「問題」と「課題」は、似たような意味を持つ言葉であり、多くの場合混同されることがありますが、以下のように異なります。
問題は、問題解決に直面する具体的な状況を指します。
例えば、ある製品が壊れている、あるプロセスでエラーが発生している、あるプロジェクトが予算超過しているなど、解決が必要な実際の状況を指します。
一方、課題は、目標達成に必要な障害や問題を指します。
例えば、あるプロジェクトに必要なスキルセットが不足している、あるチームメンバーが時間に追われている、ある業務プロセスには非効率な部分があるなど、改善が必要な問題や課題を指します。
簡単に言えば、問題は具体的な状況であり、課題はより抽象的で、目標達成に必要な困難や課題を指します。
日本技術士会は、2015年1月に「修習技術者のための修習ガイドブック ~技術士を目指して~」をリリースしています。
P11 3.2.1問題分析において、「問題」とは、「あるべき姿(目標・水準)と現状とのギャップ(差異)」と定義づけています。「課題」については、問題を解決するためになすべきものとして説明されています。以下のリンクで「修習技術者のための修習ガイドブック ~技術士を目指して~」第2版をご参照ください。
問題:あるべき姿(目標・水準)と現状とのギャップ(差異)のこと
課題:問題を解決するためになすべきこと
![](https://poseidon-giken.com/wp-content/uploads/2022/08/第2版の原稿を添付します-1024x556.jpg)
ということになります。
超ざっくりと問題と課題の事例を「道の側溝」という事例でざっくり説明してみたいと思います。
「問題発見」
大昔の道は舗装がなされていませんでした。雨が降るたびに道はぬかるみ、使いにくい状態でありました。
「問題分析」
小雨ではそれほど問題になりませんでしたが、大雨になると雨水が道に溜まったり、道の外からも水が入ってきていました。
「課題設定」
道に降り注ぐ雨水や周辺から流入する水を、溜め込まずに排水することが課題として設定されます。
「対策立案」
道の外側に溝を掘って水を溜めさせ、速やかに川などに流し込むようにする。
といったようなことが考えられます。
これで終わりではありません。対策実施後に、問題解決の結果を評価します。
土の溝は時間とともに崩れるようになり、いちいち直す手間がかかる。という問題が現れ、これには、水に石を張り付けるなどにより問題解決が図られることになります。さらには、道の表面に水がたまらないよう、道の表面を溝に向けて少し傾けるなどの工夫(問題解決)が積み重ねられていきます。
以上、技術士試験においては、問題と課題が明確にされていることを説明しました。
また、その内容を含む「修習技術者のための修習ガイドブック ~技術士を目指して~」について、ご紹介しました。
これを一読することで、技術士活動において曖昧な認識になっている部分を整理してくれるかもしれません。
![](https://poseidon-giken.com/wp-content/uploads/2023/03/アイキャッチ画像-12-300x212.jpg)
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