解答と解説 令和6年度 総監・択一式問題【社会環境管理】第33~40問/40問中

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R06総監択一式問題(日本技術士会)
R06総監択一式問題 解答(日本技術士会)

【令和6年度 択一式問題】
R06【経済性管理】 第1~8問/40問中
R06【人的資源管理】第9~16問/40問中
R06【情報管理】  第17~24問/40問中
R06【安全管理】  第25~32問/40問中
R06【社会環境管理】第33~40問/40問中

【社会環境管理 択一式問題】
R01【社会環境管理】第33~40問/40問中
R02【社会環境管理】第33~40問/40問中
R03【社会環境管理】第33~40問/40問中
R04【社会環境管理】第33~40問/40問中
R05【社会環境管理】第33~40問/40問中

目次

Ⅰ-1 必須科目 択一式問題・解答と解説

Ⅰ-1-33

【問題】

出典:日本技術士会 過去問題(第二次試験)

【解答】①

【解説】
🌏 エルニーニョとラニーニャってなに?

エルニーニョとラニーニャは、太平洋の赤道に近い海で起きる海の温度の変化のことです。
この変化が世界中の天気に影響を与えます。

これらは**自然なサイクル(くり返し起こる現象)**で、特別な異常気象というわけではありません。でも、日本を含め、いろいろな場所で天気や気温がいつもと変わる原因になります。


🌊 エルニーニョとは?

エルニーニョは、太平洋の東側(南米の近く)の海の表面が、ふだんよりあたたかくなる現象です。

  • 通常は、東から西に風が吹いて、あたたかい海水は西側(アジア側)にたまります。
  • でもその風が弱くなると、あたたかい水が東に戻ってきて、南米近くの海があたたかくなります。

エルニーニョが日本に与える影響は?

  • :太平洋高気圧の力が弱まり、**涼しい夏(冷夏)**になりやすい
  • :西から寒い空気が入りにくくなり、**暖かい冬(暖冬)**になりやすい

生活への影響

  • 涼しい夏になると、お米の成長が遅れて不作になることがあります。
  • 海の温度が変わるので、魚(サンマなど)のとれる量が減ることもあります。

❄ ラニーニャとは?

ラニーニャはエルニーニョの逆で、太平洋の東側の海が冷たくなる現象です。

  • これは、風がいつもより強く吹いて、あたたかい水が西(アジア側)に集まってしまうため、東側に冷たい水が残るのが原因です。

ラニーニャが日本に与える影響は?

  • :太平洋高気圧が強まり、**とても暑い夏(猛暑)**になりやすい
  • :寒気が流れ込みやすくなり、**とても寒い冬(寒冬)**になりやすい

生活への影響

  • 暑すぎると水不足になったり、農作物に悪影響が出たりします。
  • 冷たい水が好きな魚が増えて、漁業がうまくいくこともありますが、逆に一部の魚はとれなくなることも。

✅ まとめ

  • エルニーニョ:東の海があたたかく → 日本は夏涼しく・冬暖かく
  • ラニーニャ:東の海が冷たく → 日本は夏暑く・冬寒く

どちらも自然にくり返されるもので、私たちの農業・漁業・電気の使い方にも影響を与える大事な現象です。


📝 名前の由来

  • エルニーニョ(El Niño):スペイン語で「男の子」(特にイエス・キリストのこと)
  • ラニーニャ(La Niña):スペイン語で「女の子」

これらは、南米の人々が昔から観測していた天候の変化にちなんで名づけられました。

Ⅰ-1-34

【問題】

出典:日本技術士会 過去問題(第二次試験)

【解答】③

【解説】
設問では、「FIT制度に関する記述のうち、不適切なものはどれか」が問われています。
その中で、「再生可能エネルギーの種類に関わらず一律の買取価格である」という③の記述は誤りです。
なぜなら、FIT制度ではエネルギーの種類(太陽光・風力・水力など)や設備規模、導入条件に応じて、それぞれ異なる買取価格が政府により個別に設定されているためです。

以下に、FIT制度(固定価格買取制度)の概要を含めて詳しく説明します。


🔋 FIT制度(固定価格買取制度)とは

FIT制度とは、「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」に基づき、電力会社が再エネ電力を一定の価格で一定期間、必ず買い取るよう義務づけた制度です。
英語では Feed-in Tariff(フィードイン・タリフ) と呼ばれ、世界中で導入されています。


