ChatGPT 令和5年度 総監記述解答例

【問題】
近年,新型コロナウイルス感染症の流行,国際的な政情不安等,社会の様々なリスク要因が増加しつつある。またICTの急速な進展の成果等が利用可能となる反面,深刻な少子高齢化や労働力不足の加速化等,我が国の経済社会は大きく変化しつつある。不安定な時代にあって,組織を様々な視点から分析し,組織の持続的発展等に向けた戦略を適切に立案することは,総合技術監理部門の技術士など組織を総合的に術搬すべき者にとり,益々重要となってくるといえよう。

そこでここでは, SWOT分析の考えをベースにした組織分析,組織の戦略立案を行いたい。

SWOT分析は主に,経営・マーケティング分析で用いられてきた手法であるが,近年は行政機関でもこの手法を施策づくりに活用するなどの例が出てきている。組織の目的はその性質によって様々であり,例えば民間企業では「利益の最大化」などが考えられ,行政機関等では「公益の最大化Jなどが考えられる。その目的達成のための戦略立案に, SWOT分析が活用できるであろう。以下,この論文において実施するSWOT分析の手法について説明する(図1を参考にされたい)。

まずSWOT分析では,内部環境としての「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)J,外部環境としての「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)Jの4つの要因に着目し,それぞれに含まれる項目を特定する。本論文では,「内部環境(S:強み, W :弱み)」は組織の活動や努力によって変えうるものとし,例えば人材・設備・技術・ノウハウ等の組織の様々な経営資源や組織文化等の無形資源が考えられる。また「外部環境(0 :機会, T :脅威)」は,取り上げた組織の活動や努力とは無関係又は変更が困難なものとし,例えばICTの進展等の技術的要因,景気動向等の経済的要因,法令・規制の変更等の政治的要因,人口動態やライフスタイルの変化等の社会的要因,顧客や市場の変化,競合他社の動向,などが考えられる。

S, W, O, Tそれぞれに含まれる主な項目を特定した次の段階として,各項目を掛け合わせるクロス分析により,様々な戦略を立案することが一般的に行われる。クロス分析のパターンとしては,以下の4つのパターンがあり,それぞれにおいて考えられる典型的な戦略の例を合わせて示す。

パターンA:(S:強み×O:機会)組織の強みがある領域に機会が生じたパターンであり,例えば活動の拡大や新規の活動への進出等の戦略が考えられる。
パターンB:(W:弱み×O:機会)組織の弱みがある領域に機会が生じたパターンであり,機会を活かせるようにするために,例えば外部からの補強や他組織との提携,経営資源の段階的な改善等の戦略が考えられる。
パターンC:(S:強み×T:脅威)組織の強みがある領域に脅威が生じたパターンであり,例えば製品・サービスの付加価値向上による差別化等の戦略が考えられる。
パターンD:(W:弱み×T:脅威)組織の弱みがある領域に脅威が生じたパターンであり,脅威を回避するために,例えば活動の縮小や撤退等の戦略が考えられる。

図2はある組織において,S, W, O, Tに含まれる項目から戦略のベースとなる項目の組合せを選定した例である。

以上を踏まえ,総合技術監理の視点に留意しつつ,以下の( 1 )~( 3 )の問いに答えよ。
なお総合技術監理の視点とは,「業務全体を俯瞰し,経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理に関する総合的な分析,評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う。」立場からの視点をいう。なお,書かれた論文を評価する際,考察における視点の広さ,記述の明確さと論理的つながり,そして論文全体のまとまりを特に重視する。

設問
(1)本論文においてあなたが取り上げる組織について,以下の問いに答えよ。
ここでの「組織」は,継続的に事業やプロジェクトを実施する機能を有する「組織」のことであり,組織が取り扱う事業やプロジェクトそのものではないことに留意されたい。また取り上げる組織としては,組織体全体でもよいし,その一部を構成する「事業部」,「地方組織」などの単位で自由に設定しでもよい。

