技術士 問題 と 課題 の違い

「問題」と「課題」は似た意味を持つ言葉として混同されがちですが、厳密には次のように区別されます。

  • 問題:現時点で顕在化しており、具体的に対応・解決が求められる事象。
     例:製品の故障、プロセス上のエラー、予算超過など。

  • 課題:目標達成のために乗り越えるべき障害や改善点。
     今すぐ解決すべきとは限りませんが、放置すれば目標達成を妨げる要因になります。
     例:必要なスキルの修得、業務の効率化、チームメンバーの負荷調整など。(ご指摘により訂正いたしました。25.07.13)

つまり、「問題」は現状における具体的な不具合や障害、
「課題」は将来的な達成に向けて取り組むべき抽象的・構造的なテーマと捉えると理解しやすくなります。


日本技術士会は2015年1月に『修習技術者のための修習ガイドブック ~技術士を目指して~』を発行しています。
同書のP11「3.2.1 問題分析」では、以下のように定義されています。

  • 問題」:あるべき姿(目標・水準)と現状とのギャップ(差異)
  • 課題」:その問題を解決するためになすべきこと

詳細は、以下のリンクより「修習技術者のための修習ガイドブック」第3版をご参照ください。

第3版の原稿を添付します (engineer.or.jp)

日本技術士会「修習技術者のための修習ガイドブック ~技術士を目指して~」より抜粋

ということで、ここからは「問題」と「課題」の違いを、道の側溝という身近な事例でざっくりと説明してみたいと思います。


■ 問題発見

昔の道は舗装されておらず、雨が降るたびにぬかるみ、通行に支障をきたしていました。
これは「現時点で顕在化している具体的な困りごと=問題」です。

■ 問題分析

小雨ではあまり支障がありませんが、大雨になると雨水が道に溜まったり、周囲からも水が流れ込んできていることがわかりました。

■ 課題設定

この状況を解決するためには、道に降る雨水や周囲からの流入水を、効率よく排水することが必要です。
これが「目標達成のために取り組むべき課題」です。

■ 対策立案

そこで、道の両側に溝(=側溝)を設けて雨水を一時的に集め、それを川や下水に流す仕組みを設計する、という対策が考えられました。


このように、「問題 → 分析 → 課題 → 対策」という一連の流れで考えると、「問題」と「課題」の違いとそのつながりが見えてきます。

これで終わりではありません。対策を実施した後には、その効果を評価し、新たに発生する問題への対応が求められます。

たとえば、当初設置された土の溝は、時間の経過とともに崩れやすくなり、頻繁な補修が必要になるという新たな問題が発生しました。
これに対しては、石やコンクリートを使って補強するといった対応が取られるようになります。

さらに、道の表面に水がたまらないよう、路面を側溝に向かって傾斜させるなど、細かな工夫も積み重ねられていきます。

このように、「問題 → 課題 → 対策 → 評価 → 改善」というプロセスは繰り返しながら進化していきます。


以上、技術士試験において重要となる「問題」と「課題」の違い、そしてその整理の仕方について説明しました。

また、その考え方の背景として、日本技術士会が発行している『修習技術者のための修習ガイドブック ~技術士を目指して~』をご紹介しました。

このガイドブックを一読することで、技術士活動において曖昧になりがちな用語や考え方の整理に役立つはずです。

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (3件)

  • おせわになります。
    上記記載
    「課題:目標達成のために乗り越えるべき障害や改善点。
     今すぐ解決すべきとは限りませんが、放置すれば目標達成を妨げる要因になります。
     例:必要なスキルの不足、業務の非効率、チームメンバーの負荷偏りなど。」
    例の「必要なスキルの不足等」ですと、
    「課題」:その問題を解決するためになすべきこと
    とは違っているように思うのですが、どう理解すればよいでしょうか?
    なすべきこととすると「必要なスキルの修得」かとおもいました。
    よろしくお願いいたします。

    • 森口様
      記事をご覧いただきありがとうございます。
      また、丁寧なご指摘をいただき、心より感謝申し上げます。

      おっしゃる通り、本文では導入部を簡潔にまとめる中で、表現を略し過ぎてしまいました。
      いずれも本来は「問題点」であり、「〜の解消」といった意味合いで“課題”として記載していたのですが、定義に照らすと誤解を招く表現となっておりました。

      以下の通り、表現を訂正させていただきます。

      訂正前:必要なスキルの不足、業務の非効率、チームメンバーの負荷偏り
      訂正後:必要なスキルの修得、業務の効率化、チームメンバーの負荷調整

      定義の違いを整理する趣旨の記事でありながら、かえって混乱を招く表現となっていたこと、お詫び申し上げます。
      今後は定義の厳密さと実務上の表現のバランスに留意しながら、より明確な内容となるよう改善してまいります。

      このたびは貴重なご指摘をありがとうございました。

      • 早速の丁寧な回答ありがとうございました。
        よく理解できました。
        ありがとうございました。

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