や取り扱いが制限され、環境や人間の健康を保護することを目的としています。

E-waste問題

E-waste問題は、電子機器の廃棄物問題を指します。
電子機器は、金属資源やレアメタルなどの貴重な資源を含んでいるため、適切なリサイクルや再生利用が必要です。
また、電子機器から排出される有害物質による環境汚染や健康被害も問題となっています。

E-wasteは、Electronic Waste(電子廃棄物)の略称です。

海洋プラスチック問題

海洋プラスチック問題は、プラスチック製品の海洋汚染問題を指します。
プラスチック製品は、自然分解が非常に遅く、海洋生物に深刻な影響を与えることがあるため、問題となっています。

プラスチック資源循環法

プラスチック資源循環法は、2022年に施行される予定の日本の法律であり、プラスチック製品の減量化やリサイクル促進などを通じて、プラスチック資源の有効活用を促進することを目的としています。

プラスチック資源循環戦略
プラスチック資源循環戦略は、日本政府が策定したプラスチック製品のリサイクル・再生利用を推進するための戦略です。
プラスチック資源循環法を中心に、プラスチック製品のリサイクル技術の開発や普及、消費者啓発活動などが進められています。

公害

公害とは、環境に対して害を与える汚染物質や騒音、振動、臭気などのことを指します。
公害は、人間の健康や生活環境に深刻な影響を与えるため、社会問題となっています。

四大公害病

四大公害病とは、日本において昭和30年代から70年代にかけて、産業発展に伴う公害によって発生した健康被害の代表的な病気を指します。
四大公害病は、水俣病、新潟水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病とされています。

公害対策基本法

公害対策基本法は、1970年に制定された日本の法律であり、環境保全の観点から公害の予防・防止に関する基本的な方針を定めた法律です。
この法律に基づき、各種公害に対する防止や除去策が取られています。

典型7公害

大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭

大気汚染防止法

大気汚染防止法は、1970年に制定された日本の法律であり、大気汚染の防止及びその原因である排出物質の規制を目的としています。
主な規制対象として、工場や自動車などの排出物質の規制が含まれています。

自動車NOx・PM法
自動車NOx・PM法は、2001年に施行された日本の法律であり、自動車の排出ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)及び微小粒子状物質(PM)の規制を目的としています。
この法律に基づき、自動車の排ガス規制が強化されています。

PMは、Particulate Matter(粒子状物質)の略称です。

光化学オキシダント

光化学オキシダントとは、太陽光の影響によって大気中の酸化物質が反応して生成される化学物質のことを指します。
光化学オキシダントは、オゾンや酸化窒素などが含まれており、人体や植物に有害な影響を与えることがあります。

揮発性有機化合物(VOC)

揮発性有機化合物とは、常温常圧で揮発する有機化合物のことを指します。
自動車の排ガスや工場の排出物、塗料や接着剤、洗剤などの一般消費者製品にも含まれています。
VOCは、大気汚染の原因物質の一つとされています。

微小粒子状物質(PM2.5)

微小粒子状物質とは、直径が2.5マイクロメートル以下の微小な粒子状物質のことを指します。
主な発生源は、自動車や工場の排出ガス、火力発電所などです。
PM2.5は、呼吸器疾患や心血管系疾患の原因物質とされており、健康被害の問題となっています。

PM2.5は、直径が2.5マイクロメートル以下の微小な粒子状物質を指す用語

水質汚濁防止法

水質汚濁防止法は、1970年に制定された法律であり、水環境の保全及び水質汚濁の防止を目的としています。
主な規制対象として、工場や河川、海洋などの水質汚染源に対する規制が含まれています。

土壌汚染対策法

土壌汚染対策法は、2002年に制定された法律であり、土壌汚染の防止及び土壌の健全な利用を目的としています。
この法律に基づき、土壌汚染の調査・評価、汚染物質の除去・処分、汚染責任の明確化などが行われています。

原位置浄化
原位置浄化とは、土壌汚染の除去方法の一つで、土壌をそのままにして現地で浄化する方法です。
汚染された土壌中の微生物や酵素を活用したり、吸着剤や酸化剤を使って汚染物質を分解したりすることで、土壌の浄化を図ります。

バイオレメディエーション
バイオレメディエーションとは、土壌や地下水などの環境中に存在する汚染物質を、微生物や酵素を用いて分解する技術のことを指します。
この技術により、土壌や地下水の浄化が可能となります。
バイオレメディエーションは、環境への負荷が少なく、低コストであることが特徴です。

感覚公害(騒音,振動,悪臭)

感覚公害とは、騒音、振動、悪臭のように、人の五感に影響を与える公害のことを指します。
これらの公害は、人間の生活環境や健康に深刻な影響を与えるため、社会問題となっています。
感覚公害に対する規制は、公害対策基本法や都道府県の騒音規制条例などによって定められています。

アスベスト問題

アスベストは、建築資材や船舶、自動車、家電製品などの製造に使用された建築用材料であり、繊維状の鉱物質です。
アスベストは、呼吸器系疾患や癌の原因物質とされており、特に労働者の健康に深刻な影響を与えました。
アスベストによる健康被害を防止するため、アスベスト規制法が制定され、使用禁止や除去などの対策が進められています。