① 取り上げる組織の概要及び組織の役割を記せ。
② この組織における経営資源(人材・設備・技術・ノウハウ等),及びアウトプット
(この組織が創出する製品・構造物・サービス・技術・政策等)を記せ。
③ この組織の主要な業務プロセス(経営資源によりアウトプットを創出する過程の代表例)を記せ。

解答

(1)取り上げる組織について

① 本論文で取り上げる組織は、「エネルギー技術開発企業」である。この組織は、環境問題への対策という社会的役割を担いつつ、再生可能エネルギー技術の開発と提供を行う。

② 経営資源には、エネルギー技術に精通した人材、研究開発設備、先進のエネルギー技術、専門的なノウハウが含まれる。アウトプットとしては、新しいエネルギー技術を応用した製品(例えば、太陽光パネルや風力タービン)やサービスがある。これらの製品とサービスは、それぞれの利用者がエネルギーを効率的に利用し、環境への影響を最小化することを可能にする。

③ 主要な業務プロセスは、研究開発、製造、販売、そして運用・維持管理の指導の4つのステップから成る。研究開発では、新しいエネルギー技術の開発と、既存技術の改善に取り組む。この成果は製造部門で製品化され、販売部門が市場に提供する。さらに、顧客が製品を最大限に活用できるよう、組織は適切な運用・維持管理についての指導も提供する。

設問
(2)取り上げた組織に関する, S:強み, W :弱み, O :機会, T :脅威の 4つの要因について,「それぞれ2項目ずつ」を挙げ各項目の具体的内容を記せ(合計8項目を記載すること)。

S1: (強みの1つめの記載)
S2: (強みの2つめの記載)
W1: (弱みの1つめの記載)
・・・
以下同様に, SWOTの順で記載すること。

解答

(2)取り上げた組織に関するSWOT分析
S:強み
S1:専門性:企業はエネルギー技術に精通した専門家を抱え、それが強力な研究開発能力を支えている。これは競争優位を保つための重要な要素である。
S2:イノベーション:企業は新しいエネルギー技術の開発と既存技術の改善に取り組むことで、絶えず新しい製品やサービスを市場に提供することができる。

W:弱み
W1:技術依存:企業は技術開発に大きく依存しており、技術が進歩しない場合や競合他社に追い越された場合、事業に大きな影響を及ぼす可能性がある。
W2:市場変動:再生可能エネルギー市場は政策や技術、燃料価格の変動に影響されやすく、これらの変動は企業の収益に影響を及ぼす可能性がある。

O:機会
O1:市場の成長:再生可能エネルギーへの関心が高まるにつれて、この市場は今後も成長し続けると予想される。これは新規事業や製品開発の機会を企業に提供する。
O2:政策支援:政府は環境問題への対策として再生可能エネルギーの導入を推進しており、これにより企業は補助金や税制優遇などの支援を受けることができる。

T :脅威
T1:競争激化:再生可能エネルギー市場には多数の競合他社が存在し、その中で自社の製品やサービスを差別化することは容易なことではない。
T2:規制の厳格化:環境規制や安全規制の厳格化は、製品の開発や製造コストの増加につながり、その結果企業の収益性に影響を及ぼす可能性がある。

設問
(3) 近い将来(概ね今後 5年以内)の実現を図ることを目標とし,「組織が何をすべきか(What),そのためにどう具体的に行動するか(日ow)」を主体とした「戦略」を立案したい。
ここでは,パターンA, B, C, Dから異なる3つのパターン(例えば, A, B及びD)を選択し,選んだ3つのパターンそれぞれについて,項目の組合せを選び,それらをベースとした戦略を考える(計3つの戦略を立案する)。項目の組合せを選ぶに当たり, S, W, 0, Tのそれぞれについて問い( 2)で記した2つの項目から1項目のみを組合せに用いてもよいし, 2項目の両方を用いてもよい。
上記に留意し,以下の問いに答えよ。