🎯 FIT制度の目的

  • 再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど)の普及を後押しする
  • エネルギー源の多様化や、地球温暖化対策の一環として推進されている

⚙ 仕組みのポイント

✅ 買取価格は一律ではない

  • 再エネの種類(太陽光・風力など)
  • 設備の規模(住宅用か大規模かなど)
  • 発電コストや技術的条件
    などに応じて、政府が個別に価格を決定します。

👉 よって「すべて一律価格」は**誤り(設問③が不適切)**です。


✅ 買取期間と価格

  • 買取期間は10~20年程度
  • 発電事業者は、その期間中ずっと同じ価格で売電できるため、投資リスクが低減します

✅ 誰が費用を負担している?

  • 再エネの買い取りにかかる費用は、**「再エネ発電促進賦課金」**として電気料金に上乗せされ、私たち電力利用者が広く負担しています

📈 FIT制度の効果と課題

成果

  • FIT導入後、特に太陽光発電の普及が急速に進展
  • 再エネ導入が活発化し、国内発電の選択肢が広がった

課題

  • 発電コストの低下により、買取価格が年々引き下げられている
  • 地域によっては電気の供給が需要を上回ることがあり、出力制御(発電を一時的に止める)も必要になるケースが出てきた
  • **消費者負担(賦課金)**の増加も問題視されている

🌱 意義と今後の展開

FIT制度は、再エネを広げるためのスタートアップ支援策として有効でした。
しかし今後は、**市場と連動した新制度(FIP制度など)**や、電力の安定供給を両立する新たな仕組みが求められています。


📝 Feed-in Tariffの語源

  • Feed-in:「送り込む」= 再エネ電力を電力網に供給する
  • Tariff:「価格」= 電力を買い取るときの価格

つまり、「発電された電力を市場に供給する際の価格を保証する制度」という意味です。


✅ まとめ:設問への結論

買取価格は再エネの種類や規模によって異なるため、「一律の価格である」という記述は事実と異なる

不適切なのは③番の選択肢

Ⅰ-1-35

【問題】

出典:日本技術士会 過去問題(第二次試験)

【解答】②

【解説】
LMO(Living Modified Organism)の輸出入手続きなど、生物多様性の保全に関する国際的な枠組みは、カルタヘナ議定書で定められました。
カルタヘナ議定書は2000年に採択され、2003年に発効しています。
一方、名古屋議定書は2010年のCOP10で採択され、遺伝資源の利用による利益配分に関する枠組みを定めています。
したがって、LMOに関する国際的な枠組みを名古屋議定書が初めて定めた、という記述は誤りです。

他の選択肢について
①は、ワシントン条約附属書Iに記載される種は、日本国内でも「種の保存法」により国際希少野生動植物種として取引が規制されています。正しい記述です。
③は、IPBESとIPCCの報告書で気候と生物多様性の関連性が指摘され、生態系の保護が気候変動の緩和に寄与することが示されています。正しい記述です。
④は、「30by30」は2030年までに陸と海の30%以上を保全する目標であり、生物多様性保全の重要な目標として掲げられています。正しい記述です。
⑤は、「つなげよう,支えよう森里川海」プロジェクトの内容で、国民全体で森や川、海を守る社会を目指すことを述べています。正しい記述です。

1.ワシントン条約(CITES)
正式名称:「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」

概要:ワシントン条約は、絶滅のおそれのある動植物の種の国際取引を規制する国際条約です。
目的は、野生動植物が商業取引によって絶滅の危機に瀕することを防ぐことにあります。
条約には、絶滅の危険性や保護の必要性に応じて、以下の附属書が設けられています。

附属書I:絶滅の危機に瀕している種を対象とし、原則として商業取引は禁止されます。
附属書II:絶滅の恐れがあるため、商業取引には規制が必要な種が対象で、取引に制限がかかります。
附属書III:特定の国が国内法で保護している種で、他の締約国にも取引の監視を求めている種。

設問への関連:選択肢①にある通り、日本国内においても、ワシントン条約の附属書Iに掲載されている種は「種の保存法」に基づき取引が規制されています。
ワシントン条約の規制は国内法に取り込まれているため、日本でも取引が制限されることになります。

