総監試験対策の基盤資料であり、「統合的視点」における考え方と、各章の管理分野との関連を体系的に整理したものです。
1.総合技術監理(統合的視点)
総合監理技術者は、経済性、品質、工程、人的資源、安全、環境といった複数の管理分野を横断し、全体最適の視点からこれらを調整・統合する立場にある。
それぞれの「管理」が個別課題の最適化を目的とするのに対し、「監理」は相互に影響し合う複数の視点を俯瞰し、利害関係者と協働しながら課題解決に導く判断力と説明責任が求められる。
「管理」と「監理」の違い
| 項目 | 管理 | 監理 |
|---|---|---|
| 意味 | 一定の目的のもとで、対象(人・モノ・金・情報)を統制・運用すること | 管理されている複数の分野を統合・調整し、全体最適を図ること |
| 担当レベル | 各分野の担当者・実務責任者 | 総合責任者・技術統括者(=総合監理技術者) |
| 役割 | 各個別分野の「運用者」 | 全体を俯瞰し「調整・説明・判断」する |
| 試験での位置づけ | 2章〜6章の中で扱われる「○○管理」 | 1章に示される「監理技術者としての統合的視点」 |
「監理技術者としての統合的視点」とはなにか?
複数の管理分野にまたがる課題を、利害・制約・不確実性を含めて統合的に捉え、最適解を模索する“考え方の枠組み”
これを具体的に言語化するなら、以下のような構造的思考プロセスを持つことが、まさにその「統合的視点」である:
監理技術者としての統合的視点とは?(試験的思考フロー)
| 段階 | 内容 | 関連キーワード例 |
|---|---|---|
| ① 状況把握 | 複合的な課題構造を整理し、重要な視点を抽出する | リスクマネジメント、SWOT分析、CSF(重要成功要因) |
| ② 調整と分析 | 対立・矛盾する要素を把握し、トレードオフの構造を明確化する | QCDバランス、ステークホルダー調整、利害関係の可視化 |
| ③ 意思決定 | 全体最適となるように優先順位を付け、実行可能性を判断する | 多面的評価、最適化手法、意思決定理論 |
| ④ フィードバック設計 | 判断の結果、新たに生じる課題や影響への対応を組み込む | PDCA、継続的改善、レジリエンス、フォローアップ設計 |
例:この視点を使うとどうなるか?
課題:若手技術者の定着率が低下し、品質不良が増加している。
- ① 状況把握 → 人的資源(人材不足)・品質管理(再発防止)・情報共有の不足と判断
- ② トレードオフ分析 → 教育投資はコスト増、即戦力確保との両立が難しい
- ③ 対応案 → OJT体制強化+QCサークルによる自発的改善+定着インセンティブ導入
- ④ 新たな課題とフォロー → OJTを支える中堅層の業務過負荷に留意→業務量の見直しと支援体制を追加
まとめ:「監理技術者の統合的視点」とは
- 各章のキーワードを切り離さずに関係づけて考える力
- 問題→視点設定→整理→調整→判断→再調整という思考の流れを踏む習慣
- 答えそのものより「なぜそれが導かれたのか」を言語化できる能力
この意味で、1章で求められるのは、
“監理とは何か”を構造的思考力として自分の中に持っているか?
であり、それを土台として、2章以降でそれぞれの「要素(管理技術)」を統合の素材として捉えることに繋がる。
2.経済性管理
概要:「モノ・時間・金」を俯瞰する管理者としての役割
技術士として専門分野の中で積み上げてきた経験や判断力を、より広いプロジェクト全体の意思決定に生かすためには、「経済性」という共通尺度を通じて他分野を俯瞰する視点が必要となる。
「2.経済性管理」は、専門分野で扱ってきた「モノ」「時間」「金」の管理経験を土台に、それらを他分野と整合させ、事業の全体像を経済性という軸で捉え直すことを促す章である。
各節で扱う個別手法や制度(事業企画、原価管理、財務会計など)は、単なる知識項目ではなく、判断のフレームワーク=「経済性というフィルター」として機能するものであり、意思決定の前提理解として他の管理活動の基盤を支える。
| 節 | つながり・構造 |
|---|---|
| 2.1 事業企画 | すべての起点。構想・市場性・収益性の評価から事業実施の是非を判断。下位項目の前提。 |
| 2.2 品質の管理 | 事業の成果に対する信頼性(品質)を確保。価値ある成果を提供するための中核。 |
| 2.3 工程管理 | 品質を時間内に達成するために、進行状況を調整・最適化。計画と現場をつなぐ。 |
| 2.4 原価管理・管理会計 | 工程・品質活動のコストを分析し、無駄を省きつつ目標を守る。資源配分の要。 |
| 2.5 財務会計 | 原価や投資の成果を外部に示し、ステークホルダーとの信頼形成に資する。 |
| 2.6 設備管理 | コストと品質・工程を支える物理的基盤を整備・維持する活動。 |
| 2.7 数理的手法 | 各管理活動に共通する「計画・意思決定支援の道具箱」。企画・最適化に活用。 |
全体構造:
「2.1」で事業の方向性を定め →「2.2~2.4」でQCD(品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery))のバランスを管理 →「2.5」で事後的に経営成績を整理し →「2.6・2.7」で持続的な支援と改善を図る。