① 戦略のベースとなる項目の組合せ及び戦略が目指す目標を簡潔に記せ。
(なお項目の組合せについては,例えば「S1」 と「O2」の組合せを選んだ場合,(S1×O2)と記し,「W1及びW2」と「T1」の組合せの場合は(W1・W2×T1)のように記す。続いて戦略が目指す目標を記す)。
② この目標を達成するための,戦略の具体的な方策(組織が何をすべきか,どう行動するか)について記せ。
③ この戦略を今後5年以内に実現するに当たり直面する障害とその克服策を,総合技術監理の視点から記せ。(異なる総合技術監理分野のトレードオフに留意すること。)

解答
(3)戦略の立案
1)パターンA:専門性の強化と市場の成長に注力(S1×O1)

①目標:再生可能エネルギー分野での専門性強化と市場拡大性を活かし、研究開発のリーダーとしての地位を確立すること。

②具体的な方策:人材の育成と技術力の強化に注力し、市場の需要に迅速に対応できる製品を開発する体制を整備する。具体的には、研究開発チームの拡大と新たな人材育成プログラムの導入、さらに最新技術の導入といった情報管理の強化が重要となる。これらの取り組みにより、経済性管理と情報管理という二つの観点からの戦略バランスを図る。

③障害と克服策:競争の激化(T1)はこの戦略の障壁となり得る。再生可能エネルギー市場の拡大に伴い、競争は更に激化する可能性がある。この障害を克服するためには、技術の差別化と独自性の追求が不可欠である。総合技術監理の視点から考えると、経済性管理と情報管理のトレードオフを考慮に入れ、最適な技術開発計画を策定することが重要となる。また、ブランド力を強化し、企業の信頼性と製品の質をアピールすることも有効である。

2)パターンB:技術の弱さと市場の成長に注力(W1×O1)

①目標:2028年までに、再生可能エネルギー技術の研究開発における業界リーダーとしての地位を確立する。

②具体的な方策:自社の技術力の弱さ(W1)を克服するため、最新の再生可能エネルギー技術の導入と人材育成に重点を置く。具体的には、外部研究機関との協力や技術者の教育プログラムの強化を行い、新技術の開発を推進することで、研究開発の競争力を強化する。また、市場の成長(O1)に対応するため、製品の開発と市場投入のスピードを上げる。

③障害と克服策:新技術の導入と人材育成は大きな投資を必要とし、それは一方で経済的負担となる。これは総合技術監理の視点から見ると、人的資源の強化と経済的負担という間のトレードオフを示している。また、技術の進歩の速さ(T2)は、最新の技術に追随するための絶えざる努力を要求する。これらの障害を克服するため、研究開発への投資を継続し、迅速に対応できる柔軟な組織体制を構築することが重要である。また、技術者の育成や、社内外からの人材確保も重要で、市場動向と技術情報の収集を定期的に行う。

これらの施策を通じて、自社は再生可能エネルギー市場におけるリーダーシップを確立し、成長市場におけるビジネスチャンスを最大限に活用することができると考えられる。

3)パターンD:市場変動と規制の厳格化の対策(W2×T2)

①目標: 2028年までに、市場変動(W2)と規制の厳格化(T2)に対抗する強靱な事業モデルを確立する。

②具体的な方策: 組織は、市場の変動性に対応し、規制環境に柔軟に対応する経営戦略を再構築する必要がある。具体的には、事業の多角化を通じて市場リスクを分散し、製品開発における規制対応力を強化する。

③障害と克服策: 社会環境管理の観点からは、新規事業の立ち上げや新たな規制への対応が求められる。一方で、これらの対応は既存の技術への依存(情報管理)を深め、それに伴う経済的な負担(経済性管理)が増大する可能性がある。ここには明確なトレードオフが存在し、新規事業の発展と規制への対応力強化という社会環境管理と、技術への依存の軽減という情報管理、さらには経済的負担の最小化という経済性管理の間でバランスを取る必要がある。この問題を克服するためには、様々な技術や事業領域に人材を育成・配置し、組織全体の専門性を広げることが求められる。さらに、資源配分と時間管理についても総合的に考慮することで、適切なバランスを探ることが重要となる。

以上の施策を講じることで、組織は市場の変動や規制の厳格化にも対抗できる強靱な事業モデルを構築することができると考えられる。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よろしければシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

技術士 建設部門

コメント

コメントする

目次