アスベストは、その強度や耐熱性、断熱性、耐酸性、防火性などに優れた特性を持ち、様々な用途で広く使用されていました。
具体的には、以下のような用途がありました。

  1. 建築資材: 建築資材として、屋根材、外壁材、断熱材、床材、天井材、配管材などに使用されました。
  2. 自動車産業: 車体部品、制動装置、断熱材、消音材などに使用されました。
  3. 船舶産業: 船舶の船体、船底、船内の断熱材、防音材、消音材などに使用されました。
  4. 産業機械: 機械の配管、断熱材、消音材などに使用されました。
  5. 電気製品: 電気製品の断熱材、消音材、耐火材などに使用されました。

しかし、アスベストの健康被害が明らかになるにつれ、その使用は次第に規制されるようになりました。

化学物質と環境リスク

化学物質は、製造や使用に伴い、環境汚染や健康被害を引き起こすことがあります。
これらのリスクを低減するため、化学物質の適切な管理が求められています。
例えば、化学物質の評価・規制、適正取り扱いの推進、事故発生時の対応などが挙げられます。

ダイオキシン類対策特別措置法

ダイオキシン類対策特別措置法は、1997年に施行された法律であり、ダイオキシン類の発生及び拡散の防止、健康被害の防止を目的としています。
この法律に基づき、ダイオキシン類の排出規制や廃棄物の処理方法の改善などが進められています。

化審法

化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律:化審法は、1949年に制定された日本の法律であり、化学物質の製造及び販売に対する許認可制度を定めています。
この法律に基づき、製造業者は、製品の種類や用途、使用量などを報告し、製品が安全かつ適切に管理されているかを審査されます。

化管法/PRTR法

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(化学物質排出把握管理促進法、又は単に化管法)に関する情報を公開しています。
化管法は、PRTR制度とSDS制度を柱として、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とした法律です。

PRTR(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出制度)

化学物質排出把握管理促進法(METI/経済産業省)

SDS
SDSは、Safety Data Sheetの略称で、化学物質の安全性に関する情報をまとめた文書です。
製品の安全使用方法、危険性評価、取り扱い上の注意点などが記載されています。
SDSは、職場や消費者など、化学物質を取り扱うすべての人々にとって重要な情報源となっています。

化管法SDS制度(METI/経済産業省)

POPs条約

POPs条約は、人間や環境に深刻な影響を与える特定の有害物質(POPs)の製造、取り扱い、排出を規制するための国際条約です。
POPsは、長期間にわたって環境中に残留し、地球規模で生物濃縮を起こすことで、生態系や人体に深刻な影響を与えます。
日本もこの条約を批准しており、POPsに関する規制や対策が進められています。

POPs(Persistent Organic Pollutants:残留性有機汚染物質)

水俣条約

水俣条約は、水俣病の原因物質である有機水銀の製造、販売、使用、排出、廃棄などを規制するための国際条約です。
水俣病は、有機水銀が原因で発生した公害病であり、日本をはじめとする世界各国で深刻な社会問題となりました。
この条約に基づき、有機水銀の製造・輸出入・使用・廃棄に関する規制が進められています。

水銀汚染防止法
水銀汚染防止法は、水銀が原因となる環境汚染の防止を目的とした日本の法律です。
水銀は、人体や環境に深刻な健康被害を引き起こすことがあるため、製造、輸入、販売、使用、廃棄などに関する規制が定められています。
具体的には、水銀を含む廃棄物の処理方法の改善や、水銀を使用する産業に対する規制、水銀の排出量削減に向けた取り組みなどが進められています。

REACH規制

REACH(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals)規制は、EU(欧州連合)で導入された化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規制です。
REACH規制により、欧州市場に流通する化学物質の安全性を確保することが目的とされています。
REACHでは、化学物質の安全性情報の提供、登録、評価、認可、制限などが定められており、企業はこれらの要件を遵守することが求められています。

SAICM

SAICM(Strategic Approach to International Chemicals Management)は、国際的な化学物質管理の枠組みであり、化学物質による人間や環境の健康への影響を最小限に抑えることを目的としています。
SAICMは、UNEP(国連環境計画)と世界保健機関(WHO)によって共同で策定されました。
SAICMでは、化学物質の持続可能な管理や、開発途上国や中小企業における化学物質管理の強化、情報の共有や教育、研究開発などが進められています。

異常気象と防災

異常気象は、近年ますます深刻化している自然災害の一つです。
大雨、台風、豪雨、熱波など、異常気象が原因で引き起こされる災害は、甚大な被害をもたらすことがあります。
このため、防災においては、異常気象に対する情報の収集と分析、早期警戒・避難の徹底などが求められます。

ヒートアイランド現象

ヒートアイランド現象とは、都市部で周辺地域よりも高い気温が観測される現象のことです。
建物や舗装路などの都市基盤が熱を吸収・蓄積することで、周辺地域よりも気温が上昇するため、熱中症や熱中症対策、省エネルギー対策が求められます。

