「御社の強みは何ですか?」に、自信を持って答えられるようになる
日々の業務の中で、「自社の強みとは何か」をあらためて考える機会は多くありません。
けれど、営業、採用、事業戦略など、会社の未来に関わる多くの場面で「強み」が問われる瞬間は確実にやってきます。
この記事では、そんな問いに対して――
「強みとは、自社が選ばれている理由であり、実はすでに現場の中にある」
という前提のもと、その輪郭をつかみ、言葉にしていくプロセスを紹介しています。
特別な技術や目を引く実績がなくても、「地元との関係性」や「顔の見える安心感」といった、派手ではないが確かに選ばれている理由があれば、それが十分な強みになり得ます。
3つの業種(飲食・コンサル・地域店)の架空事例を通じて、
- 見落としがちな価値にどう気づくか
- 顧客の視点をどう集め、どう仮説を立てるか
- その強みをどのように将来の施策へ活かすか
といった具体的なヒントが散りばめられています。
読み進めるうちに、
「うちにもあるかもしれない」
「今やっていることを見直してみよう」
そんな気持ちが自然と湧いてくるはずです。
自社の強みとは、“思い出すもの”であり、“育てていくもの”でもある。
この視点を持ち帰っていただければという思いで紹介いたします。
自社の強みとは何か? 〜「選ばれる理由」を言語化する〜
自社の強みとは、「なぜ顧客が自社を選ぶのか」に対する明確な理由です。
つまり、他社にはない価値や特長が、自社の製品やサービスに備わっていることが重要です。
たとえば、他社よりも価格が安く、かつ品質も高い商品を提供しているのであれば、「コストパフォーマンスの高さ」が明確な強みとなります。
また、対応の早さ、アフターサービスの充実、特定分野での専門性なども強みになり得ます。
なぜ「強み」を知ることが重要なのか?
自社の強みを明確にすることは、ビジネスを前進させる土台です。
- マーケティングや営業活動で、自社の魅力を正しく伝える軸になる
- 競合他社との差別化ポイントとして戦略立案に活かせる
- 既存の強みをさらに磨くための改善活動につながる
強みを知ることで、「何を伸ばすべきか」「何に集中すべきか」という判断がしやすくなります。逆に、それを知らないままでは、的外れな施策に時間やリソースを浪費してしまう恐れがあります。
強みは業種によって異なる
自社の強みは一律ではなく、業界や市場環境、顧客層によって異なります。
- 価格競争が激しい業界では「低価格」が強みになることもあれば、
- 高品質やブランドイメージが重視される分野では「信頼性」「高級感」が武器になる場合もあります。
重要なのは、自社がどの土俵で戦っているのかを理解し、その中でどう優位性を築けているのかを言語化することです。
自社の強みを知るための方法
~客観視と仮説思考から始める~
自社の強みを正確に把握するのは、意外と難しい作業です。
なぜなら、多くの競合が似たようなサービスや品質を提供している中で、自分たちだけの「優位性」を見つけ出すには、冷静な自己分析と客観的な視点が必要だからです。
まず大切なのは、自社の状況を他者目線で見直すことです。
社内の常識や慣習にとらわれず、「なぜお客様が選んでくれているのか?」という視点で見つめ直すことから始めましょう。
強みを発見するための第一歩として、既存顧客や提供中のサービスの分析が有効です。
もちろん、理想は顧客からの直接的な声(アンケートやインタビュー)ですが、初期段階では、自社なりの仮説を立ててみることも重要です。
ここでいう仮説とは、たとえば「○○という特徴が評価されているのではないか」「□□な対応が信頼につながっているのでは」といった理由に基づく仮定のこと。
この仮説をもとに情報を集め、検証していくことで、強みの輪郭が明確になっていきます。
既存顧客・既存サービスを分析する
~選ばれている理由を、顧客の視点から掘り起こす~
自社の強みを見つけるうえで、既存顧客と既存サービスの分析は最も信頼性の高い出発点です。
「どのような顧客が、なぜ自社を選んでいるのか?」この問いに答えることで、自社が市場において提供している実質的な価値が浮かび上がってきます。
顧客ニーズの把握が強みにつながる理由
顧客のニーズを深く理解することは、単なる満足度向上にとどまらず、以下のような成果をもたらします。
