

特性要因図(フィッシュボーン)、バリューチェーン分析、SWOT分析、3C分析、PPM分析、マトリクス分析、制約条件の理論(TOC)、ブレインストーミング法、デザイン思考、過程決定計画図(PDPC法)、デルファイ法、アンケート分析、4P分析、発想法
私たちが仕事で直面する「問題」「課題」「解決策」は、それぞれ意味も位置づけも異なる概念です。
本記事では、それらを構造的に理解し、状況に応じて整理・分析・発想できるようにするために、代表的なビジネスフレームワーク13種を分類・解説しています。
分類は以下の3段階に対応しています:
- ■ 問題を見つける・構造化する
- ■ 課題を絞る・選ぶ
- ■ 解決策を考える・発想する
それぞれのフレームは、
**「定義・目的・特徴+活用の視点」**という共通フォーマットで整理しています。
また最後には、「発想法」などの補助的思考技法も紹介し、構造と創造の両輪を意識した構成にしています。
今抱えているテーマにどのフレームが合うのか?
思考の補助線として、必要なところから読み進めてみてください。
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■ 問題を見つける・構造化するためのフレーム
◆ 特性要因図(フィッシュボーン)
定義:
現象の原因を系統的に洗い出し、要因の構造を図で可視化する手法。魚の骨の形に似ているため「フィッシュボーン・ダイアグラム」とも呼ばれる。
目的:
目の前にある現象に対して、その背景にある多様な要因を体系的に整理し、根本的な構造を把握すること。
特徴:
人・物・方法・環境などの分類軸を使って、もれなく・重複なく要因を整理できる。品質管理やトラブル分析、再発防止策の立案に幅広く用いられる。
→ 問題が漠然としているときに全体像を俯瞰し、整理の切り口を得るのに有効。
◆ バリューチェーン分析
定義:
企業の事業活動を「価値を生む流れ」として分解・分析する手法。M.E.ポーターが提唱したフレームワークで、主活動と支援活動に分類される。
目的:
製品やサービスの提供プロセスを構造化し、どの工程が競争優位に貢献しているか、あるいは非効率の原因となっているかを明らかにする。
特徴:
工程単位での価値評価が可能となるため、内部プロセスに埋もれた非効率や構造的な問題点の発見に適する。コスト構造や差別化戦略の立案にもつながる。
→ 業務全体の中に“隠れたボトルネック”があるときに、その構造を把握するのに有効。
◆ SWOT分析
定義:
自社の現状を「強み(Strength)・弱み(Weakness)・機会(Opportunity)・脅威(Threat)」の4象限で整理する戦略フレームワーク。
目的:
内部資源と外部環境の対応関係を明らかにし、現状の戦略的なギャップや方向性の見直しポイントを把握する。
特徴:
内部要因(S・W)と外部要因(O・T)の交点に着目することで、戦略上の「ズレ」や「機会損失」を構造的に見つけやすくなる。戦略立案・再構築の出発点に使われる。
→ 状況が漠然としているときに、整理と思考の起点として役立つ。クロスSWOTとの併用で課題抽出にもつながる。

◆ 3C分析(Company・Customer・Competitor)
定義:
ビジネス環境を「自社(Company)」「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」の3つの観点から俯瞰し、戦略的な位置づけを把握する分析手法。
目的:
市場における自社の立場や、顧客ニーズ・競合状況との間にある構造的なズレや競争課題を発見すること。
特徴:
自社の強み・弱み(C)、顧客のニーズや変化(C)、競合の動きや優位性(C)をそれぞれ構造的に整理することで、問題の所在や重点改善領域を絞り込める。マーケティング戦略の出発点としても機能する。
→ 市場視点で問題を捉え直したいときや、戦略上の“見落とし”を探る場面に有効。

■ 課題を絞る・選ぶためのフレーム
◆ PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
定義:
複数の事業や製品を「市場成長率」と「市場占有率」の2軸でマトリクス化し、4つの象限(花形/金のなる木/問題児/負け犬)に分類する分析手法。
目的:
経営資源をどの事業に集中すべきかを判断し、成長戦略や撤退判断などの優先順位を明確にする。
特徴:
「成長しているがシェアが低い」「成熟しているが高シェア」などの視点で、投資すべき課題・見直すべき課題を切り分ける。経営戦略・事業整理に有効。
→ 複数の選択肢がある中で、どこに取り組むべきかの見極めに適する。

◆ マトリクス分析(例:重要度×緊急度)
定義:
要素を2軸で分類し、マトリクス上に配置することで、優先度や関係性を視覚的に整理する手法。軸の設定によって多様な応用が可能。
目的:
複数の課題や対応策を比較し、どれを先に扱うべきか、またはどれを後回しにすべきかを判断する。
特徴:
「重要度×緊急度」「影響度×実行容易性」など、状況に応じて適切な軸を設定することで、直感的に課題を選別できる。意思決定を伴う場面で活用される。
→ タスクの整理や限られたリソースの配分を考える際に有効。
◆ TOC(制約条件の理論/Theory of Constraints)
定義:
システム全体の成果は、最も弱い1点=「制約」によって決まるという考え方に基づく経営理論。エリヤフ・ゴールドラットが提唱。
目的:
システムや業務フローの中で、全体のパフォーマンスを妨げている制約(ボトルネック)を見極め、そこに集中して改善する。
特徴:
「制約の特定→活用→すべてを従属→制約の強化→新たな制約へ」と進む5ステップのプロセスが基本。部分最適ではなく、全体最適志向で課題にアプローチするのが特徴。
→ 限られたリソースで最大効果を得たいとき、最優先で対応すべき課題の選定に最適。