都市型水害

都市型水害とは、豪雨や台風などによって都市部が浸水することで引き起こされる災害のことです。
都市部では、急峻な地形や下水道の設備の老朽化、河川改修などが原因で、水害が発生するリスクが高まっています。

液状化現象

液状化現象は、地震などの揺れによって地盤が液状化し、建物が崩壊するなどの被害が発生する現象のことです。
主に湿潤な地盤で発生しやすく、防災対策としては、地盤改良などが行われます。

ハザードマップ

ハザードマップとは、災害リスクの高い地域や危険箇所を示した地図のことです。
災害リスクの高い地域や危険箇所を把握することで、防災対策の計画や避難誘導などが行われます。

防災気象情報

防災気象情報とは、気象庁が発表する災害に関する情報のことです。
大雨、台風、暴風雪など、異常気象が原因で災害が発生する可能性がある場合に、地域ごとに警報や注意報が発表されます。
防災気象情報は、早期避難や必要な対策を取るために、地域住民や関係機関などに周知されます。

警戒レベル
警戒レベルは、気象庁が発表する天気に関する警戒度合いを示す指標です。
大雨や台風などの異常気象に関しては、災害リスクに応じて、5段階の警戒レベルが設定されています。
地域住民や関係機関は、警戒レベルに応じた対策や避難を行うことが求められます。

放射性物質による環境問題

放射性物質による環境問題は、原子力発電所の事故や核実験などによって放出された放射性物質が環境に拡散し、人や生物に健康被害をもたらすことがある問題です。
放射性物質による環境問題を防止するために、厳格な安全基準の確立や適切な廃棄処理が求められています。

原子力災害対策特別措置法

原子力災害対策特別措置法は、原子力発電所事故などの災害が発生した場合に、迅速かつ適切な対応を行うために制定された法律です。
具体的には、緊急時の避難や医療などの支援、放射線防護対策、被災地の復旧・再生などが定められています。

放射性物質汚染対処特別措置法

放射性物質汚染対処特別措置法は、放射性物質による汚染に対して、迅速かつ適切な対応を行うために制定された法律です。
具体的には、汚染地域の除染や生活環境の改善、健康管理や情報提供などが定められています。

除染特別地域
除染特別地域とは、放射性物質によって汚染された地域で、放射性物質の除染が必要とされる地域のことを指します。
除染特別地域では、住民の健康や生活環境を守るため、迅速で適切な除染が求められます。

汚染状況重点調査地域
汚染状況重点調査地域とは、原子力発電所の事故などによって放射性物質が拡散した地域で、放射性物質の影響が懸念される地域のことを指します。
政府や地方自治体によって調査が行われ、放射性物質の影響や住民の健康などが詳しく把握され、適切な対策が講じられます。
汚染状況重点調査地域には、避難指示区域や避難準備区域が設定され、住民の安全確保が図られます。

放射性廃棄物

放射性物質が含まれた廃棄物のことを指します。
原子力発電所や医療機関、産業などから発生する放射性廃棄物は、放射能汚染や健康被害を引き起こす可能性があるため、適切な処理が求められています。

中間貯蔵施設

中間貯蔵施設とは、放射性廃棄物を長期間安全に保管する施設のことを指します。
日本では、原子力発電所や医療機関から発生する中間貯蔵レベルの放射性廃棄物を収容するため、中間貯蔵施設が設置されています。

ALPS処理水

ALPS処理水とは、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴って発生した高濃度放射性物質を含む汚染水を処理するために導入された処理方式のことを指します。
ALPS処理水は、セシウムやストロンチウムなどの放射性核種を高効率で除去することができますが、トリチウムなどは除去されず、海洋放出などの問題が懸念されています。

ALPSは、Advanced Liquid Processing System(高度液体処理システム)の略です。
ALPSは、福島第一原子力発電所事故によって発生した高濃度放射性物質を含む汚染水を処理するために、東京電力が導入した処理システムです。
ALPSは、複数の処理工程を組み合わせることによって、セシウムやストロンチウムなどの放射性核種を高い効率で除去することができます。
ALPSの処理水は、トリチウムなどは除去されないため、処理後の処理水の廃棄方法については検討が必要とされています。

クリアランスレベル

クリアランスレベルとは、建物や土壌などに含まれる微量の放射性物質が、一定の基準以下であることを示す規定値のことを指します。
クリアランスレベルを下回る場合は、放射線被ばくの危険性が低いとされ、特定施設や一般家庭の廃棄物などが、放射性物質を含んでいても処分することができます。

6.3 環境保全の基本原則

(総監キーワード2023より抜粋)
環境保全に関する制度やルールは,多くの場合,対策実施主体に関する汚染者負担原則,拡大生産者責任等,対策の実施時期に関する未然汚染防止原則,予防原則等の基本原則に依拠している。
また環境保全の取組を推進し,環境政策の目標を達成するためには,従来からの規制的手法に加え,経済的手法,情報的手法,手続き的手法,自主取組的手法等の各種政策手段を適切に組み合せることが必要である。
環境アセスメント,ライフサイクルアセスメント,戦略的環境アセスメントなどもこれらの中に位置づけられる。