- 商品・サービスの改善点を発見できる
- 顧客満足度とリピート率(ロイヤリティ)を高められる
- 結果として、長期的な関係性の構築と収益の安定化につながる
顧客ロイヤリティとは、顧客が自社のサービスに対して継続的に選択し、肯定的な評価を持ち続ける状態のことです。
つまり、「ファン」として長く付き合ってくれる存在を意味します。
このような顧客の声や行動パターンを分析することは、競合との差別化にも直結します。
顧客の声を集める具体的な方法
顧客ニーズの把握には、以下のようなアプローチが有効です。
- アンケート調査・インタビューによる直接ヒアリング
- フィードバックフォームやクレーム・要望の集計
- 購入履歴や問い合わせ対応の記録分析
- SNSや口コミサイトなどでの発言のモニタリング
※今回の記事ではデータ分析の詳細には触れていませんが、今後の施策立案においてはこれらの情報源が重要になります。
ニーズへの対応がもたらす好循環
顧客ニーズに応じて商品やサービスを改善することで、顧客満足度の向上 → 評判の向上 → 口コミによる新規顧客の獲得といった好循環が生まれます。
顧客からの期待に応え続けることで、自然と他社にはない強みが定着していきます。
こうした積み重ねが、結果的に競争力の源泉となります。
顧客が自社を選ぶ理由はどこにあるのか?
~選ばれる背景を構成する10の視点~
既存顧客・既存サービスを分析する際には、「なぜお客様は他社ではなく自社を選んでいるのか?」という問いを立てることが重要です。
その答えはひとつではなく、複数の要素が組み合わさっていることがほとんどです。
以下に、お客様が企業を選ぶ際に重視する代表的な10の理由を挙げます。
自社がどの要素で選ばれているのかを見極めるヒントとしてご活用ください。
お客様が自社を選ぶ10の理由
①ブランドイメージ
企業や商品に対する信頼感・好印象が強く、自分の選択に誇りを持てる
②品質の高さ
製品やサービスの品質が信頼できると感じる
③価格とのバランス(コストパフォーマンス)
価格が手頃で、内容に見合っていると評価される
④選択肢の多さ
商品やサービスのバリエーションが豊富で、自分に合ったものを選びやすい
⑤立地の良さ・アクセスの利便性
店舗や拠点の場所が利用しやすく、足を運びやすい
⑥安心感・接客の丁寧さ
スタッフの対応が親切・丁寧で、信頼できる印象を持たれる
⑦デザインやスタイルの好み
商品やサービスの見た目や雰囲気が自分の好みに合っている
⑧安全性・環境への配慮
安全基準を満たし、環境にやさしい取り組みを行っている
⑨情報提供の充実
必要な情報が適切に提供され、比較・判断がしやすい
⑩アフターサービスの手厚さ
保証・サポートがしっかりしており、購入後も安心して使える
自社の強みを分析した具体例①
― 架空の飲食店チェーン「グルメビジョン」の場合 ―
ここでは、全国展開する架空の飲食店チェーン「グルメビジョン」を例に、自社の強みの把握と活用方法を見ていきます。
■ 企業概要
グルメビジョンは、和食・洋食・中華・カフェといった幅広いジャンルの料理を提供する飲食チェーンです。
価格帯はやや高めですが、高品質な食材と上質なサービス、落ち着いた雰囲気を売りにしています。
現在は、競合の増加により市場の競争が激化しており、新規顧客の開拓と既存顧客のロイヤルティ向上が大きな課題となっています。
■ グルメビジョンが定義した「自社の強み」
- 高品質な食材を使用し、美味しさを徹底追求している
- 高級感のある店内と接客で、非日常の時間を提供している
- 多ジャンルの料理を展開し、幅広い顧客ニーズに応えている
- オリジナルメニューの開発で、他社と差別化を図っている
- 季節限定や話題性のある新メニューで、リピートを促している
- 全国展開により、様々な地域の顧客にリーチできている
- チェーン展開による経営効率化で、コスト面でも競争力がある
- 長年のブランド構築により、高い認知度と信頼を確立している
■ 強みを活かした戦略展開の具体例
● 高価格帯の納得感を生む演出
1・2の強みを組み合わせ、「高品質な食材×上質なサービス」の体験価値を提供。高価格帯でも納得感を持って選んでもらえる仕組みを整えています。
● 他社との差別化による顧客の関心獲得