2.種の保存法
正式名称:「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」

概要:種の保存法は、日本国内における絶滅危惧種の保存を目的とした法律です。
ワシントン条約に基づき、国際希少野生動植物種として登録された種についても規制が行われ、日本国内での取引や流通、輸出入が厳しく制限されます。
また、国内の固有種についても保護が行われ、絶滅の危機に瀕した種を指定して、保護活動が実施されています。

設問への関連:種の保存法はワシントン条約を国内法に反映させた法律であるため、選択肢①にあるように、附属書Iの種が日本国内で規制される根拠となります。

3.LMO(Living Modified Organism)

定義:「現代のバイオテクノロジーによって改変された生物」を指し、遺伝子組み換え技術などで作られた生物が含まれます。

概要:LMOは、遺伝子操作によって特定の特性が付加された生物で、農業や医療の分野で広く活用されていますが、生態系への影響が懸念されることもあり、輸出入には管理が求められます。
この管理については、カルタヘナ議定書という国際的な枠組みが定められています。
カルタヘナ議定書は、LMOの輸出入に際して生物多様性や持続可能な利用に悪影響を与えないような手続きが規定されています。

設問への関連:選択肢②において、「名古屋議定書がLMOに関する枠組みを定めた」という記述が誤りです。
LMOの輸出入手続きはカルタヘナ議定書で規定されており、名古屋議定書は遺伝資源の利用による利益配分について定めています。

“Living Modified Organism”(LMO)の各単語の意味は以下の通りです:

Living:生きている、生物である
Modified:改変された、変更された
Organism:生物、生命体

これを直訳すると、「改変された生物」や「改変された生命体」という意味になります。

Ⅰ-1-36

【問題】

出典:日本技術士会 過去問題(第二次試験)

【解答】④

【解説】
選択肢①
根拠:
環境省が発表する「循環型社会形成推進基本法」では、廃棄物の処理における優先順位として「発生抑制(リデュース)→再使用(リユース)→再生利用(リサイクル)→熱回収→最終処分」という基本原則が示されています。
この優先順位により、環境への負荷を最小限に抑えることが目指されています。
適否の理由:
循環型社会基本法に基づく優先順位が正しく記載されているため、この選択肢は適切です。

選択肢②
根拠:
2019年に策定された「プラスチック資源循環戦略」には、「3R + Renewable」(リデュース、リユース、リサイクル+再生可能)という考え方が掲げられ、プラスチック資源循環の取り組みとして、再生可能資源への切り替えとライフサイクル全体での資源循環の促進が明記されています。
適否の理由:
プラスチック資源循環戦略に従った正しい内容の記述であるため、この選択肢は適切です。

選択肢③
根拠:
2019年のプラスチック資源循環戦略では、海洋プラスチックごみ対策として、ポイ捨てや不法投棄の防止、マイクロビーズの削減といった取り組みが推進されることが記載されています。
特に海洋汚染を防ぐために、これらの対策が戦略の一部として組み込まれています。
適否の理由:
戦略に基づいた正しい記述であるため、この選択肢は適切です。

選択肢④
根拠:
環境省の廃棄物・リサイクル関連の年次報告書によると、日本では廃プラスチックの有効利用量の割合が多い順に、サーマルリサイクル、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルとなっています。
サーマルリサイクル(熱回収)が最も多く、マテリアルリサイクル(素材としての再利用)とケミカルリサイクル(化学的処理での再利用)が続きます。
適否の理由:
記述が事実と異なっており、サーマルリサイクルが実際には最も多いことから、この選択肢は不適切です。

選択肢⑤
根拠:
経済産業省や環境省の資料において、バイオマスプラスチックは原料となるバイオマスが成長時にCO₂を吸収・固定するため、成長と消費のサイクルを維持する限りカーボンニュートラルとされています。
これは、バイオマスが再生産可能な資源であるために達成できると考えられています。
適否の理由:
バイオマスプラスチックのカーボンニュートラルの特性が正しく述べられているため、この選択肢は適切です。

結論
選択肢④のみが不適切である理由は、日本国内の廃プラスチックの有効利用量の順序が異なっているためです。
他の選択肢は、それぞれの法律や政策の内容に合致しているため適切です。

Ⅰ-1-37

【問題】

出典:日本技術士会 過去問題(第二次試験)