環境基本法

環境基本法は、環境政策の基本を定めた法律であり、1993年に制定されました。
この法律は、地球環境を保全し、持続可能な社会の形成を図ることを目的としています。
具体的には、環境基本計画の策定、環境影響評価の実施、環境基準の設定などを定めています。

環境基本計画

環境基本計画は、環境基本法に基づき、国が環境保全のために策定する5年間の計画です。
この計画は、環境基本法で定められた環境目標を達成するための方策や施策をまとめたものであり、地域の実情や課題に合わせて作成されます。
環境基本計画には、二酸化炭素排出量削減目標や再生可能エネルギーの利用拡大などが含まれます。

地域循環共生圏

地域循環共生圏は、環境基本法に基づき、地域における資源の循環や再利用を促進するための概念です。
具体的には、地域内で発生する廃棄物の最小化や、再生可能エネルギーの利用促進、地域産業との連携などを通じて、地域内の資源を有効活用し、環境保全と経済発展を両立させることを目指しています。

環境基準

環境基準は、環境基本法に基づき、環境に対する影響を測定するための指標です。
具体的には、水質基準や大気汚染物質基準などがあり、それぞれの分野において、人体や環境に悪影響を及ぼす可能性のある物質の濃度や量が定められています。
環境基準は、これらの基準値に対してどの程度違反しているかを測定し、必要に応じて環境対策を講じるための基礎データとなります。

汚染者負担原則(PPP)

汚染者負担原則 (Polluter Pays Principle, PPP) は、環境汚染の原因となった企業や個人が、その責任を負うべきという原則です。
つまり、汚染者が負担することで、環境保護のためのコストを分担し、環境に対する負荷を軽減することを目的としています。

拡大生産者責任(ERP)

拡大生産者責任 (Extended Producer Responsibility, EPR) は、製品の生産者がその廃棄物の処理責任を負うべきという原則です。
つまり、製品を販売する際にその廃棄についても責任を持ち、リサイクルなどの処理を行うことで、環境負荷を軽減することを目的としています。

未然防止原則

未然防止原則は、事故や災害などの発生を未然に防止することが重要であるという原則です。
つまり、事前に予防策を講じることで、環境や人への被害を最小限に抑えることを目的としています。

予防原則

予防原則は、環境汚染などの問題が発生する前に、その原因を排除することが重要であるという原則です。
つまり、環境に悪影響を及ぼす可能性のある物質や活動について、予防的な措置を講じることで、環境被害を未然に防止することを目的としています。

源流対策原則

源流対策原則は、環境汚染などの問題が発生する原因を根本から取り除くことが重要であるという原則です。
つまり、環境被害を引き起こす原因を特定し、その原因を取り除くことで、環境被害を未然に防止することを目的としています。

協働原則

協働原則は、環境保全に関する問題解決にあたり、行政機関、民間企業、市民などが協力して取り組むことが重要であるという原則です。
つまり、関係者が連携し、持続可能な社会を実現するために必要な取り組みを協力して進めることを目的としています。

パートナーシップ

パートナーシップは、企業や政府、地域住民、NGOなどが協力し、共通の目的を達成することを目的とした協力関係を指します。
環境保全においては、企業が自主的に環境負荷を軽減する取り組みを行い、地域住民やNGOと協力して環境問題を解決することが求められます。
また、政府が企業や市民社会と協働して環境保全のための政策を策定・実施することも重要な取り組みの一つです。

エンドオブパイプ型対策

エンドオブパイプ型対策とは、環境問題を解決する際に、その末端で排出される物質を処理する手法を指します。
つまり、排出される物質を取り除くことで環境負荷を軽減する手法であり、浄化槽や煙突から出る排ガスの浄化装置などが代表的な例です。

規制的手法

規制的手法は、法律や条例によって企業や個人の行動を制限する手法を指します。
具体的には、排出規制や総量規制、パフォーマンス規制などがあります。

パフォーマンス規制

パフォーマンス規制は、企業が達成すべき基準や目標を定め、その達成度合いを評価する規制です。
具体的には、大気汚染防止法における排出基準や、ISO14001のような国際規格が挙げられます。
パフォーマンス規制は、企業に自由度を与え、環境保護において技術革新を促進することができるメリットがあります。

排出規制
排出規制は、企業や個人が排出する物質や放射性物質などの量や濃度を法律や条例で定める規制です。
具体的には、大気汚染防止法におけるNOxやSOxなどの排出基準や、水質汚濁防止法における水質基準などが挙げられます。

総量規制
総量規制は、ある地域や産業部門における、特定の物質の総量を法律や条例で規制する手法です。
具体的には、大気汚染防止法におけるSOxやNOxの総量規制などが挙げられます。
総量規制は、ある物質の総量を制限するため、排出源の縮小や代替物質の利用促進などを進めることができるメリットがあります。

行為規制

行為規制は、社会的な行動や習慣を変えるための手法として、公共の場や環境保全に関する問題において効果が期待されます。
行為規制には、罰則が設けられていることが多く、違反した場合には罰金や懲役などの制裁を受けることがあります。
また、行為規制は、社会的な意識を高めるための啓発活動や、行政の監視・取り締まりなども必要とされます。