4・5の強みを活かし、オリジナル性の高いメニューを定期的に打ち出すことで、常連顧客の飽き防止と新規顧客の関心を引き続けています。
● 地域特性に応じた柔軟なサービス展開
6の強みを背景に、地域ごとに異なるメニューやプロモーションを導入。ローカルな好みに寄り添うことで、地域密着型の支持も得ています。
● 経営効率の追求と価格競争への対応
7のチェーン運営ノウハウを活かし、スケールメリットによるコスト削減を実現。適正価格でサービスを維持しつつ、利益率も確保しています。
■ 強みを軸にした時代への適応
グルメビジョンは、時代の変化にあわせて強みの再定義と新たな取り組みも進めています。
- 健康志向の高まりに対応:低カロリーメニューや産地明示による安心感を提供
- 生活スタイルの変化に対応:テイクアウト・デリバリーを拡充し、新しい需要を獲得
こうした施策により、グルメビジョンは単なる「料理の質」だけでなく、「ライフスタイルに寄り添う存在」としての価値を築き、新規顧客の獲得と既存顧客の継続的支持を実現しています。
自社の強みを分析した具体例②
― 架空の営業コンサルティング会社「ナイン・カルテル」の場合 ―
飲食や物販のように「形ある商品」を扱う業態とは異なり、無形サービスを提供する事業では、自社の強みが見えにくくなりがちです。
ここでは、営業戦略を専門とするコンサルティング企業「ナイン・カルテル」の事例を通して、無形ビジネスにおける強みの整理方法を見ていきます。
■ 企業概要
ナイン・カルテルは、企業経営者や幹部層を対象とした営業・経営コンサルティング会社です。
クライアントの課題に応じて、営業戦略の立案から実行支援、経営戦略の再設計までをトータルでサポートしています。
価格帯はやや高めですが、それに見合う専門性と実行力を提供することで、顧客満足度の向上を目指しています。
現在は、競合コンサルティング会社の増加により、**差別化とリテンション戦略(顧客維持)**の強化が求められている状況です。
■ ナイン・カルテルの強み
- 高い専門知識と豊富な実績による、高品質なコンサルティングの提供
- 顧客ごとにカスタマイズした営業・経営戦略の提案力
- 多様な専門家で構成されたチームによる柔軟な対応力
- 独自のビジネスモデルに基づいた、差別化された提供価値
- 継続的なアフターフォローとサポート体制の整備
- 信頼感のあるブランドとしての地位と評価
■ 強みを活かした具体的な取り組み
● 高品質な成果を支える「専門性」と「経験」
1・2の強みを活かし、業種・規模・フェーズに応じて最適な戦略と支援体制を提案。
単なるアドバイスにとどまらず、実行までを伴走する支援が顧客から評価されています。
● 他社と一線を画す「独自性」
4の強みである独自の支援モデルにより、「結果を出すコンサルタント」という印象付けを実現。
汎用的な助言ではなく、「この会社にしかできない」と感じさせる付加価値を提供しています。
● 幅広いニーズへの対応力
3の強みであるチーム体制を背景に、営業支援のみならず、IT導入支援や人材育成支援までカバー。
クライアントの成長フェーズに応じて、長期的に関係性を築くことが可能です。
● 顧客との継続関係を支えるサポート体制
5のアフターサポートによって、導入後の不安や変化への対応にも柔軟に対応。
一度の支援で終わらせず、継続契約や紹介につながる仕組みが機能しています。
■ 市場変化に対応した強みの拡張
ナイン・カルテルは、既存の強みに加え、環境変化にも対応しています。
- デジタル化への対応:オンライン面談・資料共有・ダッシュボード活用による遠隔支援
- グローバル化への対応:海外進出支援や多言語対応スタッフの強化
- 新分野への応用:スタートアップ支援やサブスクリプション型コンサルの導入
こうした柔軟な展開により、ナイン・カルテルは業界内でも高い評価を獲得し、リーディングカンパニーとしてのポジションを確立しつつあります。
自社の強みを分析した具体例③
― 架空の地域密着型クリーニング店「ふわふわクリーニング」の場合 ―
ここまで紹介した2つの事例(飲食店チェーン・コンサル会社)は、いずれも高品質で高付加価値なサービスを提供している企業でした。
一方で、目立った特徴がない、普通の企業・店舗は、果たして強みを見つけられるのでしょうか?