【解答】④

【解説】
選択肢①
根拠:
環境省や気象庁の資料によると、ヒートアイランド現象は都市部の気温が周辺地域より高くなる現象で、健康や生態系への影響が懸念されています。
都市部では建物や舗装による熱の蓄積が原因で、気温上昇が進み、熱中症のリスクや感染症を媒介する生物の活動が活発化する傾向があります。
適否の理由:
ヒートアイランド現象の定義と影響について正しい内容が述べられているため、この選択肢は適切です。

選択肢②
根拠:
液状化現象は、地震による衝撃で地盤が液体状になる現象であり、建物の沈下や噴砂などを引き起こします。
さらに、令和6年(2024年)に発生した能登半島地震でも液状化現象が確認されています。
適否の理由:
液状化現象の説明と具体的な地震の事例が適切に述べられているため、この選択肢は適切です。

選択肢③
根拠:
Eco-DRR(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)は、生態系を活用して防災・減災を図る考え方で、同時に生物多様性の保全も目的としています。
環境省の資料には、自然との共生や地域経済への波及効果が期待されると記載されています。
適否の理由:
Eco-DRRの定義やその社会的・経済的効果について正しく記載されているため、この選択肢は適切です。

選択肢④
根拠:
環境省や国土交通省が定義するグリーンインフラは、自然環境や生態系の力を活用するインフラ整備のことであり、単に環境負荷の低減を図る資機材や工法だけを指すわけではありません。
グリーンインフラには、堤防や湿地保全など、自然の機能を生かした防災・減災や地域活性化の取り組みが含まれます。
適否の理由:
グリーンインフラの定義として不正確であり、環境負荷低減効果のある資機材や工法のみに限定するのは誤りであるため、この選択肢は不適切です。

選択肢⑤
根拠:
線状降水帯は、発達した積乱雲が連続して同じ場所を通過または停滞することで強い降水をもたらし、毎年多くの災害を引き起こしています。
気象庁でも線状降水帯による大雨災害の発生に注意を促しています。
適否の理由:
線状降水帯の発生メカニズムと災害への影響について正しく記述されているため、この選択肢は適切です。

結論
最も不適切な選択肢は④です。
この選択肢では、グリーンインフラの定義を「資機材や工法の環境負荷低減効果」に限定しており、自然環境や生態系の力を活用した取り組みとしてのグリーンインフラの本質を含んでいないため、不適切です。
他の選択肢はそれぞれの用語や概念について正確に述べられています。

Eco-DRR(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)
は、生態系を活用して防災・減災(Disaster Risk Reduction)を図るアプローチのことです。
この方法は、自然環境がもつ防災機能を積極的に活用し、地域の安全性を高めながら同時に生態系の保全や生物多様性の維持を目指します。
具体的には、森林や湿地、サンゴ礁などの自然の力を利用して、自然災害の影響を抑えることが期待される取り組みです。

Eco-DRRの特徴と目的
自然の力を活用:
生態系がもつ防災機能を利用し、災害リスクの軽減を図ります。
例えば、森林は土砂災害の防止や洪水の抑制に役立ち、湿地やマングローブは津波や高潮から沿岸地域を守るバリアの役割を果たします。
地域の持続可能な発展:
Eco-DRRは防災にとどまらず、生態系の保全を通じた持続可能な地域社会の発展も目指します。
観光やエコツーリズムの促進、地域の経済発展にも寄与する可能性があります。
気候変動への適応:
気候変動の影響に対応するため、生態系が持つ緩和機能を活かすことで、気温や降水量の変動に対する地域の適応力を高めます。

Eco-DRRの具体例
森林の再生:
山地の森林を再生させることで、斜面の崩壊や土砂流出を防ぎ、豪雨災害や土砂災害のリスクを低減します。
湿地やマングローブ林の保全:
沿岸の湿地やマングローブ林は、高潮や津波の衝撃を緩和する効果があります。
これらの地域を保全・再生することで、沿岸地域を守ります。
川や湖の浄化:
川や湖に生息する植物や微生物の浄化作用により、水質改善や氾濫時の水量調整が期待できます。

Eco-DRRの効果
防災・減災:
自然のバリアが災害の影響を緩和するため、被害の軽減が図れます。
生態系の保全:
生態系の保全と再生を同時に行うため、生物多様性の維持や自然環境の回復が期待できます。
経済的効果:
エコツーリズムや観光業の促進による地域経済への貢献が見込まれます。
Eco-DRRは、環境と人間社会の双方にとっての長期的な利益を目指す取り組みであり、近年は多くの国で導入が進んでいます。