環境保全においても、行為規制は重要な手法の一つです。
具体的には、森林法における伐採規制や、漁業法における漁獲制限などが挙げられます。
これらの規制により、自然環境の保全や資源の持続的な利用が図られることが期待されます。

経済的手法

経済的手法は、市場経済の仕組みを利用して、環境保全の目的を達成するために導入される手法を指します。
具体的には、環境税、カーボンプライシング、課徴金、デポジット制度などがあります。

環境税・カーボンプライシング

環境税は、環境負荷の大きい活動に対して課税し、環境保全に向けた行動を促す手法です。
例えば、自動車の排気ガスや廃棄物の処理などが環境税の対象となります。
環境税は、市場メカニズムを利用するため、企業や個人が自ら環境負荷を減らすことが経済的に有利になるため、環境保全につながることが期待されます。

カーボンプライシングは、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出に対して、課金する制度です。
具体的には、企業や個人が排出する温室効果ガスに対して、排出量に応じたカーボン価格を設定し、環境保全に向けた行動を促すことが目的です。
カーボンプライシングは、温室効果ガス排出削減のための市場メカニズムを利用し、企業や個人が自ら温室効果ガスの排出を減らすことが経済的に有利になるため、環境保全につながることが期待されます。

課徴金

課徴金は、特定の法律や条例に違反した場合に課せられる罰金のことを指します。
具体的には、廃棄物処理法に違反した場合や、大気汚染防止法に違反した場合などが挙げられます。
課徴金は、違反行為に対する罰則として、企業や個人の環境負荷を軽減するための抑止効果が期待されます。

デポジット制度

デポジット制度は、商品を販売する際に、その商品の廃棄に際して必要な処理費用を商品価格に含める代わりに、一定額のデポジットを徴収する制度です。
具体的には、ペットボトルや缶などが挙げられます。
デポジット制度は、消費者が商品を購入する際に、一定額のデポジットを支払い、使用後に再び商品を回収することでデポジットを返金する制度です。
デポジットを支払うことで、消費者に廃棄時の責任を促し、リサイクルによる資源循環を促進することが期待されます。

デポジット制度は、環境保全に貢献するだけでなく、リサイクル産業の発展にもつながるため、多くの国で導入されています。
また、デポジット制度を導入することで、従来の廃棄物処理にかかる費用を削減することができるため、行政にとってもメリットがあります。
一方で、デポジット制度は、消費者が負担する費用が増えることや、商品価格の上昇につながることなどが課題として指摘されています。

デポジットは「deposit」と言います。デポジット制度は「deposit system」と表現されることがあります。
「デポジット」の日本語の直訳は「預金」となります。
しかし、デポジット制度においては、商品を返却することで預けた金額が返金されることから、この名称が用いられています。

情報的手法

情報的手法は、環境保全に関する情報を提供することで、消費者や企業の行動を変える手法を指します。
具体的には、環境ラベル、環境報告書、環境マーケティングなどがあります。

環境ラベル

環境ラベルは、製品に貼られたラベルによって、その製品の環境負荷や環境に対する取り組み状況を示す制度です。
具体的には、環境省が定める「エコマーク」や、EUが定める「EUエコラベル」などが挙げられます。
環境ラベルは、消費者が環境負荷の低い製品を選択しやすくすることで、企業に環境に配慮した製品の開発・生産を促し、環境保全につながることが期待されます。

環境報告書は、企業が自らの環境負荷や環境に対する取り組み状況を公表することで、消費者や投資家などのステークホルダーに対して情報提供を行うことを指します。
環境報告書は、企業が自主的に環境保全の取り組みを行うことを促し、企業の社会的責任(CSR)の向上につながることが期待されます。

環境マーケティングは、環境保全に配慮した製品やサービスを提供することで、消費者のニーズに応える手法を指します。
環境マーケティングは、企業の商品開発や販売戦略に環境保全の視点を取り入れることで、企業の競争力の向上につながることが期待されます。

これらの情報的手法は、企業や消費者が環境保全に関心を持ち、自主的に行動を変えることを促すための手法です。
そのため、環境負荷を抑えた製品やサービスの開発や提供が進み、環境保全につながることが期待されます。

手続き的手法

手続き的手法は、環境保全に関する手続きを定めることで、企業や行政が環境負荷を最小限に抑えることを目的とした手法を指します。
具体的には、環境影響評価法、スクリーニング、スコーピング、戦略的環境アセスメントなどがあります。

環境影響評価法

環境影響評価法は、企業が新規プロジェクトを実施する場合に、そのプロジェクトが環境に及ぼす影響を事前に評価する制度です。
環境影響評価法によって、プロジェクトの実施前に環境に対する影響を予測し、必要に応じて対策を講じることで、環境保全に配慮した事業展開が促進されます。

スクリーニング
スクリーニングは、環境影響評価の対象となるプロジェクトを事前に選別する手法です。
具体的には、規模の小さいプロジェクトや、環境負荷が小さいと考えられるプロジェクトなどが、環境影響評価の対象外とされます。
スクリーニングによって、環境影響評価の対象となるプロジェクトを絞り込むことで、環境影響評価の効率化が図られます。