この事例では、品質や価格で突出していないものの、長年にわたり地域に愛され続けている小規模クリーニング店を取り上げます。
見えにくい価値をどう捉え、どう活かすか。その視点を掘り下げます。
■ 企業概要
「ふわふわクリーニング」は、地域の住民を対象にクリーニングサービスを提供している個人経営の小さな店舗です。
サービス品質や価格は平均的で、目立つ広告も行っていません。
それでも、長年にわたり地元の住民から支持され、リピーターが絶えない店舗として事業を継続しています。
■ ふわふわクリーニングの強み
- 地元密着ならではの、顧客との深い関係性
- 長年の営業によって培われた、地域での信頼と口コミ効果
- オーナーが直接接客・作業を行うことによる一貫したサービス品質
- 標準的な品質ながら、個別ニーズに応える柔軟な対応力
- 親しみやすい人柄によって生まれる安心感・信頼感
■ 平凡のなかにあった「選ばれる理由」
● 密着力=信頼力
1・2の強みを活かし、オーナーが地域イベントへの参加や手書きチラシの配布など、地道な活動を継続。
口コミや紹介での集客が安定しており、大規模広告に頼らない運営を可能にしています。
● 柔軟対応で「困ったときの頼れる存在」に
4の柔軟性により、通常では断られるような特殊素材や個別事情にも応える対応力を発揮。
これがファン化につながり、固定客の定着と信頼を得ています。
● 「人」で選ばれる店舗
3・5の強みであるオーナー自身の関与と人柄が、店舗への親近感や安心感を醸成。
大手にはない**「顔が見える安心感」**が、リピートと紹介の原動力になっています。
■ 小さな店でも、立派な「強み」はある
ふわふわクリーニングの事例は、視点を変えることで見えてくる価値を示しています。
一見目立たない存在でも、地域に根差し、丁寧に顧客と向き合ってきた姿勢こそが、唯一無二の強みとなっているのです。
例えば:
- 高い技術や価格競争力がなくても、顧客との接点の質で勝負できる
- 自社の「らしさ」は、規模や実績ではなく、「信頼」と「継続性」に宿る
このように、競争の激しい市場であっても、平均的なサービスでも選ばれ続ける理由があるということを、ふわふわクリーニングは教えてくれます。
この事例で示されたように、「自社の強み」は必ずしも“派手”である必要はありません。
むしろ、積み重ねられた信頼や日々の工夫のなかにこそ、真の強みが隠れているのです。
自社の強みを分析することは、事業を長期的に継続・発展させるうえで欠かせない取り組みです。
たとえ製品やサービスの品質が平均的であったとしても、提供の仕方や接し方に工夫があれば、顧客に選ばれ続ける理由がそこにあります。
今回の事例を通じて、そうした「目立たないけれど確かな強み」が見えてくることを再確認できたのではないでしょうか。
自社の強みを見つけることで、改善すべきポイントや、競合と差別化できる要素が明らかになります。
それは、これからの戦略を考える上での大きな指針となるはずです。
「ふわふわクリーニング」の今後を考える
― 変化する環境への対応力もまた、強みになる ―
これまで紹介してきた「ふわふわクリーニング」は、地元に根ざした信頼とつながりによって長年事業を継続してきました。
しかし、オーナー自身は「今のままでも良い」と感じつつも、「この先も同じやり方で続けられるのか?」という不安を抱えています。
社会の変化は避けられません。高齢化の進行や生活様式の変化、新たな衛生意識の定着など、地域密着型の小規模店舗にも確実に影響を及ぼします。