3.人的資源管理
概要:専門家が「人を通じた全体最適」を考えるための視点
技術士が専門性を発揮して成果を出すうえで、「人」や「組織」の要素は背景として存在していたかもしれないが、主題として取り扱うことは少なかった。
しかし、総合技術監理においては、プロジェクトの実現を担う“人”そのものがマネジメントの対象となる。
「3.人的資源管理」では、「人の能力は前提ではなく、設計・育成・環境整備の対象である」という発想転換が求められる。すなわち、技術力の前提には“人が働ける環境”があるという理解が重要である。
| 節 | つながり・構造 |
|---|---|
| 3.1 人の行動と組織 | モチベーション・組織文化など、人材管理の前提となる心理・組織論。 |
| 3.2 労働関係法と労務管理 | 雇用環境を守るルールと運用。3.1で扱った「理想」を制度面で支える。 |
| 3.3 人材活用計画 | 組織と個人の能力を結びつけ、戦略的に配置・評価する枠組み。 |
| 3.4 人材開発 | 活用にとどまらず、将来を見据えた能力育成。継続的成長の基盤。 |
全体構造:
「3.1」で人を知り →「3.2」でルールを理解し守り →「3.3」で最適配置を考え →「3.4」で未来への育成を図る。

4.情報管理
概要: 「知識」を資源として活かすための設計思想
技術士としての専門分野では、現場のデータや技術的知見を“使う立場”として扱うことが多かった。しかし総合技術監理では、それらの情報を組織的な意思決定や改善活動にどう活かし、どう守るかを設計する立場が求められる。
第4章「情報管理」は、単なるITやデータ処理の話ではなく、“情報”を経営資源として認識し、それを活用・共有・保護する一連のプロセスを設計・統括する力を問う章である。
| 節 | つながり・構造 |
|---|---|
| 4.1 情報分析と活用 | 経営判断の材料となる情報を収集・評価・意思決定へ活かす中核。 |
| 4.2 コミュニケーション | 情報を「伝える・伝わる」ための技術。4.1と相補関係にある。 |
| 4.3 知的財産と保護 | 得られた情報や成果物を組織資産として守る。 |
| 4.4 情報通信技術動向 | 上記のすべてを支える技術基盤。デジタル化の前提。 |
| 4.5 情報セキュリティ | 情報の安全性・信頼性を確保するための必須対策。4.3と連動。 |
全体構造:
「4.1」で情報を活用し →「4.2」で伝達 →「4.3・4.5」で保護しつつ →「4.4」で技術基盤を維持強化する。