スコーピング
スコーピングは、環境影響評価の対象範囲を明確にする手法です。
具体的には、プロジェクトの実施場所や、影響を及ぼす環境要因などを明確にし、環境影響評価の対象範囲を限定します。
スコーピングによって、環境影響評価の対象範囲を明確化することで、評価の対象となる環境要因に集中することができます。

戦略的環境アセスメント
戦略的環境アセスメントは、国や地域の発展戦略や政策に対して、環境影響評価を行う手法です。
具体的には、環境に対する影響を予測し、政策の改善や調整を行うことで、環境保全に配慮した社会的な発展が促進されます。
戦略的環境アセスメントは、長期的な視野に立った環境保全の取り組みを進めるために重要な手法です。

これらの手続き的手法は、企業や行政が環境負荷を最小限に抑えるための手続きを明確化することで、環境保全を進めるための効果的な手法となっています。
また、これらの手法は、環境保全に関する情報を公開し、利害関係者の参加を促すことで、社会的合意形成を促進することも期待されています。

合意的手法

合意的手法は、利害関係者が協力し、環境保全の目標を共有することで、環境保全を進める手法を指します。
具体的には、環境協定や環境パートナーシップなどがあります。
環境協定は、政府や企業、市民団体などが協力して、環境保全に関する目標や計画を策定する制度です。
環境パートナーシップは、企業が自発的に環境保全の取り組みを行い、その成果を市民団体や地域住民と共有することで、信頼関係を築きながら環境保全を進める手法です。

自主的取組手法

自主的取組手法は、企業が自主的に環境負荷を軽減するために取り組む手法を指します。
具体的には、環境マネジメントシステム(EMS)やエコデザインなどがあります。
環境マネジメントシステムは、企業が環境負荷を把握し、環境保全に向けた取り組みを計画的に進めるための管理システムです。
エコデザインは、製品の設計段階から環境負荷を軽減するための手法です。
自主的取組手法は、企業が自ら環境負荷を軽減することで、環境保全に積極的に取り組む姿勢を示し、社会的信頼を得ることが期待されます。

EMSは、Environmental Management Systemの略で、環境マネジメントシステムを指します。
企業が環境負荷を把握し、環境保全に向けた取り組みを計画的に進めるための管理システムです。
ISO 14001などの国際規格に基づいたEMSを導入することで、環境に配慮した経営を進め、社会的信頼を得ることが期待されます。

バックキャスティング

バックキャスティングは、未来の理想的な社会像を描き、その実現に向けた具体的な行動を逆算する手法です。
具体的には、2050年における環境保全の理想的な社会像を描き、その実現に向けて現在からどのような取り組みを進めるべきかを考えます。
バックキャスティングは、将来の社会像を描くことで、現在の取り組みに明確な目標を設定し、環境保全に向けた具体的な行動を促すことが期待されます。

「backcasting」の直訳は「後ろ向きのキャスティング」ですが、一般的には「逆向き予測」と訳されることが多いです。

ライフサイクルアセスメント

ライフサイクルアセスメントは、製品やサービスのライフサイクル全体にわたる環境負荷を評価する手法を指します。
具体的には、原材料の生産から廃棄処理までの全工程におけるエネルギーや資源の消費、排出物の発生量などを評価し、環境負荷を把握することができます。
ライフサイクルアセスメントによって、企業は自社製品の環境負荷を把握し、改善のための施策を策定することができます。

環境教育

環境教育は、環境問題についての理解を深め、環境保全に関する意識や行動を促すための教育を指します。
具体的には、学校教育や社会教育、企業の研修などがあります。
環境教育によって、人々が環境に対する関心を高め、自然環境や生物多様性の保全に向けた取り組みを進めることが期待されます。

持続可能な開発のための教育(ESD)

持続可能な開発のための教育(ESD)は、環境教育の一形態であり、持続可能な社会の実現に向けた教育を指します。
ESDは、環境問題だけでなく、社会経済的な問題や人権などの社会的課題にも取り組むことで、地球上で誰もが幸福に暮らすことができる社会の実現を目指します。
具体的には、学校教育や地域教育、企業の社員研修などがあります。
ESDによって、人々が持続可能な社会を実現するための知識やスキルを身につけ、行動を変えることが期待されます。

ESDは、Education for Sustainable Developmentの略で、持続可能な開発のための教育を指します。

6.4 組織の社会的責任と環境管理活動

(総監キーワード2023より抜粋)
企業等の組織は,自然資源の恩恵を受け,一方何らかの環境負荷を及ぼし活動を行っている。
企業等も社会を構成する一員であり,持続可能な社会の実現に向けて自らの社会的責任を果たすべきとのCSRの考え方が定着してきている。
さらに営利,非営利組織にかかわらずすべての組織においてもこのような考え方(SR)が広まっている。
また,企業等が,その経営の中で自主的に環境保全に関する取組を進めるために,環境に関する方針や目標を自ら設定し,これらの達成に向けて取り組んでいく「環境管理」又は「環境マネジメント」や,このための工場や事業所内の体制・手続き等の仕組みである「環境マネジメントシステム」(EMS)が重視されてきている。
外部報告活動としての環境報告書や,外部報告と内部管理の両面において効率的な経営を実現するためのツールとしての環境会計なども対象とする。