ここでは、想定される環境変化に対して、「ふわふわクリーニング」がどのように対応していけるかを考えてみます。
目標は大きな拡大ではなく、現状の売上や信頼関係を維持していくことです。
■ 想定される環境変化と対応のヒント
①環境意識の高まりとエコニーズの増加
環境配慮が消費者の購買行動に影響を与える時代において、エコクリーニングの需要は確実に高まっています。
ふわふわクリーニングでも、次のような施策が考えられます:
- 環境負荷の少ない洗剤や洗浄機器の導入
- 再利用可能なエコバッグの導入
- 修理やリメイクといった「長く使う」サービスの提供
こうした小さな取り組みの積み重ねが、地域で選ばれ続ける理由になります。
② デジタル化とスマートフォン活用の普及
デジタルサービスに慣れた世代が増えており、クリーニング業界でもオンライン対応や利便性の高さが求められています。
対応の具体例:
- ネット予約やオンライン決済への対応
- SNSやLINEなどを使った情報発信・クーポン配信
- 顧客管理を兼ねたアプリ導入やポイント制度の構築
こうした対応は、「地元のやさしいお店」というイメージに便利さという付加価値をプラスします。
③ 非接触・感染症対策のニーズ
コロナ禍をきっかけに、安心・安全に配慮されたサービスが支持される傾向が強まりました。
対応の具体例:
- 宅配クリーニングや引き取りサービスの導入
- 店舗内の感染対策(消毒、換気、マスク対応)
- 入店制限や予約制の導入による混雑回避
非接触型サービスを導入することで、高齢者層や子育て世代など、来店に負担を感じる層へのアプローチが可能になります。
■ 変化に対応する力も、自社の「新しい強み」へ
外部環境の変化は、確かに不安要素にもなり得ますが、対応策を考え実行するプロセスこそが、新たな強みを育てる機会にもなります。
そして、こうした変化に対応するには、これまでと同様、まずは「お客様の声に耳を傾けること」が何より重要です。
顧客ニーズを的確に捉え、自社の価値提供に活かしていくことで、たとえ小規模な店舗でも、変わりゆく時代のなかで選ばれ続ける存在になれるのです。
― 「ふわふわクリーニング」長男による拡大戦略 ―
世代交代とともに広がる可能性
これまで堅実に地域に根ざしてきた「ふわふわクリーニング」ですが、事業を継いだ長男は、この店舗に新たな可能性を見出そうとしています。
目指すのは、“今ある信頼を守りながら、事業を少しずつ広げていくこと”。
3年程度を目処に、無理なく持続可能な拡大を実現するために、まず現状の分析から着手することにしました。
■ 現状分析:何があるかを正しく見つめ直す
①顧客層とニーズの把握
まず取り組んだのは、**「誰が、なぜ来店しているのか」**を知ることでした。
アンケート調査や会員制度、SNSなどを活用し、以下のような情報を収集します:
- 年齢層・性別・地域などの属性
- 利用頻度や利用目的
- 要望や満足度
このデータから、リピートの多い層や、まだ取りこぼしている潜在ニーズを把握できるようになります。
②競合他社のリサーチ
次に、地域内の競合店を調査。強みや弱みを比較することで、自店が打ち出すべき特徴が明確になります。
たとえば、「競合が夜間営業をしていない」ことを見つければ、「24時間対応」を打ち出す差別化戦略も考えられます。
③店舗効率の見直し
作業の自動化や設備の改善により、少人数でも高品質なサービスを維持できる体制づくりも検討項目に。
人材育成や働きやすい環境の整備も、継続的なサービス向上につながります。
■ 拡大戦略:小さく始めて、大きく育てる