5.安全管理
概要:安全は“現場の責任”から“組織の責任”へ
技術士として現場の安全に配慮してきた経験は多いが、総合技術監理においてはそれを一段引いて、「安全をどう設計し、組織として保証するか」という視点が求められる。
「5.安全管理」は、単なる事故防止策や安全装置の知識ではなく、人命・設備・環境を守るために“理念・制度・技術・体制”を総合的にマネジメントする力を問う章である。
| 節 | つながり・構造 |
|---|---|
| 5.1 安全の概念 | 全体の基本的な考え方(ゼロ災・安全文化)を定義。出発点。 |
| 5.2 安全管理の制度と技術 | 現場で用いるルールや装置、手法を体系的に説明。実践知識。 |
| 5.3 安全マネジメントシステム | 組織的・継続的に安全を管理する仕組み(PDCA・OHSMS等)。 |
| 5.4 労働災害・重大事故と対策 | 失敗事例から学ぶ。制度や技術の有効性を裏付ける。 |
全体構造:
「5.1」で理念を共有 →「5.2」で現場対策 →「5.3」で体制化 →「5.4」で改善につなぐ。

6.社会環境管理
概要:組織の活動を“社会と地球環境”の文脈で捉えるために
これまで技術士として、個別事業や技術の最適化に携わってきた者にとって、環境問題やCSRは“外部要因”として扱われがちであった。しかし、総合技術監理においては、組織そのものの存続と信頼性を左右する“本質的なマネジメント課題”として捉え直す必要がある。
「6.社会環境管理」は、持続可能性(サステナビリティ)と社会的責任(SR)の視点から、組織活動全体を“社会と地球環境の要請に適応させる”ための枠組みを構築する章である。
| 節 | つながり・構造 |
|---|---|
| 6.1 地球的規模の環境問題 | グローバルな文脈での課題(温暖化等)を理解する出発点。 |
| 6.2 環境影響評価と管理 | 6.1を踏まえて、個別事業に落とし込んだ評価・抑制方法。 |
| 6.3 環境保全と環境マネジメント | 継続的な改善のためのシステム(ISO14001等)を整備。 |
| 6.4 CSR・社会的責任と環境活動 | 上記全体を組織としてどう責任ある行動につなげるかを統合的に扱う。 |
全体構造:
「6.1」で背景を認識 →「6.2」でプロジェクト対応 →「6.3」で体制整備 →「6.4」で社会的責任として定着。

まとめ
記事の位置づけと活用の視点
――「覚える」ためでなく、「考える」ための土台として ――
この記事は、総合技術監理の各章(第1章〜第6章)を単なる暗記項目として捉えるのではなく、「統合的視点」から各管理分野をどのように位置づけ、どのように活用するかを考えるためのフレームワークとして構成されている。
試験対策という観点では、膨大なキーワードを網羅的に覚えることに意識が向きがちであるが、実際の試験――特に記述式問題――で問われるのは、与えられたキーワードを用いて意味のある構造として論述できるかどうか、すなわち“使える知識”へと変換できるかである。
この記事は、そのための「頭の中の地図」や「構造的思考の骨格」を与えるものである。
活用のポイント
- キーワードをそのまま暗記することが目的ではない。
→ むしろ、各章の背景や構造の流れを理解し、「キーワードに触れたときに意味が湧いてくる状態」を目指すことが重要である。 - 各章を横断して“つなぐ視点”を持つことが、監理技術者としての統合力となる。
→ 例えば「原価管理」は経済性管理の一部であるが、人員配置(人的資源管理)や安全体制(安全管理)との関連を踏まえることで、より立体的な理解が可能となる。 - “キーワード → 構造 → 考え方”の順に学ぶことで、試験本番での応用力に直結する。
→ 問われるのは「どんな対策があるか?」ではなく、「なぜその対策が導かれるのか?」という論理構築である。
このまとめが意味すること
この記事は「答え」ではなく、「考えるための型(フレーム)」である。
その型に沿ってキーワードを再解釈することで、学びは“点”から“線”、さらには“面”へと展開していく。
言い換えれば、「知識を積む」から「視点を得る」への転換を促すものであり、
これは監理技術者に求められる統合的思考の第一歩である。

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