Ⅰ-1-38

【問題】

出典:日本技術士会 過去問題(第二次試験)

【解答】⑤

【解説】
参照:第五次環境基本計画の概要 (env.go.jp)

「自主的取組手法」は、企業や団体が自主的に環境負荷の削減や環境保全活動を行うことを促す手法であり、消費者への情報提供に直接関与するものではありません。
消費者に環境負荷の情報を提供して行動を促す手法は、「情報提供手法」として別に位置付けられ、エコラベルや環境報告書、ライフサイクルアセスメント(LCA)などを通じて行われます。
このため、⑤の記述は自主的取組手法の定義として不適切です。

他の選択肢についての適否
① 直接規制的手法は、法令により目標や遵守事項を示し、罰則を伴う方法で政策目的を達成する手法です。これは第五次環境基本計画で示されている内容と合致しており、適切です。

② 枠組規制的手法は、目標の提示や手順の遵守を義務付けることで政策目的を達成する手法であり、環境基本計画で定義された内容と一致しています。よって、適切です。

③ 経済的手法は、経済的インセンティブを用いて各主体が自発的に環境に配慮した行動をとるよう誘導する手法であり、環境基本計画の内容と一致しています。したがって、適切です。

④ 手続的手法は、意思決定過程に環境配慮の手続きや基準を組み込む手法であり、第五次環境基本計画の内容に沿っています。したがって、適切です。

このため、設問の正解は⑤です。

第五次環境基本計画(平成30年4月閣議決定)では、環境政策の実施手法として以下のような多様な手法が示されています。
これらの手法は、環境保護と持続可能な発展を図るために、法的規制や市場メカニズム、情報提供などを活用して、政策の効果を最大限に発揮することを目指しています。

  1. 直接規制的手法
    内容:法令によって社会全体として達成すべき具体的な目標や遵守事項を示し、罰則や制約を伴う統制的な手段によって達成を促す方法です。
    例:排出基準の設定や許認可制、排出削減の義務化など。
  2. 枠組規制的手法
    内容:具体的な数値目標ではなく、目標達成の義務や手順の順守を求めることで政策目的を達成しようとする手法です。
    例:環境影響評価(アセスメント)の実施、計画的な環境保全措置の策定など。
  3. 経済的手法
    内容:市場メカニズムを活用し、経済的インセンティブ(奨励措置)を提供することで、経済合理性に基づく行動を促す手法です。
    各主体が自主的に環境に配慮した行動をとるように誘導します。
    例:排出量取引制度、環境税、補助金や助成金などのインセンティブの付与。
  4. 手続的手法
    内容:各主体が意思決定を行う過程に環境配慮の手続きや基準を組み込むことで、環境への影響を考慮した意思決定を促す手法です。
    例:企業の環境マネジメントシステムや環境報告書の作成、自治体による地域環境計画の策定。
  5. 自主的取組手法
    内容:企業や団体などが自主的に環境保全の取り組みを行う手法です。
    主体が自発的に目標を設定し、環境負荷の軽減や環境保全活動に取り組むように促します。
    例:業界による自主規制や自主目標の設定、ISO14001などの環境マネジメントシステムの取得。
  6. 情報提供手法(参考)
    内容:消費者や企業が環境負荷の少ない製品や行動を選択できるよう、環境負荷に関する情報を提供し、意識を高める手法です。
    例:エコラベル、環境報告書、ライフサイクルアセスメントの結果の公表など。

これらの手法は単独で使用されることもあれば、複数を組み合わせることで政策の効果を高めるように設計されることもあります。
計画全体としては、環境と経済、社会の調和を図りつつ、持続可能な社会の実現を目指しています。

Ⅰ-1-39

【問題】

出典:日本技術士会 過去問題(第二次試験)

【解答】③

【解説】
環境マネジメントシステム(EMS)は、組織が環境保全の方針や目標を達成するための内部体制や手続きを整備する仕組みですが、これは法令により義務付けられているものではありません。
一般的にはISO 14001などの国際規格に基づいて導入が推奨されていますが、日本の会社法上、環境マネジメントシステムの整備は義務ではなく、企業が自主的に行うものです。
そのため、会社法上の大会社にEMSの整備が義務付けられているという記述は誤りです。