上記の分析を踏まえ、長男が描いた拡大戦略には以下のような選択肢が含まれます。
①オンラインサービスの導入
- ネット予約、オンライン決済、集配サービスの提供
- オンラインショップ開設による関連商品の販売
→ 地域外へのアクセスと利便性の強化
②新商品・新サービスの開発
- 若年層向けの洗剤オプションやアレンジメニュー
- クリーニング+α(保管、修繕)の複合サービス
→ ニッチなニーズへの対応と単価向上
③新規出店・業務提携
- 利便性が高いエリアでの小規模店舗展開
- 地元企業や自治体との協業による顧客基盤拡大
→ 地域に根差したまま、無理のない拡張
■ 忘れてはならないリスク管理
事業拡大には当然ながら資金・人材・時間が必要です。
長男は、これらの配分や収支見通しを慎重に試算しながら、リスクの少ない段階的な成長を志向しています。
- 無理な借入を避けた資金調達計画
- 初期費用を抑えた小規模展開の採用
- 成果が見えた段階での次のステップへ進行
このように、「守りながら攻める」姿勢で、堅実な経営の継承を目指しています。
■ 成長の原点は、変わらない“地域の信頼”
長男の戦略の根底にあるのは、父の代から築いてきた「地域との信頼関係」です。
どれだけサービスを広げても、接客の丁寧さや、困ったときに頼られる存在であることを失わない。
それこそが、「ふわふわクリーニング」がこれからも地域で選ばれ続けるための、本質的な強みです。
まとめ
― 強みを言語化することが、次の一手を導く ―
「御社の強みは何ですか?」――この問いに、即答できる人は決して多くありません。
しかし、本記事で紹介してきたように、自社の強みは“特別な何か”だけとは限らず、日々の積み重ねやお客様との関係性の中に宿るものでもあります。
■ 自社の強みを見つける意義
- 今のお客様が、なぜ自社を選んでくれているのかを考える
→ その理由の中に、自社の価値の本質が隠れています。 - 強みを把握することで、未来の戦略が見えてくる
→ 改善点が明確になり、差別化の方向性を定める材料になります。 - 強みの言語化が、社内外の共通理解を生む
→ 採用・営業・商品開発など、あらゆる意思決定の軸となります。
■ 平均的であっても、強みはつくれる
もし、製品やサービスが“飛び抜けた存在”でなかったとしても、工夫と視点の切り替えによって選ばれる理由=強みをつくり出すことは可能です。
たとえば、以下のようなアプローチが挙げられます:
- 競合との差別化:価格、対応力、専門性、デザインなど、他社にない価値を打ち出す
- 顧客ニーズに基づく改善:フィードバックや利用データから、サービスを磨き直す
- 新たなビジネスモデルの模索:既存市場が飽和している場合は、視点を変えて新たな需要を創出する
これらはいずれも、「仮説→検証」の繰り返しによって精度を高めていくものです。
つまり、強みの発見と活用は、一度きりの分析ではなく、継続的な探求と実践のプロセスなのです。
■ 強みとは、育てていくもの
強みは「あるか、ないか」ではなく、「気づき、育てるもの」です。
本記事で紹介した複数の架空事例が示す通り、どんな企業・店舗にも、他にはない魅力や選ばれる理由が存在します。
大切なのは、自社の歩みを振り返り、顧客の声に耳を傾け、現場にある小さな違いを見逃さないこと。
それこそが、自社をより良くする第一歩であり、変化の激しい時代においても選ばれ続けるための“確かな武器”になるのです。

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