公害防止管理者

公害防止管理者とは、法律に基づき指定された企業や施設において、公害の発生を防止し、環境保全を促進するための役職やポジションのことです。
公害防止法や廃棄物の処理及び清掃に関する法律などにより、公害防止管理者の任命が義務づけられている場合があります。

資格制度の概要|国家試験・資格認定講習|公害防止管理者 |一般社団法人産業環境管理協会 (jemai.or.jp)

社会的責任(SR)

社会的責任(SR)とは、企業や組織が、経済的な利益追求だけでなく、社会や環境に貢献することを意味します。
具体的には、法令遵守や人権の尊重、環境保全などが含まれます。
企業が社会的責任を果たすことは、長期的な信頼性や価値を向上させることができるため、近年注目されています。

SRは「社会的責任(Social Responsibility)」の略

CSR(組織の社会的責任)

CSRとは、Corporate Social Responsibilityの略であり、組織が社会的責任を果たすために行う活動のことです。
CSRには、法令遵守や人権の尊重、環境保全、社会貢献などが含まれます。
CSRは、企業が社会に貢献することを通じて、社会的評価や信頼性を向上させることができます。

CSV(共通価値創造)

CSVとは、Creating Shared Valueの略であり、企業が社会問題を解決することで、経済的な価値を生み出すことを目的とした概念です。
企業は、社会問題の解決によって市場機会を開拓し、利益を得ることができます。

社会的責任投資(SRI)

社会的責任投資(SRI)とは、社会的責任を重視する投資方法のことです。
具体的には、環境や社会に配慮した企業に投資することで、社会的な価値を追求することができます。

SRIは「社会的責任投資(Socially Responsible Investment)」の略

ESG投資・ESG金融

ESG投資・ESG金融とは、企業や投資先の環境・社会・ガバナンス(ESG)に配慮した投資・金融のことです。
具体的には、環境保全や社会的な配慮、企業統治の改善を重視する投資や金融商品があります。
ESG投資・ESG金融は、長期的な視野での投資や金融が求められるとされ、近年注目を集めています。

ESGは「環境、社会、ガバナンス(Environment, Social, Governance)」の略

投資と金融は、両方ともお金に関する用語であるため、しばしば混同されることがありますが、異なる概念です。

投資とは、将来的な利益や収益を得ることを目的に、ある種の資産(株式、債券、不動産、商品など)を購入することを指します。
投資により購入した資産が価値を上げれば、売却時に収益を得ることができます。
投資には、資産の種類や目的に応じて、リスクやリターンが異なるため、投資家は自身の目的やリスク許容度に合わせて投資を選択します。

金融とは、お金に関する様々なサービスや商品を扱う分野で、銀行や証券会社、保険会社、投資信託会社などが関わっています。
金融には、預金や融資、投資、保険、外国為替取引、証券取引などが含まれます。
金融の目的は、お金を有効に活用して、利益を得たり、リスクを管理したりすることです。

つまり、投資は特定の資産を購入し、将来的な収益を目指す行為であり、金融は様々なお金に関するサービスや商品を提供する産業です。
投資は金融の一部として捉えられることがあります。

TCFD

TCFDとは、Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略で、気候変動に関連した金融情報の開示に関する国際的な提言をまとめたグループのことです。
TCFDは、企業が気候変動のリスクを正確に把握し、それに対処するための取り組みを金融情報として開示することを推奨しています。

グローバル・コンパクト

グローバル・コンパクトは、国連が提唱する、企業が人権、労働基準、環境保全、反汚職などの国際的な規範に従うことを呼びかけるイニシアチブのことです。
グローバル・コンパクトは、企業による社会的責任の果たし方についての指針を提供し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを支援しています。
企業はグローバル・コンパクトの原則に沿った行動を取ることで、社会的信頼性を向上させることができます。

ISO 14000シリーズ

ISO 14000シリーズは、国際標準化機構(ISO)が定めた、環境マネジメントシステム(EMS)に関する規格群です。
ISO 14001は、環境マネジメントシステムを実装し、運用するための基本的な要求事項を規定しており、企業や組織が環境保全に貢献するために、経営体制や業務プロセスの見直しや改善を促すことができます。

環境マネジメントシステム(EMS)
環境マネジメントシステム(EMS)とは、企業や組織が、環境に対する影響を考慮しながら、環境保全に努めるためのシステムです。
EMSには、環境方針の策定、環境影響の評価、目標の設定、計画の策定、実行、監視、見直しの一連のプロセスが含まれます。
EMSを実装することにより、企業は環境保全に対する意識を高め、環境負荷の低減やリスクマネジメントの向上を図ることができます。

PDCAサイクル
PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4つのフェーズで構成される、継続的な改善を促進するためのマネジメント手法です。
PDCAサイクルは、EMSをはじめとする様々なマネジメントシステムの基本的な考え方として取り入れられており、計画・実行・評価・改善を繰り返すことによって、継続的な改善を実現することができます。