以下に、ESG金融、グリーンボンド、環境会計、TNFD、環境マネジメントシステム(EMS)を関連付けて説明します。
これらは、企業や組織が環境・社会・ガバナンス(ESG)の視点を取り入れ、持続可能な社会の実現を目指すために使われるさまざまな手法や仕組みです。


ESG金融(ESG投資)
ESG金融は、投資家や金融機関が、企業の環境(Environmental)、社会(Social)、企業統治(Governance)といった非財務情報を考慮して行う投融資のことです。
ESG金融は、企業が財務的な成果だけでなく環境や社会への貢献、ガバナンスの健全性を示すことを重視します。
これにより、投資家は持続可能な社会構築を支援しつつ、投資リターンを得ることができます。

ESG金融は以下のツールや手法と密接に関連しています:

グリーンボンド(Green Bond):
ESG金融の一環として発行されるもので、資金を環境改善に使うことを条件に発行される債券です。
グリーンボンドは、再生可能エネルギーや廃棄物処理、自然保護などのグリーンプロジェクトに特化し、投資家が明示的に環境改善への貢献を果たせるように設計されています。T

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース):ESG金融において、特に自然資本や生物多様性への配慮が求められるようになり、TNFDの枠組みに基づき、企業が自然環境に対するリスクや機会を開示することが重要視されています。


グリーンボンド(Green Bond)
グリーンボンドは、調達した資金を環境改善プロジェクトに限定して使用する債券(Bond)です。
発行体は、資金を再生可能エネルギー、気候変動緩和、廃棄物管理、自然保護などのプロジェクトに充てることを明示し、投資家に対して透明性と信頼性を提供します。

グリーンボンドは、次の手法と連携してその効果を高めます:

環境マネジメントシステム(EMS):
発行体がグリーンプロジェクトの管理・評価を適切に行うためにEMSを導入し、環境基準を遵守しながらプロジェクトを運営することで、グリーンボンドの信頼性と成果を保証します。

環境会計:
グリーンボンドで調達した資金がどのように使われ、どれだけの環境改善効果が得られたかを測定・報告するために環境会計を利用します。これにより、投資家に環境負荷削減の成果が定量的に示されます。


環境会計
環境会計は、企業の事業活動における環境保全のコストとその効果を定量的に把握・伝達する仕組みです。
企業の経営判断や投資家への情報開示に役立つツールとして、次の手法とも密接に関連しています:


ESG金融:
環境会計で提供されるデータは、投資家が企業の環境負荷削減の取り組みを評価する際に重要です。
ESG投資家は、環境会計で明示された定量的なデータをもとに、企業の環境配慮活動を判断します。

環境マネジメントシステム(EMS):
EMSの導入企業は、環境会計のデータを活用してEMSの運用状況や目標達成状況を評価・報告します。
EMSの有効性を測定するための定量的データとして、環境会計が役立ちます。


TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)
TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)
は、企業活動が自然資本や生物多様性に与えるリスクや機会を適切に評価・開示するための国際的な枠組みです。
自然資本に対する意識の高まりを背景に、企業や投資家が持続可能な経済活動を推進するために重要な指針となります。

ESG金融:
TNFDは、投資家が企業の自然資本への配慮を評価する際に活用する枠組みであり、ESG投資の一環として自然環境保護への資金の流れを促進します。

環境会計:
企業は、TNFDのガイドラインを用いて生物多様性や自然資本に関するリスク評価を行う際に、環境会計のデータも活用します。これにより、環境負荷と保全効果を定量的に評価することが可能になります。


環境マネジメントシステム(EMS)
環境マネジメントシステム(EMS)
は、企業が環境に関する方針や目標を達成するための内部管理体制です。
ISO 14001などの国際規格をもとに、環境リスクの管理と持続可能な事業運営を目指します。
EMSの導入は、以下の手法と相互に作用します:

グリーンボンド:
グリーンボンドを発行する企業は、EMSを活用してプロジェクト管理を行い、投資家に対して環境保全の取り組みを確実に遂行していることを示します。

環境会計:
EMSの成果を評価・報告するためのデータとして、環境会計が使用され、EMSの効果と環境負荷の削減状況が把握されます。

🧾【関連用語の補足整理】

用語説明補足・例
ESG金融環境・社会・ガバナンスを考慮した投融資ESG評価、インパクト投資、サステナブルファイナンス
グリーンボンド環境目的に限定した使途の債券再エネ、廃棄物処理、自然保護など
TNFD自然資本リスクを財務情報として開示する国際的枠組みTCFDの自然版、2023年~枠組み整備
環境会計環境保全のコストと効果を定量的に把握する仕組みLCA、環境報告書、経営指標との連携
EMS(環境マネジメントシステム)環境に関する方針・目標を達成する社内管理体制ISO14001が代表例。法的義務はないが、導入企業は多い


まとめ

ESG金融を軸に、グリーンボンドやTNFDを通して持続可能な資金の流れが生み出され、環境会計やEMSによって、企業が環境リスクや保全効果を定量的に管理・報告できる体制が整います。
これらの取り組みは、企業が環境や社会への配慮を高め、持続可能な価値創造に貢献するための互いに関連する重要な手法・仕組みとなっています。

Ⅰ-1-40

【問題】

出典:日本技術士会 過去問題(第二次試験)

【解答】①

【解説】
ア(エコマーク):エシカル消費の例として、環境に配慮された商品を示す「エコマーク」が適切です。
イ(第三者機関):森林認証制度においては、林野庁ではなく「第三者機関」が認証を行います。
たとえば、FSC(森林管理協議会)などの認証団体が基準に従い認証を行っています。
ウ(消費):「消費期限」は、食品の安全性を保てる期間を示すものであり、加工食品に適用される場合もあります。

よって、正解は①です。

エシカル消費とは、
消費者が商品やサービスを選択する際に、環境保護や社会貢献、人権や地域社会への配慮など、倫理的な観点を重視した消費行動をとることを指します。
「エシカル(ethical)」は「倫理的な」「道徳的な」という意味であり、エシカル消費は単なる経済活動や個人の利益を超えて、持続可能で公正な社会を目指す考え方に基づいています。

エシカル消費は、消費者が商品やサービスを選択する際に、環境や社会に配慮した選択を行うことを指し、人・社会・地域・環境など多面的な要素への関心が含まれます。
消費者が持続可能な未来のためにできる行動として注目されており、以下のような具体的な取り組みが含まれます。

エシカル消費の具体例
エコマーク商品の購入:エコマークは、環境への負荷が少ないと認められた製品に対して付与される環境ラベルで、日本では公益財団法人日本環境協会が管理しています。エシカル消費の一環として、消費者がエコマーク付きの商品を選ぶことで、環境保全への貢献が期待されます。

参照先:日本環境協会の公式サイトや環境省の「環境ラベル制度に関するガイドライン」
森林認証制度の利用:森林認証制度は、FSC(森林管理協議会)やPEFC(持続可能な森林管理のための認証プログラム)などの第三者機関が、持続可能な方法で管理された森林から産出される木材製品を認証する仕組みです。
エシカル消費においては、認証された木材や製品を選ぶことが推奨されています。
こうした認証ラベルは、消費者が持続可能な森林資源を守る取り組みに参加する手段となります。

参照先:FSC:Forest Stewardship Council(森林管理協議会
やPEFC:Programme for the Endorsement of Forest Certification(持続可能な森林管理のための認証プログラム)の公式サイト、日本林業協会の森林認証に関する資料
食品ロスの削減と消費期限の考慮:
食品ロス削減もエシカル消費の一環です。
特に、加工食品には消費期限と賞味期限が表示されており、消費期限は安全性に関わるため優先して消費することが推奨されます。
食品ロス削減には、消費期限を理解し、適切に管理して消費することが重要です。

参照先:農林水産省の食品ロス削減に関する資料や、消費期限・賞味期限の違いについてのガイドライン
参考情報
エシカル消費に関する情報をさらに深めるには、以下の情報源も有用です。

環境省のエシカル消費ガイド:エシカル消費の基礎や具体例、関連政策の概要が掲載されています。
消費者庁のエシカル消費推進資料:消費者に向けた啓発活動として、エシカル消費に関連する取り組みが紹介されています。
国際環境認証機関の情報(例:エコラベル、FSC認証など):環境ラベルの種類や取得基準を把握することで、エシカル消費の背景を理解することができます。
これらの情報源を参照することで、エシカル消費の具体的な方法やその意義を深く理解することができます。


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