■ 解決策を考える・発想するためのフレーム
◆ ブレインストーミング(Brainstorming)
定義:
複数人で自由にアイデアを出し合い、批判せずに発想を広げる創造的手法。A.F.オズボーンが提唱。
目的:
アイデアを量産し、既存の枠にとらわれない新たな解決策の可能性を広げること。
特徴:
①批判禁止、②自由奔放、③量重視、④連想歓迎の4原則に基づく。発想の“質”より“幅と広がり”を優先し、他者の意見から新たな視点が生まれることを重視する。
→ 解決策に行き詰まった場面で、柔軟なアイデアの突破口を探る手段として有効。
◆ デザイン思考(Design Thinking)
定義:
ユーザー視点から課題を再定義し、試作と検証を重ねながら創造的な解決策を導く手法。IDEOやスタンフォード大学d.schoolで体系化。
目的:
“正しい問い”を立てるところから出発し、共感・定義・発想・試作・テストのプロセスを通じて、より本質的な解決を目指す。
特徴:
観察・共感によって課題を再構築し、早期プロトタイピングにより実装可能性を高める。ユーザー中心・仮説駆動・失敗容認がキーワード。
→ 明確な正解がない課題や、価値創造が重視されるプロジェクトに適する。
◆ PDPC法(過程決定計画図/Process Decision Program Chart)
定義:
目標達成に至るプロセスを段階ごとに分解し、それぞれの段階で起こりうる問題とその対処策を事前に検討・整理する手法。
目的:
計画実行時に生じる可能性のある障害をあらかじめ想定し、リスクに備えた実行可能なアクションプランを構築すること。
特徴:
「~したらどうなるか/そのときどうするか」というIf-Then型の論理展開。QC活動でも用いられ、想定外の事態への備えを構造化できる。
→ 新規プロジェクトや複雑な実行計画において、計画の堅牢性を高めたいときに有効。
◆ デルファイ法(Delphi Method)
定義:
専門家や関係者の匿名意見を複数回にわたって収集・集約することで、合意形成や将来予測を導く手法。集団バイアスを回避できる点が特徴。
目的:
対面会議での権威・遠慮・同調圧力を避け、少数意見や多角的視点を活かしながら、収束した判断を得ること。
特徴:
匿名性・繰り返し・集約という3つの要素により、意見を洗練させていく。政策検討・技術予測・組織変革など、明確な正解が存在しないテーマに適する。
→ 社内外で意見が割れているテーマや、慎重な意思決定が求められる場面に有効。

◆ アンケート分析(Questionnaire Analysis)
定義:
質問形式で収集したデータを分析し、対象者の意識・行動・ニーズなどを定量・定性の両面から把握する手法。
目的:
現場や市場の実態・声を把握することで、仮説の検証や、解決策の納得性向上につなげる。
特徴:
適切な設問設計と分析手法(単純集計・クロス集計・自由記述分析など)により、施策前の「事前評価」や施策後の「フィードバック」にも活用可能。
→ 解決策の実効性を裏付けたいときや、利害関係者の“納得感”を得たいときに有効。
◆ 4P分析(Product・Price・Place・Promotion)
定義:
製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販売促進(Promotion)の4要素から、マーケティング施策を設計・評価するフレームワーク。J.マッカーシーが体系化。
目的:
自社の製品やサービスに関して、**「どう提供し、どう届け、どう売るか」**を整理・調整し、戦略的に市場対応を最適化する。
特徴:
4つの要素は相互に連動しており、一部のズレが全体の成果に影響を及ぼす。施策間の整合性を重視するのがポイント。
→ 商品やサービスの展開方法を具体的に検討・改善したい場面に有効。特に“売れない理由”の分析や再設計に役立つ。

その他発想法
■ 補足:その他の代表的な発想支援法
問題解決においては、フレームワークによって構造を捉えるだけでなく、創造的な発想を引き出すための技法=発想法も重要です。
以下は代表的な発想支援の例です:
- マインドマップ法:中心から放射状に情報や連想を広げ、視覚的に思考を整理する方法。発想の拡散に効果的。
- アナロジー法:類似する他の事象や物事からヒントを得て、新たな視点を生み出す。
- アトリビュート・リスト法:構成要素をリストアップし、それぞれに変化を加えることで新しい組み合わせを探る。
- ロール・スワップ法:他人や別の立場になって考えることで、思いもよらない視点を得る。
- シンク・ホワイル法:集中せずあえて気をそらすことで、直感的・無意識的にアイデアを浮かび上がらせる。
こうした発想法は、フレームワークと組み合わせることで、問題解決における創造力を高め、視野を広げる補助線になります。



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