エコアクション21

エコアクション21は、国や地方自治体が中心となって推進する、企業や団体が持続可能な社会を目指し、環境保全に貢献するための取り組みの一つです。
具体的には、企業や団体が自主的に環境マネジメントシステムを導入し、省エネルギー、温室効果ガス削減、廃棄物削減など、様々な取り組みを行うことを目的としています。
エコアクション21は、ISO 14001と同様に、企業の環境負荷低減や環境保全に向けた取り組みを支援するための手法の一つです。

ISO 26000

ISO 26000は、国際標準化機構(ISO)が定めた、社会的責任に関する国際規格です。
企業が、人権、労働慣行、環境保全、消費者問題、地域社会との関係、企業統治などの社会的責任に配慮した行動を取ることを促進することを目的としています。
ISO 26000は、企業に対して、自己責任の原則に基づいた社会的責任の実践に向けた指針を提供し、企業の社会的貢献の向上を支援することを目的としています。
ISO 26000は、自主的な行動と透明性、アカウンタビリティ(説明責任)の重要性を強調しており、企業の社会的責任を具体的かつ継続的に実践するための枠組みとなっています。

環境適合設計

環境適合設計(Eco-design)は、製品開発や設計段階から環境に配慮し、製品のライフサイクルにおいて環境負荷を低減する設計手法です。
環境適合設計により、製品の資源効率が向上し、使用後の廃棄物や排出物の減少につながります。

クリーナープロダクション

クリーナープロダクション(Cleaner Production)は、製品の製造過程における環境負荷を削減するための取り組みです。
具体的には、省エネルギーや資源の効率的な使用、廃棄物や排出物の削減、再利用やリサイクルの促進などが含まれます。
クリーナープロダクションは、企業のコスト削減や環境保全に寄与することが期待されています。

エコブランディング

エコブランディング(Eco-branding)は、製品やサービスにおいて環境に配慮したブランディングを行うことを指します。
企業が環境に対する意識をアピールし、環境に配慮した製品やサービスを提供することで、顧客の環境意識の向上や環境保全に貢献することが期待されています。

環境会計

環境会計(Environmental Accounting)は、企業が環境に関する経済的な情報を収集・分析し、企業の環境負荷や環境保全活動に関する経営判断を支援することを目的とした会計手法です。
環境会計には、環境費用や環境投資、環境効果の評価などが含まれます。

環境コミュニケーション

環境コミュニケーション(Environmental Communication)は、企業や組織が、環境問題についてステークホルダーとコミュニケーションを図ることを指します。
具体的には、環境への取り組みや環境影響について情報を提供し、相手方の理解や協力を得ることが目的となります。

環境報告書

環境報告書(Environmental Report)は、企業や組織が環境負荷や環境保全活動について報告する文書です。
環境報告書には、企業の環境方針や目標、環境負荷、環境保全活動、社会的責任などが記載されます。
環境報告書は、企業の透明性や社会的信頼性を高め、ステークホルダーの期待に応えるために作成されます。

エシカル消費

エシカル消費(Ethical Consumption)は、倫理的な観点から製品やサービスの購入を行うことを指します。
具体的には、社会的責任や環境に配慮した製品、フェアトレード製品、エシカルファッションなどが含まれます。
エシカル消費は、個人が自分自身の消費行動について考え、社会や環境に貢献することができる消費行動の一つです。

「エシカル (ethical)」とは、倫理的・道徳的・道義的な、あるいは社会的・公共性のある、といった意味を持ちます。
エシカルな行動や製品は、倫理的な観点や社会的責任を考慮しているとされます。
例えば、フェアトレード製品や環境に配慮した製品、労働者の権利を尊重する製品などがエシカルな製品とされます。
エシカルな行動や製品は、社会や環境への貢献を促進することが期待されています。

フェアトレード製品とは、開発途上国の農家や労働者が、適正な価格で製品を販売し、社会的・経済的な発展を促進することを目的とした貿易の仕組みです。
フェアトレード製品は、環境に配慮した栽培方法を採用し、安全かつ衛生的な労働環境で生産されます。

フェアトレードの原則には、以下のものがあります。

  1. 適正な価格:フェアトレードの原則に基づき、製品に適正な価格が設定されます。
    これにより、農家や労働者は生産に必要な費用をまかなうことができ、生活水準の向上につながります。
  2. 長期的な関係:フェアトレードは、長期的なパートナーシップを築き、持続可能な発展を促進することを目指します。
  3. 環境に配慮した生産:フェアトレードでは、環境に配慮した栽培方法が採用され、持続可能な生産を促進します。
  4. 労働者の権利の尊重:フェアトレードは、人権を尊重し、安全かつ衛生的な労働環境を確保することを重視します。

フェアトレードは、消費者や企業が開発途上国の農家や労働者を支援することで、社会的・経済的な発展を促進することを目的としています。
また、フェアトレード製品の購入により、企業や消費者が社会的責任を果たすことができます。

語句説明&まとめ:総合技術監理
語句説明&まとめ:経済性管理
語句説明&まとめ:人的資源管理
語句説明&まとめ:情報管理
語句説明&まとめ:安全管理

PCで見ていただくと目次が追いかけてきてくれます。
技術士会の総合技術監理キーワード集 (mext.go.jp)を見ながら、検索していただくことも可能です。

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技術士 建設部門

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